地中美術館に行ってきた|モネ、ジェームズ・タレル、ウォルター・デ・マリア

モネの睡蓮を思い出すような蓮の咲く小川道を通ると、

直島の自然と景観を壊さないようにと、

地中に作られた安藤忠雄建築の地中美術館が見えてきた。


この美術館には、アーティスト3名の作品しかないのだが、

1つ1つがガッツンガッツンのどインパクトなのだ。


私が一番好きだったのは(ポストカードを買ってしまったくらいに)、

ジェームズ・タレルの「オープンフィールド」

という作品。

薄暗い部屋の白壁に、巨大プロジェクターのようにボコンと空いた四角い空間がある。その四角は、薄いモヤモヤとしたピンクとブルーのネオン色に光っていて、その前には、5段ほど白い階段がある。

靴を脱いで、スリッパに履き替え、

スタッフに促されるようにして、階段を上がる。

最上段に到達し、ネオンの巨大穴の前に立つと、

ネオンの中はたくさんの白い霧で覆われていた。


ネオンの色がかかる霧以外、何も見えない。


そして、「ここからストップというまでまっすぐ歩いてみてください。」

と言われ、この穴には直線方向にまだ続きがあるのだと知る。


言われたままに歩いてみる。恐る恐る。

前が霧で見えなくて、前に歩みを進めるのが怖い。


超小幅で10ステップは進んだだろうか、まだ、ストップと言われない。

目の前は相変わらず霧で覆われていて何も見えない。

歩いて後ろを振り返ってみると、

さっきまで同じくモクモクで何も見えなかったはずの道が、

驚くほど視界良好だった。


私は思った、

ああ、なんだか私の人生みたいだなあって。

見えない未来にビビリなから、恐る恐る進もうとしているそんな自分を、

全身で擬似体験しているような、そんな感じだ。

思い切って一歩を進んで、しばらくしてから当時を振り返ると、

視界は良好で、ああ、あの時あんなに怯えて悩んでいたけれど、

先に進んでみたらそこまで心配することなんてなかったな、と。


正解のない未来に向かって突き進むのは、

この霧まみれのネオン空間を歩くのと同じくらい恐怖体験なのだけど、

一歩進んでしまって、暫くすれば答えはわかってモヤモヤは消えるし、

そんなに怖くならないんだって思った。


ジェームズタレルさんの作品は、

光について伝えたい作品なんだそうだが、

私にとっては、人生の歩み方を教えてくれたそんな作品だった。


他2名の作品は、どうぞ現地でご覧あれ!

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