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伊藤馨の舞台照明

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僕の照明デザインについての備忘録というか、デザインの仕方についてのマガジン。果たして、ちゃんと完結できるのか。
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#小劇場演劇

舞台照明デザインのこと その8 真上(トップ)とは、またデザインの入り口

舞台照明デザインのこと その8 真上(トップ)とは、またデザインの入り口

はじめに前回予告した通り、真上からの明かり(通称トップ)についての話をする。
それと、文字数に余裕があれば、前回までの説明をしていた角度の話を更に突き詰めていきたいと思う。この角度の話はとても長い。
では、今回もよろしくお願い。

サスって、言葉がややこしいんだよな唐突に愚痴からスタートしましたが、よく舞台の仕事で「サス」って言葉を聞くと思う。なんなら照明さんも「サス明かり」とか言ったりする。

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舞台照明デザインのこと その9 舞台表現ということ。からの方向性(ディレクション)とデザインのこと

舞台照明デザインのこと その9 舞台表現ということ。からの方向性(ディレクション)とデザインのこと

時空間芸術である舞台表現僕の考え方としては、

まず、前提として、演劇やダンスといった舞台表現は時空間芸術である。

時間と空間を共にしたものにしか味わうことが出来ない芸術。
じゃ、映像で撮ったものは違うのか。
僕の答えは違います。
だ。
どういうことかと言うと、映像(2次元=2D)は、時間と空間をあらかじめ切り取ったものだと言うこと。どんなに精緻な作品であっても、時空間芸術とは呼べない。
映像で

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舞台照明デザインのこと その13 「明るさ」とは何か

舞台照明デザインのこと その13 「明るさ」とは何か

明るさについて人間の感覚器は、「差」で様々なことを判断する。
視覚も暗いと明るいの「差」で物事を判断する。

ただし、暗いにも下限があり、ある程度の光の量が少なくなると見えなくなる。

同様に、明るい側にもある一定の明るさを超えると、眩しくて見られなくなり、最終的には見えなくなる。

これが明るさをコントロールしていく時の幅(レンジ)になる。
幅の中で、明るさを操作しいてく。

また、舞台全体の中

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舞台照明デザインのこと その14 カラーについて

舞台照明デザインのこと その14 カラーについて

ちょっとふりかえり前回、観客の視点(観測点)からの画面の明度についての話をした。
照明のデザインによくある誤解として、
点灯している照明がどれくらい明るいか
と、
その箇所が明るいかは同じものではない
ということ。
狙った箇所の明度をコントロールする必要がある。

新しい要素色相
つまり、カラー
カラーの説明は、難しい。
日常的に我々が使っているのは、反射光の色についての用語であり、透過光の名前で

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