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ご免侍 七章 鬼切り(二十四話/二十五話)

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あらすじ 
 ご免侍の一馬かずまは、琴音ことねを助ける。大烏おおがらす城に連れてゆく約束をした。祖父の藤原一龍斎ふじわらいちりゅうさいは、一馬を刀鍛治の鬼山貞一おにやまていいつに会わせる。貞一ていいつの娘が母親だった。そして母は殺されていた。鬼山貞一おにやまていいつから、母は生け贄にされたことを知る。生け贄の場所は大烏おおがらす城だった。


二十四

 お仙から女の香りがする。

「お仙どうした」
「こんな山奥まで、散華衆さんげしゅうが来たのが変でね」

 太ももから内股にすべりこむように手が入る。見る間に怒張するのを自覚した。お仙が、この旅についてきた理由が知りたい。

「お仙、なぜ旅についてきた」
月華げっかの監視だよ」
「そもそも、なぜ父が月華げっかをお前にあずけた」

 怒張したものをゆっくりと下帯の上から触る。ゆっくりとじらすようにしごくと、体が弛緩しかんした。

月華げっかは、散華衆さんげしゅうから逃げてきた」
「それは知っている」
「でも理由が曖昧あいまいなんだよ」
「……命令されれば、黙って死ぬのがおきてらしい」

 昼に襲ってきた若い散華衆さんげしゅうは、明らかにまだ歳が若い。一馬よりも五つ六つは年下だった。もし死ぬ覚悟で襲ってきたならば、それは命令だ。

(動きも判りやすく、手練てだれではなかった)

「そうだね、あの娘は頭は良いから、逃げるすきを探していたんだろうね」
「それならば……」
「そこだよ、もし内通者がいたら」
月華げっかが、教えたというのか」
「こんな山奥まで、敵が来られると思うかい」

 確かに難しい。特に裏街道を歩いてきたので監視もむずかしい。もちろん裏街道特有の手段で見張られていたかもしれない。

月華げっかは、そんなそぶりを見せてないぞ」
「私の勘違いならいいんだけどね」

 下帯をゆるめると下半身を丸裸にする。怒張したものを握るとゆっくりとお仙は手すさびした。遊ぶように、じらすように愛撫あいぶする。

「……お仙は、月華げっかを疑っているのか」
「後は誰がするんだい」

 確かに他の人間が、散華衆さんげしゅうの手引きする理由がわからない。それでも月華げっかを疑う理由もない。

「あの娘は、シロだよ」
「長年のカンかい」

#ご免侍
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#小説


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