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生成AI社内活用の始まりと全社展開への挑戦

弊社では、2023年11月に社内利用可能な生成AI「WeiseHub」を全社展開いたしました。

このプロジェクトの第一人者となった寺尾拓さんは、Chat GPT公開直後からいち早く個人検証を開始し、生成AIのパイオニアとして活躍。その後「WeiseHub」を開発し、業務効率化とイノベーションの新境地を切り開きました。その功績が認められ、2024年度のCEO賞を受賞されています。

本記事では、生成AI社内活用に至るまで、そして社内活用を浸透させるまでの取組みについて寺尾さんにお話いただきました。

寺尾 拓|Taku Terao
2019年新卒入社。製品開発部門に配属され、開発環境改善を担当。2020年から半年間の育休取得後、開発生産性向上を担当するチームへ。今年の1月からは新設された生成AI開発チームに異動し、機能拡張と新製品の研究開発に携わっている。社内外での活躍が認められ、Qiita社からのオファーによって「Qiita Night〜"ChatGPT"などの活用方法を発信しよう!~」 で社外登壇。2024年度のCEO賞を受賞。



生成AI社内活用プロジェクトのはじまり

学生時代は、プログラムの自動検証をテーマに研究をしていました。私がWorks Human Intelligence(WHI)に入社を決めたのは、「COMPANY」という巨大なシステムを長年保守し続けている点に興味があったからです。入社後は、製品開発部門で開発環境改善などを担当したのち、半年間の育休を取得。復帰後は、チームを異動して開発生産性向上に向けた取り組みに携わっていました。

ChatGPTがリリースされたことを知り、個人での検証を始めたのですが、これはすごいものが出てきたな…と思ったのが率直な感想でした。そこで、開発部門長が参加するMTGに「こんな面白いものが出てきたんです」と雑談ベースで話を持っていったところ、周囲から好反応をいただくことができました。その後、少しずつ人を呼びかけた結果、生成AIの社内活用がプロジェクトとしてスタートすることになりました。

スピード感のある開発と全社展開 ~生成AIの使い道をみんなに伝えたい~

ChatGPTの利用検討の結果、Azure OpenAI Serviceを使った社内利用可能な『WeiseHub』を開発しました。「Weise」はドイツ語で知恵や賢さ。知識や情報が集約される中心的な場所という意味で、WeiseHubと名付けました。

開発期間は約2週間。スピード感のある開発に至ったのは「生成AIの使い道を他の人に伝えるため、できるだけ早く使える状態にしたい」という想いからでした。その後、開発の特定メンバーでの利用を開始。その結果を経営層に報告したところ、全社でのPoc(概念実証)を進めることになり、2023年11月に全社展開するに至りました。

WeiseHubの入力画面

全社展開に至るまでのハードル 

全社展開を進める上でいくつかハードルがありました。その1つがリスク管理です。センシティブな内容をどう取り扱うか。どのような情報を入力して良いのか制限するルールをどう決めるかが課題でした。ガイドラインの作成と周知に苦労しましたが、全社員がリスクを正しく認識できるように、全社員受講必須の教育コンテンツを早期に実施。また、社内向けの教育サイトを常設して学習環境を提供しています。

さらに、開発部門以外のユースケースの特定にも苦労しました。他部門からプロジェクトへの協力者を見つけ、ユースケースの結果を取りまとめるのはどうしても工数がかかってしまってしまう。そこで、各部門でプロジェクトの推進者をアサインし、推進者に各部門のユースケースの取りまとめをお願いすることで進めていきました。

次に向き合う課題はWeiseHubの利用促進

これまで、50件以上の活用事例と353人日/月の削減効果が生まれました。特に開発でのユースケースが多く、新人のオンボーディングや、普段使ってない技術についてコードの挙動を説明させ、キャッチアップ時間を短縮するなど大きな効果が出ています。

現在の課題は、WeiseHubの利用促進です。利用促進には、トップダウンとボトムアップどちらの側面も重要です。WeiseHub利用に必要となるアカウント申請は、経営層から従業員への呼びかけを行ったことで、アカウント付与率は7割以上になりました。

一方で、実際に業務で活用してもらうためにはボトムアップのアプローチが重要です。 「こういう風に業務で生成AIを使っている」という現場の口コミによって利用が広がっていくのですが、ここがまだ足りない。そこで、利用者に活用方法をヒアリングして全社展開する取り組みを始めています。

現場へ普及させていくため、新卒研修にも生成AIを使った開発課題などを取り入れています。分からないことはGoogleで検索をしてみる、という当たり前が、まずはWeiseHubに聞いてみるように変化してきたと思います。若手から現場へ、どんどん利用が促進されていって欲しいです。

これから目指す寺尾さんの目標とは

私は、仕事をする上で遊びの時間を作ることを大切にしています。業務を100%やらなければいけないことに使ってしまうと、アウトプットができなかったり、長期的な視点で物事を考えられなくなってしまう。なので、アイデアを試したり、世の中の動きについて調べる遊びの時間を作ることで、一つのことに集中できる環境を作るようにしています。

現在は、開発生産性向上に取り組むチームから、今年の1月に新設された生成AIの開発チームに異動しました。今後は、技術の進歩に合わせてWeiseHubも進歩させていきたいです。社内活用が進み、社員の皆さんから「こういう機能が欲しい」という要望をいただいているので、1つずつ実現に向けて進めていきたいと思っています。

そしてゆくゆくは、開発生産性向上に取り組むチームに戻り、生成AIを活用してCOMPANYという巨大なシステムをいかに効率よく保守・開発していくかに挑戦していきたいですね。

2024年全社キックオフにて、CEO賞発表の瞬間

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