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徒然なるままに・・・041_20220703

選挙に行こう

昔、選挙事務を手伝ったことがある。

今でも印象にのこっている風景がある。
毎回、選挙があるたびに、その風景を思い出し、選挙に行くことの大切さを考える。

投票会場の入口のところに、80歳ぐらいのご老人が立っておられた。
その方は、おそらくご自身が持っておられる服の中で一番きちんとした服、いわゆる一張羅をまとっておられた。フェルトのハットをかぶり、背筋を伸ばして、正装で一礼。

私はこれから投票をいたします。
そういう姿勢で入口から入ってこられた。

今から20年以上も前のことであるため、その方は明治か大正生まれの方だったと思う。

普通選挙法が制定されたのが1925年(大正14年)ということだから、その当時に生まれたご年配の方は、選挙に対して並々ならぬ思いをお持ちであっただろうと思う。

同法成立直後には、女性には参政権がなく、1945年(昭和20年)の改正によってようやく女性も政治に参加できるようになった。そんな時代。

このご老人の一礼は、そういう時代背景を一瞬のうちに理解させ、選挙に参加することの喜び、一票を投じることの重み、そういう思いが詰まっていた。当時20代だった私はその姿に衝撃を受け、その意志を継ぐ若者でありたいと思ったものだ。おじいちゃん子だった私は、年配者から学ぶということがどれだけ尊いことかということを肌で感じて知っている。

このご老人は当然、出口でも深々と頭を下げられ、今日の一仕事を終えたという充実感を背中から漂わせ、帰っていかれた。

ここで政治について書くつもりはない。
選挙に対してどうこういうつもりもない。

ただ、私は選挙の時には、かならずあのご老人の真摯(紳士)な振る舞いを思い出し、国を作ってこられた先人たちに敬意を払うためにも、一国民として選挙には行かなければならないと思うし、私個人は気持ちと服装を整えて、投票所に向かおうと思う。

来週はいよいよ投票日。

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