ペルシャン・レッスン 戦場の教室
ユダヤ人の青年ジルが「自分はペルシャ人だ」と嘘をつき一命を取り留める。ナチス将校が自分の夢のためにペルシャ語を習得したいと考えていていたからだった。ジルは嘘のペルシャ語レッスンを始めることになったが…というお話。
素晴らしい映画だった。映画を観てこんな気持ちになったこと今までなかったんじゃないかな…なんと言葉にするのが正解なのかずっと考えてる。感覚で表現すると、ビーズクッションに座ると楽なんだけど埋もれて重くて立ち上がれない、そんな感覚。とてもずっしりとしていて、圧倒されたというかなんと言うか…。後味悪いわけでは決してない。凄いものを観ちゃったな…と帰り道はただ呆然としてしまった。
偽のペルシャ語を創作することは難しくはないが、それを自分も覚えておかなければいけないわけで。でなければ嘘だとバレて即殺されてしまうという緊張感。もしかしたら私も覚えないとストーリーを楽しめないんじゃないかと思って必死に覚えた。(覚えなくても何の問題もなかった笑)
本作は様々な収容所を調べリサーチや取材を綿密に行い、事実に即した収容所を再現してるとの事で、ホロコースト映画を数多く観ていない私でもこれがリアルなんだなと感じとれるクオリティ。そんな緊張感が一瞬たりとも緩むことがない収容所内。明るい気持ちになることなど到底有り得ない場所だ。それなのに時折差し込まれる笑いの描写。笑いたいけど、笑っちゃいけない空気しかない。声出して笑ってる人もいたけど、私はめちゃくちゃ戸惑ってしまった。でもそこが大好きな演出でもある。シュールで秀逸。あんな体験したことがない。
公開館が少なくて都内だと1館しかない。ノベンバーもそうだったけど、もっといろんな場所で観れるようになればいいのになぁ。
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