韓国の民主化をエンタメにした映画。『1987、ある闘いの真実』韓国、2017年。
仕事が一息つけたので、脳みそのリフレッシュに夫と映画デート。『タクシー運転手』に続き、韓国の民主化運動を描いた作品です。
今回は、誰かヒーローがいるのではなく、検察や新聞記者、監獄の看守など一人ひとりが、「ちゃんと仕事をした」ことで民主化につながるという群像劇。法律を守る。理不尽な命令には従わない。こんな当たり前のことが、独裁政権下では難しく、だからこそ、かっこいいです。
そして、その映画が実話に基づいているところがすごいし、お説教くさくならず、辛気くさくならず、(部分的にしんどいですが)エンタメになっているところがすごい。
ただ、当然ですが、一般市民の運動だけでは、政治権力を動かすことはできません。映画には直接描かれていませんが、当時のアメリカ大統領レーガンからの圧力とか、もうじきソウルオリンピックという国際状況がなければ、民主化は実現していなかったとのこと。
そして、民主化は実現しただけではダメで、やはりその後の市民の支持や監視機能が必須になります。アメリカとか東南アジアみたいに、選挙結果に異議申し立てがあったり、投票箱が盗まれたりしたら、それは機能しなくなります。
そして、現在。アメリカの大統領は、当時のように「民主化」を支持したりしませんし、アメリカに対抗しようとする中国は独裁だろうが虐殺だろうが、相手国には「内政不干渉」。そして、自国内の言論統制を強めていたりします。
韓国も、この映画のときは「民主化」は支持できたものの、その後の地縁血縁や学閥、財閥関係はそのまま残ったので、今の韓国社会が必ずしも民主的でないとのことですし。今後のアジアの国際関係、そして世界がどうなっていくのか、とても気になる作品。