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【レポート】沖縄・コザを舞台にした「新事業と徹底的に向き合う合宿」に密着!

こんにちは!働く人のリアルな姿にフォーカスしたコンテンツを発信する『X-BORDER』(クロスボーダー)です。
今回、沖縄県沖縄市の一番街商店街にある私たちの事業開発拠点『X-BORDER KOZA』で東海バネ工業さんをお招きして2泊3日の「事業構築合宿」を実施しました。

多種多様なばねを手がける専業メーカーとして、長年にわたって業界内で地位を築いてきた同社。
自社の技術力を生かして今、新たな事業の立ち上げに向けて歩みだそうとしています。
そんな取り組みの後押しを目的に、私たちは事業化への方向性を一緒に考える場を提供することにしました。

「創業以来、ばね一筋」を掲げる会社が新事業を考える過程を通じ、どんな伸びや反発力を生み出していくのか。
「新事業と徹底的に向き合う3日間」の様子をお届けします。
(以下、敬称略)

東海バネ工業株式会社
 1934年創業の総合ばねメーカー。大阪市に本社、兵庫県豊岡市の製造拠点を置き、各種機械部品や工場設備、製鉄、発電向けなど幅広い分野に向けて「完全受注・単品生産」によるモノづくりを展開する。一般的に知られているコイルばねだけでなく、板ばね、皿ばねなどさまざまな形状のばねを生産可能な技術力を持ち、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の「H3ロケット」にもばね類を供給している。



【プロローグ】合宿直前まで続いた「宿題」の連続

今回の事業構築合宿で設定されたスケジュール

今回の事業構築合宿に向け、本格化に動き出したのは約1か月前の5月中旬。
合宿に向け、毎週お題を提示して事業展開に向けた道筋を浮かび上がらせていきました。

合宿に向けて出された「宿題」の概要を一部紹介すると…

■:プロジェクトチームの編成とビジョン、目標の設定
■:事業化へのアイデアや課題の掘り起こし、初期評価
■:事業環境を取り巻くSWOT分析
■:市場調査、競合分析
■:フレームワークによるビジネスモデルの可視化

ビジネスチャットでのやり取りのほか、時にはオンラインミーティングや電話などでコミュニケーションを図りながらタスクをこなす取り組みは合宿の直前まで続きました。
通常業務と並行させながら方向性を定める中、ばね製造による自社の強みを生かす形で2つのプロジェクトを設定して合宿に臨むことになります。


【Day.1】事業課題を徹底的に洗い出して悩む1日

事業可能性について議論を交わす東海バネ工業と岡野バルブ製造のメンバーたち

本州や九州に先駆けて一足早く梅雨明けした沖縄本島。
夏本番の強い日差しが照りつけた6月24日、東海バネ工業からは4人、X-BORDERを運営する岡野バルブ製造側から2人が参加してビジネスモデル構築に向けた議論がスタートします。

事前のタスクで定めた以下の2つのプロジェクトを基に、それぞれの立場から事業化の可能性に向けた深掘りを進めていきました。

■「研究開発ステージPJ」 顧客の製品開発段階での設計支援を軸に展開
■「メンテナンスステージPJ」自社製造のばねのアフターサポートに主眼

各プロジェクトで既に洗い出した事業アイデアから実現可能性を検証していく中、次のような論点で議論が進んでいきます。

■「研究開発ステージPJ」
 ・顧客のターゲット設定をどこに定めるか(顧客解像度の明確化)
 ・ばねの調査におけるニーズの所在
■「メンテナンスステージPJ」
 ・設備保全にコストをかける必要性がどの業界に存在しているか
 ・東海バネ工業のそもそもの強み、価値はどこにあるか

双方で特有の悩みが上がる一方、以下のように新事業立ち上げる際に生じやすい悩みも出てきました。

朝から夕方まで丸1日かけて議論を進めた末、ビジネスモデルの具体化に向けた議論は翌日に持ち越されます。


【Day.2】ビジネスモデルの具体化・肉付けへ

ホワイトボートに記したプランを基に今後のアクションについて議論する参加メンバー

1日目の議論を踏まえ、具体的なアクションの実践に向けてビジネスモデル構築を進めることになった2日目。
「メンテナンスステージPJ」と「研究開発ステージPJ」で異なる道筋が示される結果となります。

まず、午前中を中心に議論を進めた「メンテナンスステージPJ」。
「ユーザーの生産(設備)を止めない」をビジョンに掲げてばね関連のアフターサポートに取り組むプロジェクトは、工作機械メーカーをターゲットに絞り込んだサブスク型のサービス提供が方向性として固まっていきます。
価格設定など大まかな設定も進め、事業構想合宿を終えてまずはニーズ把握を兼ねて既存ユーザーを中心としたアプローチを進める流れとなりました。

一方で悩みが深まったのが、午後に実施した「研究開発ステージPJ」。
ばねに関連する設計支援を目的にしたサービス展開は、宇宙開発での実機試験や公的機関などで性能試験が必要な事例があると見込んで可能性を見い出そうとしましました。
ただ、具体的な顧客層が浮かび上がらず、一時は「現時点で売れるイメージがついてない」という状況になります。

ただ、普段と環境を変えて新たな物事を考えることは、固定概念を振り払い、新たなアイデアを生み出す意味で大きな価値があります。
今回の合宿でも、そんな行き詰まった状況から突破口が開けていきます。

そのタイミングが訪れたのが、東海バネ工業の強みを考えた時でした。
さまざまな意見が飛び交う中で自社の強みとして挙がったのが「設計力」。
さらに言えば、その設計力を当たり前と考えていたがゆえに「付加価値として見い出せていなかった」との話が及びます。

そんな時、「飲食店のまかないメシのように自分たちが当たり前にやっていることにサービスを展開するヒントがあるのでは」との意見が出ます。
実際、ジャンルが多岐に渡る製造業の中でばねについて専門的な知識、技術を持つ人は多くありません。
大々的に動かずとも、ばねを作る会社として情報や知見を集約してネット上で可視化する環境を作るだけでも「ばねと言えば東海バネ工業」と認識してもらうきっかけになるとの結論に至りました。


【エピローグ】ここで終わりじゃない、勝負はこれからだ。

休憩時間中も意見を交わし合う参加メンバー

東海バネ工業の今後に向け、丸2日かけてとことん考え抜いた今回の事業構想合宿。
互いに意見をぶつけ合い、休憩時間にもメンバー同士が意見を交わす白熱した時間となりました。
参加メンバーからは「参加するまで一体どんな結果になるか不安だったが、これからの道筋が見えた」と手応えを口にするコメントも出てきました。

今回の合宿では2つのプロジェクトの事業化に向けてプランを練りましたが、今後の東海バネ工業を占う上重要となるキーワードが上がりました。

それは「ばねを作る会社」から「ばねに関連するあらゆるサービスを提供する会社」への変貌です。

「創業以来、ばね一筋」を掲げてものづくりを展開してきた東海バネ工業は、専業メーカーならではの技術力や実績、信用が長所となってきました。
そうした面をさらに伸ばし、10年、20年先を見越して「ばねづくりだけ」ではなく「ばねづくりから一歩先へどれだけ踏み込めるか」が今回の構想を練り上げたプロジェクトの成否を分けることになります。

参加メンバーは会社に戻り、プロジェクトの実践に向けて動き出します。
いわば、今回の合宿はスタートラインに立ったに過ぎません。
これから先、ヒト・モノ・カネのさまざまな面でハードルにぶつかることも想定されます。
それでも、今回のメンバーを中心に社内外のプレーヤーを巻き込んでどれだけ突き進めるかが「一歩先」へ進むための大事な要素となります。

X-BORDERチームは東海バネ工業の新たな取り組みを後押しするため、今回の事業構想合宿を一緒になって作り上げてきました。
私たちにとっても、今回をスタートラインとして東海バネ工業だけでなく新たな事業を立ち上げようとするものづくり企業の取り組みを後押ししていきます!

最後は沖縄らしくシーサーポーズ?で記念撮影

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