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変えようとすることによる弊害 岩瀬コラム49


変えようとすると事態は悪化する

・不登校
・勉強に取り組む姿勢
・スポーツに取り組む姿勢
・マインドセット
など

あなたの周りに、もっとこんなふうになって欲しい、変わってくれないと困ると思う人はいますか?

そのような人に対して、あなたはどのような接し方を心がけていますか?

相手が「変わりたい」と思っている時に何か前向きな提案をするのは良いのですが、相手が「変わりたくない」と思っている時に変えようとしている場合は気をつけた方がいいです。

特に親や教師、医師や理学療法士、スポーツの指導者など「育てる、指導する、治す」立場にある人は、なんとかしようとしてしまいやすので注意が必要です。

気をつけたい例として
・不登校の子に学校にくるように約束をする
・勉強しない子を無理やり塾に入れる
・スポーツで、選手が目指しているレベルとそぐわない高いレベルを要求する
・落ち込んでいる時に、無理やりポジティブに変換しようとする
など

その人のために、変わるきっかけを作ろうとして行動していることはわかります。
しかし、「変わりたい」と思えていない人からすると「変えよう」とされることは、余計なプレッシャーでストレスでしかありません。

周りが騒ぐ=いまのままではダメ
と言っていることと同じなので、本人は余計に自己否定をして、苦しくなります。

そうすると、余計に症状は重くなり事態が悪化してしまうことがあります。
・学校に行けないどころか、部屋に引きこもってしまう
・その競技が嫌いになる
など、

周りが意図した方向とは反対の方向に進んでしまうのです。

「理由くらい教えて」なんて、無理やり聞き出そうものなら、その人に対してどんどん心を閉ざしていきます。

まずは「親だから、、、教師だから、、、」など、立場に囚われて、「変えなきゃいけない」という考えを一度リセットしましょう。


見守る

「変えようと思うな」と言われても、じゃあどうすればいいの?
このまま放っておくのか?

そう思う方もいるかもしれません。

しかし、本人がヘルプを出していないのに事情を聞こうとしたり、このままじゃいかんぞと騒ぎ立ててしまうのは悪循環してしまいます。

自分自身で「このままじゃいかん」と気がつくまで、「変わりたい」と思えるまで【見守る】ことが大切です。

学校へ行かなくても、普通に接します。
勉強していなくても、何も言いません。

無視をしたり、知らんふりをするわけではありません。
あくまで、普通に接するのです。

だから、見守るには勇気や忍耐が必要です。
常に「本当にこのままでいいのか?」という葛藤があります。

けれど、時間はかかるかっても、自分自身で必ず気がつく時がきます。
その時まで信じて見守ります。

そして、本人が変わりたいと思った時に、何かきっかけがないと自分では行動できないことがあります。
その時に出しているサインを見逃さず、声をかけてあげましょう。

そのタイミングは難しいと思うかもしれません。
でも、大切に思う人の変化に人は敏感です。
自分ならそのサインをキャッチできると信じて、見守る勇気を持ちましょう。


どうしても伝えたい時

ただ、どうしても、何か伝えたい時があると思います。

そんな時は「I(アイ)メッセージ」という方法があります。
これは、精神科医の樺沢紫苑先生がおすすめしている方法です。

伝える時の主語を「私」にして伝えるというシンプルな方法です。

例えば、
・学校に行ってくれると[私が]嬉しい
・勉強してくれると[私は]安心する

というように使います。 

参考記事
https://diamond.jp/articles/-/289069 

このように、主語を「私」にすると、マイルドに伝えられます。
だけれど、基本は見守ることが大切です。

「I(アイ)メッセージ」も、多用のしすぎは効果が弱いですし、相手の受け取り方によっては「変えようとしている」と捉えられてしまうリスクもあるので気をつけましょう。


無意識的に変えようとしてしまっていた自分自身の話

私自身、「変えようとしても人は変わらない」「変えようとすることが逆効果になる」というのは以前から知っていました。

だから私は、「変えよう」ではなく「変わりたい」と思ってもらえるような関わり方を意識しているつもりでした。

しかし、実際には変わることを求めていない人に対して、変えようとしてしまっていたことに気づきました。


理学療法士として仕事をしている以上、専門家として結果を残したいという思いは常にあります。
これは私でなくても、認められたいという承認欲求があり、抱いていると思います。

そして、周りの人からも、岩瀬ならなんとかしてくれるだろうという期待もあり、相談や依頼をいただくこともあります。

でも、当事者自身は変わりたいと思っていないのに、周りが騒いでいるパターンが意外と多いんです。

そんな中で、結果をだそうとつい意気込んでしまった時には、信頼関係も上手く築けないこともあれば、結果もついてこない、、、
何よりも本人を苦しめてしまっていた、、、

反対に、本人よりも騒いでる周りに対して、溜め込んでいるものを吐き出してもらったり、見守ることの大切さを伝えると、少しずつ本人が変化してくるといった経験もあります。

たくさんの方と関わる中で、変わりたいと思えていない人に対しての関わり方を自分の中ではある程度手応えをつかんだつもりになっていました。


しかし最近、なかなか変化してこない方に対して「自主トレくらい」と思い指導してしまっている自分がいました。

「○○をすると良くなりますよ」
「こういう姿勢はできるだけ避けましょう」

リハビリの時に、当たり前のようにセラピストが伝えるフレーズですが、本人が「変わりたい」と思っていなければ逆効果になります。

間接的に「今のままではダメですよ」と言っているのと同じですからね。
このような時、次の介入時には症状が元に戻っていたり、痛がる場所が移動したりしています。
ひどいと次の介入を拒否されたりもします。

専門家として当たり前だと思っている取り組みが、知らず知らずに相手を苦しめてしまっていた、、、

これは、専門家でなくても、親だから、指導者だからと思ってなんとかしようとしてしまうことで、同じように相手を苦しめている人もいる可能性があります。

このような失敗を共有することで、みなさんが同じような失敗をせずに済めば、少しは失敗も報われるのかと思います。
(苦しめてしまっていた方には本当に申し訳ありませんが)

私たちが、無意識のうちにとっている言動、行動が相手を苦しめてしまわないように、十分注意が必要です。
自分自身で振り返ることも必要ですが、私のように自分1人では気づけないこともあります。
周りの方の客観的な意見をもらえる存在が大事です。

なかなか解決できない時は、1人で抱え込まず、周りの人に相談して、みんなでサポートしていきましょう

受容

このように、変わりたいと思えていない人に対して、
「今のままではダメ」
そのように思わせてしまうのは、本人をより苦しめてしまいます。

だからこそ、見守ること、今のままでもいいと「受容」してあげることが大切です。

受容することで、少しずつ心を開いてくれて、苦しみを打ち明けてくれたりします。
また、信頼関係ができてくると、人はその人の期待に応えたいと思うものです。

こちらが受容し、共感することで、本人に変わりたいという気持ちが芽生えてきます。
その時間には個人差があり、見守る事がしんどくなることもあると思います。

それでも、信じて見守りましょう。

「変えたい」
「変えてやろう」
「なんとかしてあげたい」
「私がなんとかしなければ」

そのように思う気持ちはすごくよく分かります。
しかし、私自身がそれでたくさん失敗してきました。
もちろん、その気持ちは本当に大切ですし、その気持ちがその人が変わるエネルギーになるのは間違いありません。
ですが、その気持ちが強すぎて、関わり方を間違えてしまわないように気をつけましょう。

周りから「変えよう」とされて苦しんでいる人が、1人でも多く救われて、自分自身の内側から「変わりたい」と思えるようになることを願っています。

もし、変わってほしいのに変わってくれないと悩んでいる方がこの記事を読まれていたら、少しでも関わり方のヒントになれば幸いです。
あなた自身が苦しんでしまわないように、1人で抱え込まず、周りの人と協力して、見守っていきましょう。

お読みいただきありがとうございました。


岩瀬勝覚
理学療法士
JARTA認定講師/認定スポーツトレーナー



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