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収穫を望むなら、陽を、水を、豊かな土を絶やしてはいけない


石岡瑛子という人をご存知だろうか?
恥ずかしながらわたしは全然知らなかった。

この人の名前を知ることになったきっかけは、ある展示のポスター。
(ちなみに、現在:2021/01/29現在も開催中だ)

これである。

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「血が、汗が、涙がデザインできるか」

これが展示のタイトル。なんとも強いコピーだ。
これ、石岡さんご本人がインタビューで語った言葉から切り取ったもので、「別の言い方をするならば、“感情をデザインできるか”ということです」と続いている。

このビジュアルとコピーに惹かれていろいろ調べているうちに、これは観にいかなければ!と予約した次第。結果、正解だった。大正解だ。

以下は公式HPから。

◾︎展示概要
「東京に生まれ、アートディレクター、デザイナーとして、多岐に渡る分野で新しい時代を切り開きつつ世界を舞台に活躍した、石岡瑛子(1938-2012)の世界初の大規模な回顧展。時代を画した初期の広告キャンペーンから、映画、オペラ、演劇、サーカス、ミュージック・ビデオ、オリンピックのプロジェクトなど、その唯一無二の個性と情熱が刻印された仕事を総覧します。」
◾︎展示の見どころ①
コラボレーションを通したデザインのプロセスに迫る展示
自叙伝『私デザイン』(※)にも克明に記述されているように、石岡瑛子の仕事は、マイルス・デイヴィス、レニ・リーフェンシュタール、フランシス・フォード・コッポラ、ビョーク、ターセム・シンら名だたる表現者たちとの緊張感に満ちたコラボレーションの連続で生み出されてきたものでもあります。展示では、集団制作の中で個のクリエイティビティをいかに発揮するかに賭けた「石岡瑛子の方法」を、デザインのプロセスを示す膨大な資料とともに紹介し、その秘密に迫ります。※ 講談社 2005年 刊
◾︎展示の見どころ②
全世界から集めた壮麗な映画衣装などによる、圧倒的な石岡瑛子デザインの体感
人間の身体の躍動感を根源に宿しつつ、「赤」をキーカラーとし、視覚的なインパクトとエモーションを併せ持つ石岡瑛子の仕事を、現在進行形のクリエーションを体感できる、熱量の高い展覧会として提示します。アカデミー賞を受賞した『ドラキュラ』(1992)や、『落下の王国』(2006)、『白雪姫と鏡の女王』(2012)、オランダ国立オペラ『ニーベルングの指環』(1998-1999)など、ハリウッド・アカデミーをはじめ世界各国のアーカイブから集められた衣装展示も必見です。
◾︎展示の見どころ③
Timeless, Original, Revolutionary… 時代を切り拓き、境界を横断していくクリエーションの力
前田美波里を起用したデザイン史の金字塔とも言うべき資生堂のポスター(1966)や、1970-80年代のパルコの広告などの一連の仕事において、石岡瑛子は、解放された女性像を提示し、東洋と世界の諸文化を対照・混合させながら、新しい時代を切り拓いていきました。1980年に海外に拠点を移してからは、「サバイブ」を口癖に困難に立ち向かい、あらゆるデザイン領域に挑戦していきます。「Timeless, Original, Revolutionary」の3つのテーマをデザインの根幹に掲げ、「私」の可能性を拡張し続けた石岡瑛子の仕事は、2020年の現在を生きる私たちに力強いメッセージを投げかけるはずです。


この展示、本当に素晴らしかったし、見終わった後の「観後感」もすごくよかった。普段はデザイン系の展示って見る側にも思考が必要で、エネルギーを使うので疲れてしまうのだけど、今回のこの展示は、まるで草間彌生の展示を見終えた時のような、“充電された”感があった。

ので、興味のありそうな周囲の人にも大いにすすめた。


アートとは、デザインとは、広告とは、コラボレーションとは、仕事とは、等々、いろんな議論ができそうな豊かな展示だったけれど、

わたしが一番感銘を受けたのは、彼女が「ひらいていた」こと。そして、いつまでも、「インプットし続けていた」ことだ。

ひらいていた、何に向かって?

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