委託先と展示会
地元のお土産店での販売を開始した当初、当社は価格について悩んでいました。売れなければ意味がない。そう感じた社長は価格を設定。
その価格は今後の自分を大きく苦しめるものになりました。
これだけ下げれば売れるだろうと設定した最低ラインの価格。
言ってみれば在庫処分の価格でした。もちろん場所代や委託料を取られます。当社はほぼほぼ赤字と化しました。そしてその値段はのちの卸値となってしまいました。
なぜ、こんな値段で売り出そうと思ったのか…。実際に商品を本格的に売ろうというときになって初めて気づく、設定価格の重要さ。
値段を変更したくても一枚でも売れてしまえば、なかなか価格は上げられないのが現状です。ちなみにこの価格は社長が設定。
安くすれば、売れるだろう
商品の魅力 < 価格 にスポットを当ててしまったことが大きな誤りです。たしかに、初期の設定価格(1万円)は高すぎだと思います。
が!それ故に売れない日々が続き、自身の商品に自信がなくなっていく。
社長は、販売の勉強(アドバイスもよく読まなければ、本も読まない)もせず、価格を安くすることを優先し、価格を安くして売るということに重点をおいてしまったのです。
もうお気づきだと思いますが、価格を安くしても売れなかったんですね。原因は何だと思いますか?商品の魅力?それとも価格?
商品の魅力は十分にあります。ただ置く場所について考えなかったのです。当店が初めて出店した場所は地元観光協会と伝えました。地元観光協会が主催する場所→地元の観光土産を取り扱うお店です。
それを全く考えず、当時はたくさんの種類の絵柄(日本絵画、西洋絵画、趣味で作ったマリリンモンローの写真やイラストなど…)を置き、地元の観光スポットの写真を使った商品はそれに埋もれてしまったのです。
結果、売れなかったとはいいつつ、月に10枚程度は売れました。たくさんのデザインの中でお客様もよく見つけてくれたと思います。
そう、売れている商品はデザインは地元の観光地・イメージしたデザインばかり。「〇〇市」や「地元名」が入ったデザインだけが手に取っていたのです。
実績が少しずつ出てきました。
2019年9月、そんな矢先に入ってきたのが、展示会への出店チャンス。
東京で行われる大規模な祭典に当社は「ART MIRROR」を引き下げ、当社は地域枠の一角を借り、プラスチック製のシルバー素材を多くの人に見てもらうきっかけを作ることができる格好の機会です。
当社は地元支援も加え、初出店することになりました。
まだ入社前でしたが、私自身も手伝い全力でサポート。姉と一緒にブース作りから、配置に至るまですべて自分たちで考えました。なんせお金はないもので、最小限の価格を選ぶとともに、自身で学習した結果を踏まえ上記の写真のようなブースに仕上がりました。
姉はデザインやイラストがもともと好きということもあり、パンフレットの表紙からポスターまで製作してくれました。ありがたい。
ブースの場所は地元ブースの一番端。お客様の目に一番止まる箇所に設置していただけることになりました。
当時は違う会社に勤めいていたため、準備はすべて社長が進めました。写真のアクリル板は初期に作られたサンプルです。日本絵画が見えるでしょうか?3姉妹から大批判を食らった商品です。
さて当日、まぁでてくる販売用語。
上代?下代?
いや、なにそれ…当時は販売経験は皆無な私たちは専門業者に対応することができませんでした。当時はネットショップもなかったため、販売実績は観光協会のみ…。あまりにも弱すぎるうたい文句でした。
ブースが目に留まり、来てくれるお客様はたくさんいました。用意したサンプルやパンフレットでは足りず、口頭での説明を余儀なくされました。
展示会の成果は結論から申し上げますと、「大失敗」に終わりました。
実際にブースに来たお客さんは約100名。100人の方と名刺交換は、できました。興味を持ってくれることもわかりました。話もたくさん聞いてくれました。
しかしながら、実際に商談につながったお客様は1名。(しかも、サンプル送付後とんずら。)だったからです。
売上や新規顧客獲得にはつながりませんでした。また電話アポイントも失敗し、さらに展示会後のサンプル無償提供により、赤字はさらに膨らみました。
ここで、初出店の展示会の反省点を述べてみます。
① ターゲットを決めていなかった。
② 販売の勉強不足
③ 1人のお客様に時間をかけすぎていた
④ 法人の新規顧客を目標にしていたのに、興味本位だけで来場された一般の方と話をしてしまった
⑤ パンフレットの内容が不十分
ざっくりとまとめると以上の5点。ターゲットをそもそも決めていたなかった当店の商品は誰に対してどのように売っていくか、お客様に説明することができませんでした。
来てくれる人全員に対し、名刺交換を要求し、話を聞きまくる。とくに当店の商品には興味がないけれども若い女の子が紹介しているから来たというお客様も実際にいると思います。そういった暇つぶしに来ている人に対してもかなりの時間をかけ接客してしまったのです。
また販売不足のせいで、商品や営業の仕方をただ話したい客に耳を傾けすぎ、気がづけばただのお節介を聞いている状況にもなっていました。
しかし、収穫はありました。
・素材について綺麗と言ってくれる人は身内だけじゃない。
・割れない鏡の需要がある。
狭い製造業だけの枠にとどまっていた当社は、様々業態から貴重な意見を聞くことができました。(シルバーを使ったアイデアを含む)
どん底に落ちた社長のモチベーションアップにもつながり、では今後、法人・個人のお客様にどうやって当商品を伝えれば、魅力が伝わるのか。
当時はなんとなくですが、枠組みがつかめたような気がしました。
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