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 あなたが消えた夜に 著:中村文則

 図書館でボランティアの返本作業をしている時だった。又吉直樹さんが東京百景で書いてた中村文則さんの本があるではないかとこの本のタイトルが気になり借りて来て読了した。

 はっきり言って一読だけではわからないミステリーである。連続殺人事件の真相を追う所轄の刑事の中島と捜査一課の小橋、第一部は二人の捜査の模様が描かれている。第二部が参った。登場人物が多すぎるのだ。誰が誰だっけとわからないまま第三部の犯人の手記に辿り着き、事件の真相が明らかになって終了だった。

 この本は新聞の連載だった原稿が元になってるようだ。作者の中村文則さんは読み易い聡明な文章を書く。それに、警察の闇、犯人の思考の闇、神と人間についての考察など、単にミステリーを書くというのではなく、啓蒙の要素が強い作家さんだと思った。

 借りて来て第一部は面白くて夜更かしして読んだ。第二部は緩慢となって情報量が多すぎて困惑してつまらなかった。第三部で真相を犯人の語りの手記と言う形で読んだが第二部での解像度が悪かった為に伏線の回収が面白いと言うよりは犯人の思考が際立って読まされる事になった。犯罪を犯すと言うこと、それがどんな事なのかリアリティを持って迫って来たのだ。

 あなたが消えた夜にと言うのは死んだって言う事だ。とにかく椎名めぐみを追って読んで欲しい。そこだけは間違えて読んじゃいけない作品だ。もう一度431ページを読むつもりは無い。そして中村文則さんの作品群に興味が増したと言う事も私の場合は無かった。私が読んでて楽しいのは恋愛小説だったり成長物語。こんなに事件が頻発するミステリーに読書の楽しみを見出してる訳じゃない。登場人物が死ぬだけで私にとってはその作品は減点なのだ。後味の重いズッシリした犯罪小説だとわかってたら手に取りはしなかった。

 こんな憂鬱な読後体験をしてしかも今日は仕事を眠たくて休んでしまった。凄い作家さんなのだろう。でも私には合わないと他の作品も読もうと思える小説との出会いでは無かったのが残念だ。読むとしたら『何もかも憂鬱な夜に』くらいかな。その作品は確か図書館には無かった。中村文則さんとの出会いはこれでおしまいです。

 以上

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