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『ワンダリング・ノート』〜トムとレナ(9)
ルナ・テノール:あはは! レナちゃんが怒ってる?「私のトムを返してよ!」って言ってるみたいね。
トム:「二人ともやめるんだー! 僕のせいで、君たちをこんな争いに巻き込むことは望んでいないー!」
ルナ:「PAUSE」ボタンっと。
トム:あっ! ずるいぞ!! レナの必殺技の最中に一時停止するなんて!
ルナ:ゲームは1日1時間って、どこかの名人が言ってたでしょ?
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トム:さて、だいぶ終わりに近づいてきたぞ。これはこの間の出来事だから、まだ覚えているな。「鏡の世界」のマスター的存在の「永霊鏡」に突然ヒビが入ってしまったんだった。
ルナ:お婆さんは、なぜか私に奇妙なステッキをくれたのよね。あのライスって人は、結構気に入ってたみたいだけど。
トム:僕らが「永霊鏡」の様子を見に行って、一人残ったお婆さんの前に、ある人物が現れたんだ。それは・・・。
ルナ:それは?
シャドートム:僕だよ、レナぁ・・・
ルナ:!?
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シャドートム:辛い過去を幾度となく味わってきた僕は、全てを諦めたんだ。世界がどうなっても、僕は知らない。
ルナ:私は良くないわよ! あなた・・・どこかの世界のトムなのよね? この際だから、何がしたいのか男らしくハッキリ言いなさい。
トム:「永霊鏡」の割れた鏡を、ライスのお米の能力でくっつけて応急処置すると、同時にその鏡から、僕が昔描いたラクガキが浮かび上がったんだ。
ルナ:あなたの影が出たり入ったり、大変な身体ね。
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トム:影の記憶を頼りに話を進めると、彼・・・影の僕は「ブックマーク」という能力を使って、生成釜をその本に取り込んでしまった。どうやらその本は彼自身の悲しみや苦悩と引き換えに、他人の楽しい記憶をそのページに埋めているようだ。
ルナ:何それ? 最悪の能力だわ。
トム:一度はお婆さんのバナナの能力で、その影を取り押さえたんだけれどね。でも狡猾な影の僕は、バナナの皮を本のページに見立てて、それをめくらせてしまった。その途端、「ブックマーク」が発動してお婆さんは負けちゃったんだ。
ルナ:怖っ! トラウマバナナね。
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トム:いよいよ影の僕が、君らの前に姿を現した。ライスはお米の粒の嵐で応戦したけれど、効果はなかった。そして僕の右腕の文字は影の僕によるものだったんだ。ルナの最後のメッセージを、自分で忘れないように刻みつけたらしい。でもおそらく彼は、ルナとレナの区別がついていないようだ。
ルナ:彼にはまだまだ、深い謎がありそうね。
トム:・・・あれ? 今日は英語を使っていないね? 僕の英語アレルギーに気を使ってくれたのかな?
ルナ:そういえばあなた、どうして英語の勉強してるの? 拒否反応が出てまで、続けてる理由は何?
トム:それは・・・何か、カッコいいって思っちゃったからかな? サンドキャッソーって、強そうな感じじゃん?
ルナ:砂のお城が、どうしてカッコいいの? くずれちゃうよ? トムがお城をたかく作るから、服がよごれちゃう。
トム:だから、くつをぬぐんだよ。すながはいっちゃうからさ。
ルナ:そうなんだ。はだしのトムだね! はだしのトム!
トム:え?
ルナ:え?
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