マガジンのカバー画像

むかし書いた韓国コラム 乗り物編

79
「むかし書いた韓国コラム」から乗り物に関するものをピックアップしてみました。
運営しているクリエイター

記事一覧

むかし書いた韓国コラム #998

 地下鉄1号線と4号線が乗り入れるソウル駅。この駅の正式名称は実は「ソウル駅駅」だ。鉄道公社の「ソウル駅」の前にある駅なので「ソウル駅駅」という。路線図を見ても「ソウル駅」と表示されていることから確認できる。ただし車内放送では「次はソウル駅駅です」という案内はしておらず、「次はソウル駅です」と案内している。以前は「地下ソウル駅です」という案内もしていた。  ソウル駅駅ができたのは地下鉄1号線が開業した1975年のこと。当時の駅名は「ソウル駅前駅」だった。こんな駅名になったの

むかし書いた韓国コラム #981

 釜山に行くためにKTXの時刻表を眺めていたら妙なことに気がついた。ソウル駅を出発する下り列車は10~30分おきにあるのだが、11時からは12時まで1時間にわたり列車がないのである。そして不思議なことに釜山発の上り列車も午前11時から正午まで1時間列車がない。  この謎の現象、京釜線だけでなく湖南線でも同様で、竜山発の下り列車は10時55分の次は12時5分となる。木浦発の上り列車も11時の次は12時5分と、なぜか始発駅基準で午前11時から1時間の間に出発する列車はないのだ。

むかし書いた韓国コラム #958

 ソウルから釜山に行くのにいつも飛行機を使うかKTXを使うか迷うのだが、ふと思い立って市内バスだけで行けないか調べてみた。すると意外に多くの人が挑戦しているようで、多くのブログが見つかった。ルートはさまざまだが、概ね20回以上の乗り換えが必要で、所要時間も20時間以上かかるようだ。料金も3万ウォン前後で、高速バスと比べてもそれほどの割安感はない。それでも高速道路を走る高速バスより地元密着の市内バスは通り過ぎる街の雰囲気もしっかり感じられ楽しそうだ。高速バスと違い座れる保証はな

むかし書いた韓国コラム #935

 韓国中部内陸部を走る観光列車「Oトレイン」と「Vトレイン」は好調のようで、その後南部地方を走る「Sトレイン」が登場した。通常の車両と違い、いずれも車内は観光客向けに趣向を凝らしており、特にVトレインはトロッコ風の列車となっている。  鉄道公社はさらに新たな観光列車を5月から運行する。その名も「DMZトレイン」。ソウルと都羅山を結ぶもので、車体デザインは平和・自由・和合をテーマにした。現在ソウルから臨津江・都羅山へは途中のムン山で乗り換えなくてはならないが、DMZトレインは

むかし書いた韓国コラム #913

 今年春に開業した大邱都市鉄道3号線は韓国初の本格的モノレールということもあり人気を呼んでいる。その3号線の車内放送がちょっと変わっている。一部で大邱の方言を使っているのだ。大邱の観光スポットの最寄駅となる達城公園駅と西門市場に接近する際に流れる。列車の車内放送は全国どこでもソウル言葉を基本とするいわゆる標準語が使われており地域性は感じられない。大邱のこうした試みはなかなか画期的だ。  3号線の車内放送は韓国語と英語で流れるが、一部主要駅では日本語と中国語の案内もある。両駅

むかし書いた韓国コラム #910

 平昌五輪を控え先月開業したソウルと江陵を結ぶKTXの路線名称は「京江線」という。ソウルを意味する「京」と、江原道を意味する「江」を合わせたものだ。しかし運行区間がわかりにくいという意見が多いことから、鉄道公社では新たな名称についてアンケート調査を実施することにした。候補に挙がっているのは「江陵線」「江原線」「京江線」「冬季オリンピック線」「嶺東線」の5つ。ほかにもぴったりの名前があれば提案できる。調査結果を基に2月中に路線名変更を推進する考えだ。  日本でも冬季五輪を機に

むかし書いた韓国コラム #902

 新幹線「のぞみ」に使われた300系電車が3月16日に営業運転を終了した。生まれた時にすでに「ひかり」が走っていた筆者の世代にとって300系こそが「夢の超特急」であり、あこがれの電車だった。乗る機会がほとんどないままお別れとなったのは寂しい限りだ。  一方、韓国でも一時は国を代表する花形列車だった「セマウル号」の退役が迫っているという。花形の座はKTXに譲ったものの、高級列車としての風格はセマウル号の方が上だ。ソウル~釜山間を最速4時間10分で結んだセマウル号は、普通席でも

むかし書いた韓国コラム #900

 廃線となった鉄道路線の線路を利用した「レールバイク」と呼ばれる施設が各地で運営されている。線路跡の細長い土地は活用しにくく、線路の撤去費用なども考えると有効利用と言える。一方、建設した路線を一度も営業することなくレールバイクに生まれ変わらせる計画もある。  仁川駅から月尾島を結ぶモノレール「月尾銀河レール」は、試運転中に安全事故が多発し、軌道のずさんな工事なども発覚したため営業認可が下りないまま数年が過ぎた。再施工には多額の資金がかかるため処理方法について検討が進められて

むかし書いた韓国コラム #886

 ソウル市が新たな交通手段としてゴンドラリフトを検討している。ゴンドラリフトとは小型のロープウェーで、ロンドンではテムズ川をまたぐゴンドラリフトが運行されているが、これと同様のものをソウルにも作ろうとしているのだ。交通不便な地域や観光客が多い場所などを中心に計画を立てることにしており、汝矣島、蚕室運動場、トゥクソム漢江公園などが有力候補地に挙げられている。ソウル市は早ければ2019年に着工したい考えだ。テムズ川のように漢江を挟んで江北地区と江南地区を結ぶ新たな交通手段が誕生す

むかし書いた韓国コラム #884

 6月30日に水仁線の烏耳島~松島間が開業した。最新鋭の車両が走るこの路線、以前は韓国で唯一のナローゲージの列車が走っていた。線路幅762ミリの軽便鉄道規格だ。線路幅1435ミリの一般鉄道と比べると車両も小さくおもちゃみたいなものだった。単線非電化の路線は1995年に廃止されており、17年がかりで複線電化で華麗な復活を遂げることになった。  廃止前の晩年に水仁線を訪れたことがある。最後に残った狭軌鉄道ということで注目を集めており、訪れた当日は休日だったこともあり相当な人出だ

むかし書いた韓国コラム #877

 高速鉄道KTXがソウルと釜山をノンストップで結ぶ列車を今月から1日1往復運行している。これで京釜間は10分短縮の最速2時間8分で結ばれることになる。さらなるスピードアップで2時間を切れば高速鉄道としてのインパクトも高まるが、なかなか難しいだろう。  それよりもインパクトがあるのは、ノンストップというところだ。これまで停車駅は増やしても減らすことはなかったのに、大田と東大邱の両駅を通過させてしまうというのは英断だ。東海道新幹線「のぞみ」が名古屋を通過した際には地元から大きな

むかし書いた韓国コラム #842

 スマホのアプリでKTXのチケットを買おうとした。乗る列車を決めて決済しようとしたところ、画面に「選択した列車は他の列車に比べ停車駅数が少なく、料金が最大0.6%高くなります」と書かれたポップアップウインドウが現われた。確かに、選んだ列車はソウルから大田までノンストップで走る便だった。しかしわずか0.6%とはいえ「高くなります」と言われるとちょっと気分は良くない。停車駅が少ない分だけ所要時間は短くなるが、だからといって新幹線「のぞみ」が「こだま」を追い抜くようにKTXが先行列

むかし書いた韓国コラム #831

 海外から仁川空港に到着してうんざりするのはタクシー乗り場だ。ソウル市内まで7万ウォンという料金を提示されるが、空港までメーターで5万ウォンだったのに、どうして帰りの料金が上がるのか理解できない。けんか腰でやりとりすることも多く、観光立国を目指す国の玄関口のタクシー乗り場としては非常にお粗末な感じだった。  最近は空港内にインターナショナルタクシーのカウンターができている。ここでタクシーを申し込めば料金は定額でぼったくり一切なし。一般タクシーとほとんど変わらない料金で利用で

むかし書いた韓国コラム #804

 ソウル歴史博物館の前庭に、かつてソウル市内を走っていた路面電車の車両が展示されている。廃止されてからすでに40年が過ぎている。保存場所を転々としながらボロボロになっていた車両だが、なくなっていた部品類も新たに製作され現役当時のピカピカの姿に復元された。おざなりな保存が目に付く韓国では奇跡的とすら思える。  日本では近代化遺産や産業遺産、機械遺産としてさまざまなものが保存されている。これに対し韓国では古いものはあまり顧みられていないようだ。「漢江の奇跡」と称される高度成長期