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 黒冷水 著:羽田圭介

 修作と正気の兄弟喧嘩がテーマになっている。兄が正気で弟が修作だ。修作の楽しみは正気の部屋をあさる事。兄の変化やエロ本などの掘り出し物を見つけては楽しんでいたが、バレてないと思いきや正気にはバレバレなのだった。

 正気を徹底的に怒らせた修作はあさってる所とそれで性処理してる場面を隠し撮りされて親にテレビで見せつけられた。修作はもうあさるのを隠す事もせずに正気の部屋を物色するようになる。

 そして修作は正気の後輩の青野によってシンナーとヘロインに溺れておかしくなって行く。見かねた正気は修作をボコボコにするも、背負って担いで病院に行くのだった。そんな兄弟愛に目覚めるも正気の中で修作との仲違いは終わりを見せない。

 最後、この黒冷水と言う物語を見つけた修作が読み終えて正気と対峙する。散々に弟に馬鹿にされた兄貴の正気だったが小説の最後のように修作を半殺しにボコボコにしてしまう。修作は病院行きだ。意識が戻ったら連絡すると両親に連れられて病院に行くのだったが、返事は無い。生きててくれと正気は願うが、それは自分が前科持ちにはなりたくないからだ。

 どこまでも憎らしいと言う同性の兄弟仲を如実に映し出している。途中から読むスピードがどんどん上がって引き込まれて行った。当時羽田圭介さんは17歳、弟や兄が居るのかどうかはわからないがそこまで憎いかと言う兄弟と言う血の絆を大胆に描いている。ハードカバーで265ページの圧倒的な筆力に脱帽でした。これで文芸賞を受賞した羽田さん、同い年くらいの人がこんな賞取ってんだと当時は綿矢りささんに島本理生さんなんかが受賞してて『インストール』なんかを読ませてもらってましたね。

 黒冷水ももちろん書いましたが全部読めなかった当時の私は大人になってやっと読み切る事ができました。文庫ではなくハードカバーを図書館で借りて読んだのです。読後はこんな兄弟が五万といると思うとゾッとします。自分の兄弟との軋轢なんて実際ショボいよなって感じてしまいました。

 以上

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