聴診器が海苔【毎週ショートショートnote】

ここは港近くの病院。
先日の健康診断の結果、念のため大きな病院で検査を受けた方が良いと言われ、俺は県に1つの総合病院に来ていた。
砂浜近くにある時計台の水兵の飾りが旗を振っているのが見える。
のどかな地域の唯一の総合病院だ。

番号札の番号を呼ばれ、提示された診察室に入って名前を告げる。
俺の名前を確認すると医者の方も名乗った。
｢医師の森です｣
実年齢はわからないが若く見える。
いくつかの問診の後｢では音を聞いてみましょう｣と医者が聴診器を耳に入れたとき、カサリとかすかな音がした。
｢え？！｣
無意識に音がした方に目を向け、思わず声を上げる。
音は医者の持つ聴診器のチューブの部分からしていた。
本来ならゴムで出来ているはずの部分に、海苔が巻かれている。
｢え、何で海苔？！｣
｢大丈夫ですよ、本物そっくりですがフェイクですから｣
｢いや、そうじゃなくて｣
｢これを見れば僕のものだって一目瞭然なので｣
医師の名札には森ではなく海苔と書かれていた。

(410文字)

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こんにちは。羽根宮です。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加しました。
裏お題の｢聴診器が海苔｣です。

羽根宮が簡単に検索した結果、海苔という苗字は存在するようです。

「海苔」(のり)さんの名字の由来、語源、分布。 - 日本姓氏語源辞典・人名力

人口約40人という希少な苗字のようです。
2022年6月に更新されているので、その後は定かではありません。

｢聴診器が海苔｣ってお題を見たときに、もう、真っ先に思いついたのがこれだったんです！！
そのまま書きました。

せっかく海つながりだったので、先日のお題もチラッと出してみました。

文中の水兵の時計台の話はこちらです。

今までに【毎週ショートショートnote】に参加したものは、こちらにまとめてあります。

毎週ショートショートnote｜羽根宮糸夜　5/19文学フリマ東京 Q-38｜note

ご興味ありましたら、読んでいただけると嬉しいです。

読んで下さってありがとうございました。
羽根宮でした。