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続きが気になりすぎる。『剣嵐の大地』下(氷と炎の歌3)ジョージ・R・R・マーティン


原作もとうとう6巻目。未読分が少なくなってきました。作者様、マーティン様、過去編の執筆も、ドラマ化もいいですが、本編をぜひ進行させてくださいませ(懇願)。

6巻まで進んでくると、だんだんドラマと原作の違いがはっきりしてきました。原作では、竜の母となったデナーリスの周りに集まる男たちに嫉妬するけど相手にされないジョラー。しまいには、新たに加わった老騎士サー・バリスタンに、過去のスパイ行為をバラされ、ジョラーは追放されてしまいます。

サー・バリスタンは、元キングスランディングの王の盾。最初は正体を隠してデナーリスに近づき、彼女の性格を見極めてから名乗りをあげました。彼の語るデナーリスの父は、彼女の知らない残虐な父。バリスタンによれば、彼女の家系は、過去に多数の残虐な人物を輩出し、彼女の父が王座を逐われたのも残虐が過ぎて反乱を起こされたからとのこと。

兄からずっと自分たちは王族で、不当に王座を逐われたとだけ聞かされていたデナーリス。ここで、両親の過去と自分たち兄妹が逃亡生活をしなければならなかったのか、その真実を知ります。

一方のキングスランディング。ジョフリー王は結婚式でドラマ同様毒殺されます。享年13才。次の王になる弟のトメンは8才。王妃になるはずだったマージョリーは16才。このあたり、ドラマは4才くらいずつ嵩上げしているので、もし原作どおりだったらイメージがかなり違ったはず。

王都に戻ったジェイミーに、双子の姉サーセイはかなり冷たいです。ジェイミーは、愛するサーセイに逢いたい一心で戻ったのに、サーセイからすれば「放って置かれた」ぐらいの感覚。生死のわからなかった弟よりも、つい最近亡くなった息子、唯一の息子となった次男のほうがはるかに大事です。

サーセイの父タイウィンは、次男のトメン王をしっかり育てるために、母親から引き離そうとします。ドラマでは、タイレル家にサーセイを嫁がせようとするけれど、原作ではドーンのオベリン・マーテルに嫁がせようとします。このあたりから察するに、タイウィンは一応、帰ってきた息子のジェイミーをタイウィン家の跡継ぎとして考えている様子です。

同時に、タイウィンは北部を乗っ取る悪だくみも忘れません。アリアが行方不明なのをいいことに、アリアの偽物を仕立てて、北部から寝返ったボルトンに嫁がせます。これが、つまりラムジー。ドラマではこの偽アリアとサンサのエピソードをまとめているんですね。そのほうが、シンプルでわかりやすいですから。

ジェイミーは、サーセイに冷たい仕打ちに絶望しつつ、自分を護送してくれたブライエニーをできる限り王都で守ります。オウスキーパーをもたせて送り出すところもドラマと同じ。ふたりとも不器用で、ドラマよりジェイミーはツンデレ。ドラマでは、ここでティリオンの部下を連れて二人旅になりますが、原作はブライエニーの一人旅です。

さて、本物アリアはハウンドと二人旅。ただし、こちらもドラマのような冒険はしないし、叔母のいる谷にもいきません。一番の違いはブライエニーとも行き合わないこと。アリアとハウンドはマウンテンの部下に見つかって、ハウンドが致命傷を負います。その先は、ドラマと同じ。瀕死のハウンドを放置して、アリアは一人船に乗ります。ヴァラー・モルグリス!

北のジョンは、細部は違うけれど大体、ドラマと同じ流れです。北の壁の総裁になり、南部からやってきた前王弟スタニスを迎えます。王都の不遇なティリオンも、裁判まで大体ドラマと同じです。違うのは部下のポドリックが影の薄い脇役で、ティリオンに忠実でないことくらい。

あと、原作のシェイは普通の娼婦です。ドラマでは、ティリオンを深く愛していたために、ティリオンに不利な発言をした設定でしたが、原作では単純に強い方につく娼婦でした。ティリオンの手痛い片思いが辛すぎます。

ジェイミーが、弟のティリオンを助けるところはドラマと同じですが、原作ではお互いに感情の行き違いがあります。ティリオンは、シェイと父親を殺して逃亡します。原作でもやっぱり殺害現場はトイレでした。嗚呼。

ジョフリー殺害現場の混乱から、ベイリッシュに上手く連れ出されたサンサは、谷に匿われてキャトリンの妹ライサに嫉妬されます。このあたりも大体同じ。ドラマと違うのは、ベイリッシュがライサの愛人の吟遊詩人をライサ殺人の犯人に仕立て上げるところでしょうか。

そして、そして、そして。
原作で一番ドラマと違っていたのは、レッド・ウエディングで殺害されたはずのキャトリンが生き返ったこと。生き返らせたのは、ドラマで魔術っぽいものを使っていたベリック。これが一番の驚きです!




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