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お受験って誰のためにあるのかな、と改めて考えてみた。

巷では、いよいよ受験シーズンが本番を迎える。受験生は日々期待をかけられ、プレッシャーと闘いながら勉学に励んでいる。

そんな折、生徒・学生の皆さんはこんなふうに思うこともあるのではないだろうか。

「受験勉強って、何の役に立つんですか」


私は仕事のひとつに塾講師をしているのですが、ある時、教え子から上記の質問が挙がった。

…やっぱりそう思うよね、わかる。私も昔、全く同じ疑問を抱いていた時期があった。

推薦という手もあるけれど、お受験は多くの場合進学に必要な通過儀礼。率直に言ってしまえば、それだけなのではないかと私は実感している。あくまで学校に入るための「手段」なのだ。それなのに、なんでこんなに労力が必要なんだろうね。

「割に合わない!遊びたい!報われたい!」
って思うよね。わかるよ。

普段の生活で受験勉強を活かせる場面って、そう多くはない。進学のために割り切るしかないと考えているけど、もっと実用的な内容を試験にすれば良いのにとも思う。あるいは、入学試験はもっと簡単にして、学校に入ってから定期的に精査するとか。

私たちは、メディアがもてはやす受験ビジネスに踊らされている。塾、家庭教師、教材費。お金もかかる。そこにはいろいろな思惑が渦巻いている。親の自己実現。隣人同士のマウンティング。

そのエゴを「子供のために」という言葉で美化してごまかしている、その歪みが気に食わなかった。だから私は、受験がきらいだったのだ。当時は絶対に言わなかったし、言えなかったけど。

こんな勉強を頑張って、何になるのかな。と。
(結果的に、専門職についたり勉強そのものを教える仕事をしたりできているので、ムダな努力ではなかったのかなと今では思うことにしているが。)


かく言う私は中学受験組だった。本当は気乗りしなかったが、家族親戚の期待に応えるべく言いなりになってしまったのだ。私は純朴な子どもだった。きれいごと抜きに、特殊な家庭環境の中で、少しでも家族の喜ぶ顔が見たかったのもある。

とはいえ、夢もあったのに、好きなことを我慢して10代を消耗したのは今でも悔しい。自己犠牲なんてするものじゃない。長女とかきょうだいじとか、そんなの関係なしに好きな事やったらいいよ!って、今なら思う。


そんな私が先生(反面教師)として切実に伝えたいこと、それは…

子供たちには、受験なんかに潰されないでほしい。自分の人生は自分のものだよ!


ということ。これがこの記事で一番言いたいことです。合格そのものをゴールに燃え尽きてしまうのは、あまりにもったいない。

多感でデリケートな時期に言われたことはけっこう突き刺さるものだ。数年、あるいは数十年残ることもある。周りの人たちは、何を言うか言葉を選んでほしい。というか、余計なことは言わない方がいいのかもしれない。昔の繊細な私みたいに、気にしてしまうから。
※今の私なら内心(うるさいな〜)って思いながらテキトーに流せるのだが。

それに、子どもは親や先生の期待に応えるための道具じゃない。自己実現やビジネスのために子どもの人生を利用するな。(そうそう、昔の私はこれを言いたかったんだ。)

受験のあとにも生活は続いていくのだ。合格だけをゴールに消耗してしまったら、元も子もないじゃないか。


入学した後に充実できるかどうか。


経験者は語る。学校選びは慎重に!!どんな環境が待っているかは先生や学年やクラスによっても変わるし、運の要素もあるけど。せっかくなら、思い出したときに「楽しかった」と思える学生生活を送りたいものだ。…少なくとも私はそうだった。

自分語りをすると、私は中学受験の後に20年近くもの長い間うつになってしまった。合格して入学した先に待っていたのはいじめだったのだ。
残念すぎる。

努力して期待に応えて、ようやく得られた環境がこれかよ…!!


って、当時思ってました。がっかりした。
頑張った分、少しは報われてもいいじゃないか。

IGMのきっかけは理不尽でやるせなくて、そこからいろいろな出来事が重なって、長いこと元気が出なくなってしまったのだ。(その感情への供養もあって、この記事を書こうと思いました。)

でも、事前にもっとリサーチをしていたら、あの災難を回避できていたかもしれない。資料請求だけではわからないことがたくさんある。パンフレットにはいい事しか書いていないから。

また、私の場合は住んでいたのが田舎で選択肢が少ないのもあったのだけど、はじめから一つに絞らずに、数校足を運んで、くらべて見たほうが良かったと思う。

地元で「名門」(笑っちゃうな)と言われていたその学校、今調べるとけっこういろんな情報が出てくる。私の在学時も屋上は封鎖され、教室の窓も開かなくなっていたし、昔からいろいろあるようだった。(先に気付こうよ)

本当ならあんな事やこんな事の恨み節を、酷いことをしたあいつらにぶつけてやりたい。

でも、ここはみんなの憩いの場、note。なのでそれはしない。ここは一つ大人として、後の世代が同じ轍を踏まないでいられるよう、参考程度に体験談をシェアするにとどめる。


そうだ。いきなり話が逸れますが、「研究職」が気になる皆様へ。受験生の親子様(親御様ではなく)に急いで伝えておきたいことがあります。

大学受験の話に変わるんですが、理系に進学するなら、生命科学だけはおすすめしません。これは断言できる。この業界、一応専門職で激務の割にお給料も少なくて大変です。

在学中も、バイオ系のラボには、どうしようもないひどい所がたくさんある。もしも進路相談の先生がハク様だったら、「ここへ来てはいけない。橋の向こうへ戻れ!」と忠告することでしょう。10代、20代前半ならまだ引き返せる
…現場からは以上です。


それと、勉強も良いけれど、適度なガス抜きがあってもいいんじゃなかろうか。若いうちは遊べるときに遊んでおいた方が思い出もできてストレスもたまりにくい、と個人的には思う。

例えば、1日小1時間カフェでお茶したくらいでは、習ったことを忘れたりなんかしないから。メリハリをつけて、ここ一番で力を発揮できるように気力体力をつけておく。昔の私みたいに勉強だけに偏ると視野が狭くなるから、たまには窓の外をみて息抜きもする。学校なんて小さな囲いのようなものだ。(仮初にも塾の先生がこんなことを言うのは、アレなのかもしれないが。)


なんか、若い人たちと話してると世代交代を実感するなあ。一世代分、時が流れたんだなあと。私って「先生」なんだね。全然できた大人じゃないのに、いっちょ前に進路相談に乗ったりして

子どもたちのおかげで(いつまで昔のこと気にしてんだよ、しっかりしろ私!)という心境にもなれました。


話が逸れまくりましたが、この記事の最後に。
いろいろ経験した後では安易に頑張ってなんて言えないけれど、応援しています。

教育が、若手の長所を伸ばして育てる方向に向かいますように。

皆さんのもとに、桜が咲きますように!!



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