しろがねの葉 著:千早茜
貧しい農村に生まれたウメは夜目が効く子供だった。年貢の米も石見銀山で働く鉱夫に納められてると聞き、一家は夜逃げ同然で仙ノ山を越えようとしたのだ。一家は捕まり、ウメだけが仙ノ山を越えた。その手には銀の採掘の目立てがわかるしろがねの葉が握られていたのだ。それを快く思った喜兵衛がウメを育てあげる。夜目が効くウメは採掘している間歩で一切のアシスタントを熟す鬼娘と呼ばれるように成長して行った。
だが喜兵衛とヨキが家を空ける時、お祭りには行くなと告げられていたが行ってしまった。言いつけを破ったウメは間歩の出入りを喜兵衛に禁じられたのだった。喜兵衛とヨキの遠出に疑問を持っていたウメは二人について行く。ヒルに噛まれながらも喜兵衛に助けられ山を越えた先にあったのは海と温泉街だった。喜兵衛に「好きに生きていいんだぞ」と言われ、そこで喜兵衛は青い目をした赤ん坊を銀で買ってしまう。名を龍と名付けた。
喜兵衛の手子として忙しく働き、銀採掘の全てだけではなく、野草の薬の知識も教えられ逞しく成長したウメだったが、下り物が始まり間歩での仕事ができなくなった。関ヶ原の戦いも終わり、銀採掘にも決まりが設けられ、喜兵衛も山師として仙ノ山に興味を無くしていた時、ウメは男達に誘拐され、銀の取れる場所を吐けと脅される。そうして吐いた場所が今までとは比べ物にならない銀を採掘し、手柄は横取りされるのだった。それだけならまだしも、二人の男に間歩で犯され、妊娠してしまうのだった。
喜兵衛とヨキが居なくてもその家で一人で暮らしてたウメはまた犯されそうになるのを顔に火鉢で焼印をつけ追い返した。その様子を見ていた間歩で修行した隼人はウメの身を案じて一人で住むなと俺と一緒にならないかとウメを引き受ける決心をする。ウメの方では妊娠した子供を流産し、嫌な事は一切しなかった隼人と結婚し、三人の子供をもうけた。
銀の採掘に拍車がかかり、街はどんどん活気づいて行く中、ウメは子育てに追われ、間歩で仕事をする事も無くなって行ったが、銀の採掘には有害な毒との戦いがあり、女は三人の男に嫁ぐと言われる程、男は体を消耗し、息絶えて行く事もままならなかったのだ。
やがて、喜兵衛も死、ラストは隼人が床に伏せっていた場面が描かれる。龍と再会し、龍は立派な男に育っていた。石工の街で育った龍は彫り物ができる。隼人は自分が死んだら龍と一緒になれとウメに言った通りになった。龍との間にも二人子供をもうけたが、皆男は銀山にのまれて死んでしまい、娘たちは嫁いで行った。
そして山から取れる銀の量には限りがある。あとは街は廃れて行ってそこで間歩の差配をし、岩爺と呼ばれて老いていったと言うウメの生涯を描いた作品だ。
執筆にあたり、NPO法人石見銀山資料館館長・仲野義文さまに多大なる協力を賜りました。とある。
作者の千早茜さんは『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し作家デヴュー同作は泉鏡花文学賞も受賞すると言うダブル受賞の快挙『あとかた』で島清恋愛文学賞を受賞『透明な夜の香り』で渡辺淳一文学賞受賞とコンテスト荒らしのように他の文学賞も多数受賞し、作品もこれだけではなく多数書かれている。食事に関するエッセイも好評で共著もあるようだ。
いやぁ〜こんなに凄い人居たんだねって感じです。それで直木賞を受賞。文句無しの出来栄えでした。
ネタバレみたいなあらすじですが、大事なミステリーの要素は隠して書いてあります。どうぞあなたも手に取ってみて下さい。
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