「異界彷徨」レポート
大阪歴史博物館で2023年4月28日~6月26日まで開催中の特別企画展「異界彷徨 ―怪異・祈り・生と死―」を訪れた。
告知文には
とあり、これを読んだだけで行くと決めて訪問。そしてなんと館内は写真撮影可という気前の良さ。資料採集にバシャバシャと撮影した。
展示は三章立てで、第一章は「怪異と幻想」。<邯鄲の夢>の屏風絵がとても幻想的で目を惹いた。
第二章は「祈りと願い」。展示室内随一の異様な雰囲気を放っていたのはこちらの阿波人形「山姥」だった。遠くからでも気配が漂ってきて、思わずそちらに目を向けるとこの人形が物々しい念を放っていて、鳥肌が立ち肝が縮んだ。
第三章は「生と死」で、もっとも興味深かった展示は「セタ(背板、背駄)」というポータブルの仏壇だ。バックパックの要領で仏壇・仏具一式を背負って歩き、行者は先々で法要したのだという。これは法儀のあり方を考えさせられるような、示唆に飛んだアイテムだった。
他にも此の世と彼の世を渡す境界の興味深い品々が沢山。9:30オープンにあわせて訪問したのだが、この特別企画展もさることながら、博物館内の展示がすばらしく、なんと丸一日16:00まで(6時間半!)も滞在してしまった。ご関心の方は是非の訪問をおすすめしたい。
余談だがこの次の日には万博公園内の国立民族学博物館を訪問し、ここでも丸一日を費やしたのはまた別の話。平安京以前に皇都だった大阪、その歴史は古く、奥が深いのだった。
Text by 中島光信(僧侶)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?