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【世界一周・旅のカケラ #33】つかのまの幸せ

※写真はジョンファミリー&me。ぶれてるのでアップ!

私がラオスから帰ってきて、道端で出会ったイスラエル人男とチャーン島へ行くまでのあいだ、予期せずジョンに再会してしまったから、チャーン島行きが揺れている。

再会の翌朝、私は自分の泊まっていた宿をチェックアウト。待っていたジョンは、ラオスを走り抜けて泥まみれになった600ccのバイクで、宿の前に現れた。

今日は、彼がお母さんと妹さんと一緒に滞在しているホテルに移る日。とはいえ部屋は母娘、彼と別々だったから、私が彼の部屋へ映り込む形になった。

ちなみに私が泊まっていた宿からこのホテルまで、バイクで約1分。そう、つまり歩いて5分もかからない場所なのだった。笑。それでも「絶対、宿の前で待っててね、僕が迎えに行くから!」という、嬉々としたジョンの申し出を断ることなどできない。笑

さて、ホテルとはいえ白い壁のコンクリートでできた2階建ての建物。ラグジュアリー感はないものの、私とジョンが出会った宿や私が前日まで泊まっていた木製の建物に比べると、現代らしいといか、文明を感じる。笑。エアコンつきだったし!

この日はチェックインしたものの、同じ宿で過ごすことなくジョンはすぐ家族と出かけてしまったので、私はひとりで過ごす。でも好きな人と同じ空間を共有している、ただそれだけでこんなにも心がしっかりと安定するなんて、不思議。それもこの旅に出るまでまったく知らなかった人なのに…。

街に出ると私とのチャーン島行きを楽しみにしているこの男、イスラエル人アミールに出会う。「あのさ、悪いんだけど、出発をまた一泊伸ばしてくれないかな?」と交渉してみると、彼は日程をずらされ続け焦ったようにすねはじめる。

あげく、私とジョンの関係なんか不確かなもの、そんなものに縛られる必要はない、と私たちのことを非難し出した彼。まったく余計なお世話だ。
縛られているんじゃないんだよ、ただシンプルに一緒にいたい、それだけ。それに彼氏彼女、という言葉で縛られることがないからといって、すべてが遊びとも限らない。

「もういいよ、じゃあ、先行けば?コ・チャーン!」と語気が強まる私に、こともあろうか彼、半泣き状態に…。なんなんこの人?本当にへんなのに捕まったな。苦笑。「わかったから、一緒に行こう、もう少しだけ待って」となだめるしかない私だった。

一泊延長した翌朝、彼と彼のママ、妹さんの朝食に混ぜてもらう。

ママはいかにもイタリアンママ!というゴールドのフープピアスと黄色のノースリーブがとても似合い、こんがり焼けた肌の粋な女性だった。

妹さんは、大好きなお兄ちゃんが取られて、私に焼きもちを焼いてると聞いていたので、慣れ慣れしさを抑えてそっと接する大人な私。笑。初対面は適度な距離を保ったまま、でも少しずつ笑顔が見えると、可愛いイタリア人の女の子、だった。

朝食を終え、また別々に過ごしてから、夕方に合流。
ご飯とバーを一緒にハシゴする流れに。もう当たり前のように、私は彼女たちと一緒に行動するのだった。

この時間の最後、ジョンがボソッと私だけに聞こえる声で、言った。「明日、またバイバイやな。何度も最後の日がある。昨日ほどハッピーではいられないよ、また会えるとしても」…。

一緒に過ごす時間が楽しければ楽しいほど、裏腹に寂しさが募るのを抑えられない。せっかく大好きな人の家族に迎え入れられ、家族公認みたいな団らんの時間を過ごせたのに…。

でも過ごせないより、過ごせてよかった、と思う。それは素直な気持ち。

それでも数泊のチャーン島から戻ったら、きっとまた会える。今回はその可能性に支えられている。再会ごとに強くなる絆を信じて、別れよう。

翌日は、チャーン島への出発が控えた夜、そんな複雑な想いで眠りにつくのだった。

この記事があなたの旅欲を掻き立て、また旅の気分を味わってくださったなら幸いです。ガイドブックにはない、ちょっとディープな旅を書いています。サポートいただけたら、また旅に出て必ずこのnoteにてreturnします♡