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海外移住をするということ

最近、海外移住をする方や検討されている方をTwitterでよく拝見する。海外移住って、それだけでわくわくするし​カッコよくも感じる。(海外に住んでいるのに、海外移住って文字を見ると、すごいなぁ…と思ってしまう。その大変さを知っているからかもしれないけど。。)

海外では大陸が続いているからか、他の国住むということがそんなに大ごとではなく、大学や就職、転職などで別の国へ移動するという人は多い。でも、島国である日本から他の国へ、そして別の言語を操る場所へ移住するというのは、勇気もいるし、準備も大変だし、お金もかかる。

そこまでして「やりたいこと」に向かって突き進めるエネルギーは、素敵なことだ。だから、海外移住者のその後の心境を「なるほど〜こういう風に思う人もいるのね」という一つの未来情報として、シェアできたらなと思った。

海外移住者のちょっとしたリアル

私は、いい大人になってから海外移住をした。海外生活は今年で9年目になる。私の周りには、15年、20年といった移住組がいるので、まだまだ新参者の気分でいたが、最近では「もうそんなになるんですね!」と言われりするので、「そうか…長いか」と逆に驚いたりしている。

移住前も一人旅などで海外を15ヵ国以上訪れて(延べ数だったらその倍)、パリ留学とカナダワーホリを経験していたから、日本と海外の距離感はけっこう近くて、隣の県に引っ越しするようにスーツケース数個だけをもって移住した。

そうして始まった海外移住生活だが、意外にも1年目はキツかった。わくわくした気分は数か月で去り、冬を迎える頃には気分が落ち込んで、気づけばさめざめと泣いてしまうという、自分でも信じられないような状態に陥った。冒険大好き、好奇心いっぱいのタフな自分はどこへ。半年間ほど「ザ・暗い人」だったので、その間いやな顔一つせずに寄り添ってくれた夫にはいまでも感謝している。

やや正気に戻った2年目。去年のあれはホームシックと冬季うつだったと知る。カナダ東部は一年のうち、まるっと5か月間は寒く、日照時間が短い。この気候のせいでカナダ人でさえも、気持ちが落ち込んだり、体調不良になったりするという。私もその影響を受けていたようで、いまでは冬時期のビタミンD摂取が欠かせない。

そのあとの3〜5年目。本来の自分にもどった私は、専業主婦で夫と二人っきりだけの日々を過ごすといった優雅?な生活には馴染めず、自分の居場所は自分で見つけなきゃ!とばかりに仕事・友人作り・語学勉強にいそしんだ。そのうち子どもが生まれて、育児と家族と仕事で毎日バタバタ。そうしているうちに、あっという間に9年目に突入したという感じだ。なんか、「気づいたらここまで来ちゃった…」という感覚に近い。

8年以上も住んだのだから、もう慣れたでしょう?とよく言われるけど、うーん。実はそうでもないかな、というのが正直な感想。

言葉に不自由はしなくなった。日々の生活も普通。でも、慣れたか?といわれると、慣れてはいないかなと思ってしまう。なんというか、不慣れな気分(価値観・さまざまな感覚のズレ・習慣の違い)になることはまだあるし、年に数か月間だけの日本滞在時のあのフィット感とはやっぱり違うなとおもうのだ。

海外移住9年目でむにゃむにゃと思う4つのこと

①老後・子供教育・国の制度や福祉関連といった制度を外国語で情報収集して理解することがなかなか億劫。ボキャブラリーだって、どんどん追加していかないと足りないなと年々感じる。

②気のおけない友人の存在。楽しい時間だけを過ごす、さらっとした友人はいても、幼馴染や昔なじみのような「なんか通じる信頼感」のような関係性を築ける人と出会うことは、キセキに近いんじゃないかと感じる。

③共通の昔ばなしをする相手。夫が外国人というのもあるだろうけど、昔よく聞いていた音楽とか、あの時代だったからこその面白ネタとかで、笑ったり懐かしがったりがリアルタイムでできない。

④年老いていく両親の側にいれたら。孫の顔を見せるため、日本の両親とはほぼ毎日Skypeをしているけど、いつまでこうして元気でいてくれるのかと考えはじめると、やっぱり海外は遠いとおもってしまう。

夫婦円満でも、楽しい経験をいっぱいしても、出会った人々に恵まれても、歳を重ねるごとに自国への愛着度が高まっていると感じるのだ。母国語である日本語で気軽にいろいろなことをこなせて、情報を知れて、昔ながらの知り合いや馴染みの場所がある、そんな日本での生活が恋しくなっている。

もちろん、海外移住者の中には、こういう気持ちにならない人もたくさんいる。でも、私はいま時点でそう感じている。だからこそ、将来の「日本恋しい!」危機的状態を回避するために、いま少しずつ2拠点生活の準備をしているのだ。(実現しますように!)

みなさんが考えている海外移住はひょっとしたらほんの数年、ということなのかもしれない。だとしたら、きっとそれって一番ベストな方法なのじゃないかなと思ったりもするのだ。

現場からは以上です。

最後まで読んでくださってどうもありがとうございました!