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ローソンの変人店長から学んだ大事なこと#仕事編

こんばんは。
りんです。

前回は、私がアルバイト時代に出会った変人店長のお話をしました。
記事を読んでいただけるとわかるのですが、癖の強いキャラクターだったことが伝わるかと思います。

そんな変人店長ですが、赤字のローソンを救った救世主であり、仕事人として学ぶべき部分がたくさんありました。
今回は彼から学んだことを紹介していきます。

仕事の始まりは整理整頓から!本気の姿勢は人を動かす

ローソンの赤字の危機を救う最初の一歩は、変人店長の掃除から始まります。
前回お伝えした通り、当時のお店の状況は在庫まみれで、バックヤードはオリコン(在庫を入れるプラスチックケース)の山でカニ歩きしなければ移動できませんでした。

店長が在庫を一掃して3年目にして初めてちゃんと床を見た時には、バックヤードが広かった驚きを今でも覚えています。
が、それと同時に目にしたものは、荷台のキャスターがつけた擦り跡、砂、埃、ゴミ、匂いに釣られて隙間から入って来たアリ等、目を背けたくなる光景が広がっていました。

綺麗好きな私からすれば、正直これならまだオリコンに囲まれていた方が良かったぐらいでした笑
しかし、店長の本気はここから始まります。

在庫が整理された翌日に出勤すると、なんと床がピカピカに磨かれていました!
床は掃除機をかけたりモップをかけたりした程度では絶対に落ちないほど汚かったので、相当労力をかけたことが伺えました。

後で聞くと、激オチくんを使ってタイル1枚1枚を丁寧に磨いたそうです。
私はこの時「あ、この人本気で仕事してるんや。お店を変えようとしてるんやな。」ということに気づきました。

そして、更衣室まで進むと解体したダンボールを敷いて寝ている店長がいました。
在庫を整理した日の時点ですでに徹夜だったので、どうやら一度も家に帰らず二徹して3日目を迎えていたようでした。

そんな店長が放った第一声が「俺ダイオキシンみたいな匂い発生させてるから、近付かん方がええよ。」でした笑
思わず爆笑してしまいましたが、私も何か力になりたいと心から思った瞬間でした。

チームで結果を出すリーダーはパフォーマンスを発揮させる環境づくりが上手い

私は小中の部活でサッカーをしてきましたが、全くチームスポーツの楽しさやチームワークの大切さがわからないまま育ちました。
私がその大切さを知ったのは、ローソンの仕事を通じてのことでした。


コンビニの仕事は基本2人体制がほとんどですが、早朝、昼、夕、夜勤と24時間止まることなく続きます。
そして全ての時間帯の人間が引き継ぎをしたり、次の時間帯の人のことを考えて仕事を終わらせておいたりするチームワークがとても大切になります。

ところが、当時のローソンにそんな考え方は全くありませんでした。
この文化に風穴を空けて仕組み化したのが変人店長です。

ローソンでは月に一度、からあげクンの1個増量セールを開催していました。
※現在も行われているかはわかりませんが。

お店の平均日販は10万円以下の赤字続きで、定期的に阪神タイガースの試合が甲子園球場で行われる為、ファンの方々のおかげで、なんとか首の皮一枚が繋がって生き残っているような状態でした。

そんなお店なので、からあげクンをはじめとするFF(フライフーズ)の売上が良いはずもなく、本部からの出されるノルマに対しても「今回も未達だろうな〜。」と思っていました。

ところが店長は「今週から毎日80個売るから、夕勤でバンバン売ってくれ!頼んだ!」と売る気満々でした。
夕方が一番お客様の来店が多いことと、私が一番歴が長かったので任せてくれたのかもしれませんが、「それは流石に無理だろう。」と思いました。

しかし、店長が本気だったことがすぐにわかりました。
彼は夕勤が本来行う業務の品出し、清掃、温度チェック、新商品の棚づくり等、全て片付けており、セールスにのみ集中できる環境づくりをしていたのです。

私は彼がここまでしてくれた本気に誠意で応えたいと思い、3年間やったことがないセールストークを始めました。
最初は全然売れなかったのですが、一度店長がお手本を見せてくれて同じようにやってみるとどんどん売れるようになりました。

結果的に、夜勤メンバーが出勤する頃には初日の売上は100個を超え、その日から1週間、毎日100個以上を売り切りました!
私は夜勤メンバーにセールスのコツを引き継いだり、22〜24時間の残り2時間であと少しでも粘れるよう、夕勤の時間で彼らの仕事を巻き取るようになりました。

店長が仕組みを作り、流れを作ってくれたおかげで私たちは格段に働きやすくなったのです。
また、レジ内の備品の整理や補充、油交換等の汚れ仕事も店長が率先して前倒しで仕事をしてくれたので、それ以来私たちも夜勤、早朝の時間帯のことを常に意識して仕事をするようになりました。

これを機にお店が効果的に機能し始め、毎月のからあげクン増量セールの1週間だけ、私たちの店舗はエリア内で圧倒的な売上を誇る結果を残し続けました。
エリア担当のSV(スーパーバイザー)も驚き、良くも悪くも変人店長は目をつけられることになります。

余談ですが、私はからあげクンのことを考えすぎて、最初の1週間で2回もからあげクンに追われる夢を見ました笑

意図と方法で目標達成をする

職種を問わず、仕事が面白いと感じられるのは、何かできることが増えて自分の成長を感じられたり、目標を達成したりした瞬間ではないでしょうか?私にその目標達成の面白さを最初に教えてくれたのは、からあげクンの売り方を教えてくれた変人店長でした。

私は目標達成の快感が忘れられず、ノルマがある時は必ず達成してきました。
今思えば店長の手の平上で転がされていたような気もしますが、バイトだった私が仕事に本気で取り組んで夢中になっていたことは事実です。

そんなローソンの一大イベントの一つにクリスマスセールがあります。
販売ノルマの対象商品は、ケーキと黄金チキンです。

ただ、販売目標が大きすぎて、いつものようなセールストークだけでは乗り切れません。
事前の予約と当日の集客力やプロデュース力が試されました。

店長は近隣のお客様のみならず、大阪まで出向いて予約を取り付ける圧倒的な販売力を見せつけてくれましたが、それでもノルマには到底及びません。
彼は本部から支給されたポップやチラシを最初から当てにしておらず、大きな花火のようなお客様の目に止まるインパクトのあるものを求めていました。

その第一案がクリスマスツリーです。
大量のクリスマスツリーをオーナーに交渉しようとしましたが…断念。

断られた後の当時の会話を今でも覚えています。

オーナー「新しく〇〇(車の名前)買ってん。これで娘の送り迎えできるわ。」
変人店長「オーナー、そんなにお金あるならツリー1本どころか森買えますよ。」
オーナー「ツリーがあることで売れるか分からんし、置き場所困るものなんか買えるか。」
変人店長「ですよね〜。」

オーナーは決して悪い人ではなく、むしろ経営者なら原価を下げることは当たり前なので仕方なかったです。
が、個人的にナイスアイデアだった店長の苦肉の策を無下にされたことは少なからずショックでした。

その後、店長は自腹を切ってツリーを入口に置きました。
それでもまだ何か足りない、そう思った彼はまた奇抜な発想に至ります。

コスプレです笑
それも綺麗な奥さんが執事、店長がメイドという男装と女装の組み合わせなのです!

本部がそれをOKしたのかは定かではありませんが、本格的にコスプレをして店内をクリスマス風に装飾して本番を迎えました。
結論からお伝えすると、兵庫東エリアで1番の販売個数を達成しました。

常連さんがたくさん来てくれたことや、バイト仲間が友人や家族を連れ立ってくれたこともあります。
が、一番の結果の原因は店長のメイドのコスプレを面白がって目に留まった人が多かったことでしょう。

客観的に見ると、相当変なお店だったと思います。
しかし、結果が良くてルールを守りさえすれば方法はなんでも良かったのです。

大切なのは意図からくる方法を選択することで、店長にはちゃんと勝算があったことがわかりました。
なかなか極端な事例だったとは思いますが、目標達成の方法に正解がないことを教えてくれました。

ちなみに、店長はメイドのコスプレをするために、前日に全身の毛を剃ったそうです。
その後、奥さんの都合がつかず、なぜか私が付き合わされて、店長と共にコスプレ用のパンストを買いに行く羽目になりました。

クリスマスシーズンでどこも売り切れてしまい、西宮にあるいくつもの商業施設を男二人がパンストを買い求める奇妙な絵面は2度と思い出したくありません笑

いかがでしょう?
変人店長の変人ぶりが発揮されていましたが、仕事人としては超一流だったことが伝わったかと思います。

学んだことはたくさんあるのですが、書ききれないので今日はここまで。
ありがとうございました。


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