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暑い夏食べたくなるのは #しゅんしゅんぽん

太陽と仲良く出来ない屋内派(松浦照葉さん)

猛暑日に買い物行くのは17時(友音さん)

暑い、毎日が暑すぎる。体温を超える気温ってなんなの。
今外に出たら、溶ける。
もしくは、ジリジリと身体が焼かれてしまうに違いない。
夏は外に出ないに限る。
まあ、元々インドア派で自分の部屋にこもっているので、暑いからというのは後付けの理由かもしれないけれど。
でも、外に出るなら暑い夏よりも、着込めば何とかなる冬の方がいいな。
そんなことを思いつつ、今日は買い物に行く日なので時計を確認する。
夏の時期の買い物は、基本的に夕方に行くことにしている。
丁度、17時の音楽が流れる頃に。

駅から少し離れた住宅地。
最近この近くにもスーパーやドラッグストアが出来て、そこで買い物をする人も増えてきた。
でも私は断然、商店街派だ。
家から歩いて10分ちょっとのところには、昔ながらの商店街がある。
八百屋、魚屋、肉屋、酒屋、文房具屋、そば屋、寿司屋、和菓子屋、飲み屋。
そしてお豆腐屋さん。
食卓に並べる大抵のものは、商店街で買うことが出来る。
スーパーが悪いとは言わないけれど、私は個人経営みたいな小さなお店を応援したいタチなのだ。

冷麦派?僕は断然そうめん派!(PJさん)

いつもの深めのタッパーを持って、商店街の豆腐屋さんに着くと、店内でかかっているラジオが聞こえる。
DJの人はそうめん派らしい。
夏は冷たくてさっぱりしたものが食べたくなる。

私は断然、冷や奴派だ。茹でなくていいし。

お店に入ると、お豆腐みたいにさっぱりすっきりした顔をした、自分より2歳年上のお豆腐屋さんの姿がある。
昔ながらの豆腐屋さんで、ご両親と一緒に息子の彼もお店に立っている。
「いらっしゃい」という声もすっきりさっぱりした、清潔感のあるものだ。
初めて聞いたとき、とても良い声だなと思った。
話すときに使う言葉も、話すスピードも、聞いていて心地が良いものだった。
話し方に性格が表われると思っているので、話していて心地よいと感じるのは重要なのだ。

子どもの頃からお店を手伝っていたという彼は、豆腐の扱い方もとても優しい。
すぐに好ましいなと思ってしまった。

食卓に繰り返される冷や奴(羽根宮糸夜)

夏は冷たくてさっぱりしたものが食べたくなる。
そして、できれば料理も簡単に済ませたい。
さっぱりしたものは、繰り返し食べても私は飽きない。
結果的に、夏の食卓には冷や奴が高頻度で並ぶことになっている。
お豆腐は大豆イソフラボンも豊富で身体に良い。
さっぱりしていて調理が楽。
豆腐屋さんは素敵。
これだけの理由があれば、毎日のように繰り返されていても不思議じゃない。うん。

いつものように、持っていったタッパーに買った豆腐を入れてもらう。
少しおしゃべりをしてから帰るのがいつものパターン。
今日の話題はさっきのラジオ。
彼は特に冷麦派でもそうめん派でもないらしい。
「特に気にしたことがなかったな」
そう言って、私はどうなのかを聞いてきた。
「夏は断然、冷や奴派です」
さっき思ったことを、そのまま口に出す。
私も特に、そうめんか冷麦かを気にしたことはなかった。
「いつも、ありがとうございます。寒くなっても来てね」
彼は一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐに微笑んで言った。
やっぱり爽やかだ。
爽やかな彼を見て目の保養。
「寒くなったら湯豆腐にします」
すごい豆腐好きな人だと思われているかもしれない。
でももう、仕方ない。
ここに来るのが心地よくなってしまったのだから。

気まぐれなあなたと食べるかき氷(前川あすかさん)

「湯豆腐以外にも美味しい食べ方、色々あるよ」
ニコニコと微笑みながらオススメの食べ方をいくつか教えてくれる。
このお店の豆腐は本当に美味しい。
スーパーのものと全然違う。
豆腐自体の味がしっかりしていて美味しくて、もうスーパーで買う気は全くない。
「あ、まだ時間大丈夫?かき氷があるんだけど」
豆腐の食べ方の話をしていたのに、突然思い出したように言って、こちらの返事も待たず、中に行ってしまった。
今までこんなことは無かったから、珍しい。
「溶けちゃうから食べていって」
折りたたみのパイプイスまで持ってきて「どうぞ」とかき氷を渡される。
しろくまシリーズのかき氷だった。
食べながら、いつもより長い時間おしゃべりができて、私は上機嫌だ。

これ以降、たまにお菓子を出してくれることが増えた。
私が行くとパイプイスが出されるようになった。
おしゃべりをしても良いと思われていることが嬉しかった。

かき氷は溶けてしまうから、お店の中で食べてもらい、それをきっかけに話す時間を増やして距離を詰める。
彼の作戦通りだったことを知ったのは、二人で一緒に湯豆腐を食べるようになった頃だった。


こんにちは。羽根宮です。
みんなの俳句大会さんの「旬杯」のスピンオフ企画「しゅんしゅんぽん」に参加しました。
旬杯の参加作品(俳句・短歌・川柳)を元にして、新たな作品を創作するというものです。

ちょっと自信が無かったのですが、参加してみることにしました。
先日、沙々良まど夏さんの「こっそり返歌」に参加したときに、お豆腐屋さんが出てきまして、それに引っ張られてお豆腐屋さんとのお話を書きたくなりました。

そう思っていて、そのまま時間が経っていたので、この機会に「えい、やっ!」と書いてみることに。
改めて他の方の作品を見るきっかけになったのも、良かったです。
この流れで「勝手に賞」とかも選べますね。

書いてみて思ったことは「私の恋愛偏差値低すぎ」ということでした。
恋愛もの難しい。
キュンキュン来る恋愛小説を読んで勉強しよう。うん。
現在読んでいる本も、おととい図書館で借りた本たちも、その後読む予定にして積んでいる本たちも、恋愛小説っぽいものが見当たりませんが。
まあ、その内……。


今回、参加するに当たって使わせていただいたのは、下記の皆さまの作品です。
お豆腐屋さんの話だったので、自分のものも入ってしまっていますが。
使わせていただいた皆さま、ありがとうございました。


昨日の夜は冷や奴を、お味噌と海苔で食べました。
読んで下さってありがとうございました。
羽根宮でした。


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