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30%の冒険と70%の安定

松田聖子のSWEET MEMORIESの歌詞とメロディー、楽曲の空気感がとても好きだった。

松本隆が歌詞を書き、大村雅朗が楽曲を書き、アレンジをしたと知った。

松本さんのことは、はっぴいえんどやルビーの指輪をはじめ、数え切れないくらいの楽曲の作詞者として知っていた。大村さんのことは、はじめてだった。

SWEET MEMORIESを聴いた時、胸の中に感情が広がって、なんとも言えない気持ちになった。

そんな楽曲を書いた大村さんについて、もっと知りたいと思った。

そこで、アマゾンで本を買ってみた。

大村さんの本は、大村さんを愛する人たちの言葉でいっぱいだった。八神純子、渡辺美里をはじめ、70年代からたくさんのアーティストのアレンジ、楽曲提供をしてきた人だと分かった。

この人がいなければ自分の人生はなかった。

そういう出会いが誰にでもある。

大村さんがいなければっていう人が、こんなにも多くいるとは知らなかった。

そして、それはとても素晴らしいことだった。

愛することは主体的だけれど、愛されることは、受動的だ。
自分からお願いしても、最後に決めるのは相手なのだ。

だからこそ、これだけたくさんの人に愛されるということは、それだけの魅力がある人だったのだと思う。

この本の最後には大村さんのインタビューがある。
そこで大村さんは楽曲制作について、30%の冒険と70%の安定が大切だと語る。

100%の安定だと緊張感がないし、冒険を50%くらいすると中身が壊れてしまう。

大村さんはこう語る。確かに、冒険だらけになると、リスナーとの接点が離れ、良さを理解することが難しくなる。このことにこだわる大村さんは、聴き手に寄り添ったアレンジャーなのだと思った。

46歳でこの世を去った大村さん。

そんな大村さんが手掛けた楽曲は今も愛され続けている。

大村さんと関わった人は、今も大村さんを偲んでいる。

人生なんていつどうなってしまうかわからない。

だから、短い長いじゃなくて、その人が、どれだけたくさんの人に愛されたのか。

その人がいてくれてよかったと思う人がどれだけいたのか。

大村さんの言葉、関係者の言葉を読んで、人生で大切なものについて考えさせられた。

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