双極性障害のお薬 ①バルプロ酸ナトリウム

はじめましての方ははじめまして。
いつもご覧いただいている方はお世話になっております。
マルと申します。

今回は双極性障害の治療に使われる薬について解説してみます。

まずは私自身が使用している薬について、複数回に分けてお送りします。

私が服用している薬は①バルプロ酸ナトリウム、②クエチアピン、③リスペリドン、④エスゾピクロンの4種類です。

初回はバルプロ酸ナトリウムというお薬について書いていきます。

薬効および使用している感想をまとめられたら、と思っています。

使用薬剤
①    バルプロ酸ナトリウム 700mg

まずは治療の根幹をなす気分安定薬であるこのお薬から。

気分安定薬というのは広い意味では双極性障害を治療するための薬剤という事ですが、狭義では「①急性期の躁状態、②急性期のうつ状態、③予防治療(維持治療)のすべてに有効な薬剤」のことを指します。

しかし、これを満たす薬はリチウムしかありません。1)

そこでそれ以外の効果が限定される気分安定薬を使用する場合には、他の薬剤と併用することで治療効果を十分に発揮できるようにすることが多いです。

私は気分安定薬としてはバルプロ酸ナトリウム(単に「バルプロ酸」と呼ばれることも多い)というものを用いています。

これはリチウムの次によく使われる気分安定薬とされます。

私の場合はクエチアピンと組み合わせて使用しており、その場合には維持治療にも高い効果が得られることが示されています。1)

具体的には、バルプロ酸は単剤では特に①急性期の躁に効きが良いのですが、②急性期のうつ状態、③維持治療には一定程度の効果がありますが、万全ではありません。

そこで平常状態から躁状態およびうつ状態になることを防ぐために、バルプロ酸をクエチアピンと併用して服用しています(それ以外に服薬している薬についても処方している理由はあります)。

バルプロ酸ナトリウムの働きとしては、双極性障害の発病に影響するとされる、遺伝子のメチル化2)――DNAの塩基に炭素がくっつくこと――を防いだり、脳内で神経伝達物質のやり取りを行うイオンチャネルに影響を与えるという治療効果もあるそうです。1)

ただし、私の場合には児童期に脳波の乱れが観測されているためにリチウムが使用できないので、バルプロ酸ナトリウムを使用している面が大きいです。

ちなみにアメリカの研究などでは800mgを標準的な最低使用量としています1)
しかし、日本人の私はサイズがアメリカ人より小さいこともあり、現在700mg投与しています。

なお、若年期からの長期間投与により肝機能に異常をきたすケースが少数あるため、1年に一回程度、バルプロ酸の血中濃度を調べています(このようにお薬の使用中に血液検査を定期的に行う場合は多いです)。

バルプロ酸ナトリウムは商品名であると同時に薬剤の成分名でもあり、同じ成分の先発薬にデパケンというものがあります。

こちらの呼び方の方がなじみのある方もいるかもしれません。

ここまでが薬のプロフィールについてです。

続いて、服用している所感ですが、まず眠気についてですね。

多くの薬に共通することですが、服用すると眠気が出ます。
以前は服薬後、体感十数分で眠くなっていました。

その後、ぐっすり眠れるので気分はいいのですが、朝にやや眠気が残っていました(クエチアピンやリスペリドンの影響もありますが)。

ところが最近はそうでもありません。服薬してもあまり眠くならないようになり、夜寝つきが悪くなったような感じになっています。

バルプロ酸は睡眠薬ではないので、血中濃度と合わせ、眠くならないからといって増やすわけにもいきませんし、困ったなあ、という感じです。

一応服用に際し耐性のつく薬ではないらしいのですが…。

私の他にも最初のころ薬の影響で寝すぎていたけれど、飲み続けるうちに寝つきにくくなったという方はいるのではないでしょうか。

ただし、バルプロ酸は双極性障害の治療の根幹をなす薬と認識しているので、薬が効いていて安定して生活できているという実感はあります。

医師の説明の上で、自分で効果を納得したうえで服薬しているので安心感があります。

このように治療の内容などを医師としっかり話し、信頼関係を築いておくのが重要だと思います。

ここまでいかがでしたでしょうか。

感想を多めに書こうと思っていたのですが、薬の働きを患者目線で丁寧に解説した文章もあまりないと思っていたので、バルプロ酸について知っていることを網羅してみました。

次回はクエチアピンというお薬について解説や使用した所感を書いていこうと思います。

文献

1)       加藤 忠史 (2023). 双極症――病態の理解から治療戦略まで―― 医学書院
2)       MBLライフサイエンスHP
https://ruo.mbl.co.jp/bio/product/epigenome/article/DNA-methylation.html
(閲覧日:2023/12/27)

なお、このnoteに誤っている部分がありましたら、お教えいただけると幸いです。指摘を鑑み、修正いたします。


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