【オススメ本】都市伝説を否定しろ！推理を武器に妖怪退治をする本格ミステリー『虚構推理 鋼人七瀬』城平京
ちょっと変わったミステリーを紹介します！
推理で真実を解き明かすのでは無く、嘘の推理で真実を隠す事がコンセプトの面白い作品です！
本書の紹介
城平京さんの『虚構推理 鋼人七瀬』です。変わったタイトルですが、2012年に本格ミステリ大賞受賞、同年本格ミステリ・ベスト10で4位となった、れっきとした本格ミステリーです！
巨大な鉄骨を手に街を徘徊するアイドルの都市伝説、鋼人七瀬。
人の身ながら、妖怪からもめ事の仲裁や解決を頼まれる『知恵の神』となった岩永琴子と、とある妖怪の肉を食べたことにより、異能の力を手に入れた大学院生の九郎が、この怪異に立ち向かう。
その方法とは、合理的な虚構の推理で都市伝説を滅する荒技で!?
驚きたければこれを読め――本格ミステリ大賞受賞の傑作推理！
【起】妖怪の相談役の少女と、異能の大学生の妖怪退治の物語
かなり設定が変わっているので、まずは設定からお話します。
探偵役は、人間でありながら妖怪や幽霊から相談を受けて解決している見た目は中学生ながられっきとした大学生の少女。
その恋人であり相方となるのは、幼い頃に妖怪の肉を食べた事により異能の力を持ってしまった大学生の青年です。
妖怪や幽霊がいる事が前提の世界ですが、一般人にはそれは知られておらず、二人は人知れずに妖怪の頼み事を聞いては解決をしています。
この物語に出て来る妖怪は、基本は人を襲ったりせず、むしろ人間のせいで住処を追いやられている弱い存在として描かれています。
【承】都市伝説により産まれた怪物、鋼人七瀬
次に本作の題名にもなっている『鋼人七瀬』について説明します。
とある街で、鋼人七瀬と呼ばれる怪物のウワサが持ち切りとなります。
これは、昔事故死したはずのアイドル『七瀬かりん』の姿をして鉄骨を振り回して人を襲うという、おぞましい怪物のウワサです。
妖怪達から相談を受けた岩永琴子達が調べると、鋼人七瀬は正真正銘の怪物で、都市伝説のウワサをエネルギーとして暴れ回っている事が分かります。
ここで、『怪物を倒す事=都市伝説を収める事』という図式が出来上がります。
【転】闘いの舞台はまとめサイト！敵はまとめサイトの管理人！？
ついに鋼人七瀬によって殺人事件が起こってしまいます。普通であればそのナゾを解決すれば終わりですが、本作では怪物の仕業という事はわかっています。
このままだと都市伝説がますます広がり、誰にも手を付けられなくなる正真正銘の怪物に変化してしまう。
そして、都市伝説を収める為、鋼人七瀬についてまとめられたまとめサイトの掲示板を舞台に話が展開していきます。
主人公の岩永琴子は、都市伝説に合理的な説明をつけて都市伝説を否定する為、用意した虚構の推理を掲示板に書いて人々にぶつけます。
しかし、詳細は伏せますが、まとめサイトの管理人はあくまでも都市伝説が真実だと、その推理を否定してきます。
それに対し、新たな虚構の推理を叩きつけ都市伝説を否定していく、それを聞いて、一般ユーザー達は鋼人七瀬は化物なのかそうでないのか、と考えを二転三転していきます。
この推理の応酬が本作の一番の見所です！
いくつかのニセの解決が語られるのですが、その推理一つ一つもしっかりしていて、更にその中に伏線を仕掛け、最後の推理によって事件を解決していくという流れは『推理を武器にする』という表現がピッタリです。
【結】妖怪とミステリーをかけ合わせたシリーズ作品
本作はシリーズ物となっていて、現在3作が発売されています。
他の作品も、妖怪が目撃した殺人事件のナゾを解いたり、化け狐による殺人事件のナゾを解いたりと、設定を活かしたミステリーとなっています。
また、本作はマンガやアニメ化もされており、アニメは未読ですが、マンガ版の方も原作の雰囲気を残しつつミステリー漫画としてもとても読みやすい作品になっています！
タイトルや表紙で少しライトな作品かと思われますが、中身は推理小説好きにはたまらない作品となっていますので、是非とも手に取って体験してください！
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