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最初の一文字の緊張

数年前は「小説家になりたい」と言い、最近では自らの職業をためらいながらではあるものの意識して「作家です」と答えるようにしています。一応今は「なりたい」から「なった」という状態だと自分では思っていたりはする。

何を以って「作家」と呼ぶかは人によって異なるから、ああだこうだ言ってくる人もいそうだけど、そこはやったもん勝ち。私のやってることにそもそも興味もない他人にああだこうだと言われる筋合いはない。「何かを言いたいなら作品を一つでも読んでから言え!他人のやってることにいちいち首突っ込んでくるな!」で片付いてしまう。

「なりたい」から「なった」に「なる途中」、いろいろなことに慣れてきたと思います。

人に文章を読まれることだったり、
作品を書き上げることだったり、
本を作ることだったり、
自分の作品に値段をつけることだったり……云々。

慣れてしまえば平気なんだけど、初めてやるときはどれも緊張していました。

しかし未だに「新作を書き始める時の最初の一文字目」を書く緊張には慣れないみたいです。「これから新しい物語を書くぞ!」って時にはものすごい緊張する。

昨日から執筆するのが長年の夢だった「項羽と劉邦」のお話を書き始めました。

このご時世書いてしまえばいくらでも発表場所はあり、自分の作品を書いて世に出すことくらい超簡単にできてしまう。だから「項羽と劉邦のお話を書きたい。書いて人に読まれたい」という私の夢だって叶わないわけがない。これだけ環境に恵まれているのに「叶いませんでした」は逆に甘えだとすら思っています。

それでも書き始める前はものすごく緊張しました。

物語の執筆のために買った真っ白なノートを前にし、ペンを構えて何度も深呼吸。

「これから……私の夢を……叶えるんだ……叶えるんだ……叶えるんだ……さあ……書けよ……積年の思いをかけて……書くんだ……失敗して途中で挫折して書けなかったららどうしよう……つべこべ言うな……これから……私の夢を……叶えるんだこのセリフの冒頭に戻る」

なんてことを20回くらい考えました。

20回くらい考えないと書けない。

いろんなことに慣れてきたはずだけど、未だにこんなことを真っ白なノートを前に20回くらい考えないと新作を書き始められない。

この「項羽と劉邦」のkindleストアでの連載計画は、予定では3年くらいかかるもの。昨日あれだけ緊張したけど来月にはもう慣れきっている気もします。

「さあ、書くか」

今後は一回気合を入れたらあとは書けちゃう気がする。

そうやって今までいろんなことに慣れてきたものだから。

……ということが頭では分かっていても、未だにどうしても物語の最初の一文字目は緊張して仕方がない。


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