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Nulbarichという音楽

かなり有名になってきたのでご存知の方も多いと思います、Nulbarich(ナルバリッチ)。彼らのパフォーマンスを昨年(2019)、直接体感し、受けた衝撃を、書き残しておきます。


昨年はフェスへの出演などが多かったのですが、ボーカルのJQがLAに拠点を移したのと、このコロナの影響で、最近は露出が減っているかもしれません、Nulbarich。少し前まではSuchmosと比較されることも多かったのですが、僕の感覚では、Suchmosがやっている音楽とは全然別ものです。

僕も、音楽アプリのシティポップ系のおすすめとかで、彼らの楽曲を何回かは聞いたことがありました。ただ、正直、音源を聞いただけではファンになるほどではなかったんです。

彼らに対して大きな驚きを感じたのは、昨年、2019年のロッキンジャパンでのことでした。

なんとなく、その日のラインナップだと自分の趣向に近いのはNulbarichかなと思い、とてもラフな気持ちでステージを観覧しに行きました。オシャレな若い子たちの、オシャレな音楽が聴けるかな、というくらいの期待度だったのですがー。

演奏が始まった途端に、イメージは激変しました。オシャレな若者が奏でる単なるシティ・ポップとか、そんなレベルではなかったんです。イメージで言うと「フルバンドで行うド迫力のJAZZ」という感じでしょうか。

なかなか形容が難しいのですが、とにかく、その場で行われている演奏と音楽の、瞬間瞬間がクリエイティブで、新しいんです。音楽にその場でチャレンジして作っていく、パワフルで革新的な音楽がそこにありました。

私は、ライブに関しては、例えばブルーノマーズやコールドプレイは米まで観に行ったり、少なく見積もっても、これまで300本は観ておりますが、あれほど心から感激したライブは初めてだったように思います。

ジャンルとしてはJAZZではないのですが、演奏の仕方がいい感じに崩れてて、姿勢がJAZZなんです。

更に、ボーカルJQのパフォーマンスがとてもフランクで楽しいです。観客とコミカルな対話を繰り広げつつ、バンドと「次いくぞー ソロ振るぞー いけーブチかませー!」みたいなやり取りを、音楽の中で会話しながら展開していきます。

アメリカのJAZZバーで演奏しているメンバーが、お互い様子を伺いながら、音楽的に、外したり合わせにいったりして楽しそうに演奏している映像を、テレビとかで観たことありますよね。あの感じを、大音量で大きなステージで、思いっきり、やっている感じです。

それ故か、ボーカル以外のメンバーも楽しそうに、にこにこしながら演奏しています。あんなにバックバンドが自然な笑みを浮かべて、楽しそうに演奏してるバンド、ほんっっとうに、少ないんですよね。

リラックスしてるからと言って、音もラフになるかというと、そこは全然そんなことはない。締りのあるスネアと、空気全体が揺れてるような、厚みのあるキック。可聴範囲のすべてをフルに使ってパフォーマンスしているような、すんごい迫力なのです。

なんでしょう、とにかくすんごく楽しく、心の底から「スカッ」とさせられます。観ている自分も、音楽というものを初めて【音・楽】した感覚。音を楽しむというレベルより、音楽における「楽しみ」の形を、その場で作りながら演奏している感じです。音を奏でる楽しさに溢れた空間に、自分が入っている感じがするんです。


 調べると、Nulbarichのメンバーは、ボーカル以外は固定されていないそうです。その時々でフレキシブルに交代し、編成が変わるらしいです。そういうとこもJAZZ的で、いいなと思います。

配信音源を聴いてNulbarichというバンドを判断してしまうと、とっても勿体無いです。音源は打ち込みが多いせいか、だいぶ迫力が落ちてしまっています(本音ベースですみません)。

生音は、配信音源とはぜんぜん、別物です。ぜんっぜん、迫力が違います。騙されたと思って、一度、彼らの音を、どこかで生で聴いてみてください。

ボーカルのJQがLAに拠点を移している上に、この状況で、なかなかGIGが観られない状況になってしまいましたが(ローリン・ヒルの来日ライブに出演予定でしたが、これも延期になりそうですね)、日本人で初めてグラミー賞をとるアーティストになるのではないかなと思っています、Nulbarich。注目です。


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