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【小説】『君らは選ばれし戦士だ!!』⑦天国と地獄編

【天国と地獄編】

勇作が目を覚ました。
勇作「ここはどこだ? ち、千夏とゆうかは?」
勇作はあたりを見まわたした。視界は霧で何も見えなかった。
突然勇作の前方上空が輝いた。
勇作「て、天使?」
女神「ここは天国よ、勇作くん」
    「私は女神アクア」
勇作「俺は死んだのですか?」
女神「そうよ、あなたは未来人の銃で撃たれて死んだの」
勇作「千夏とゆうかは?」
霧が薄くなり、あたりの景色が見えてきた。
ここから見える景色は、緑の豊かな山に囲まれた湖のほとりだった。
後ろには、丸太小屋があり、湖の船着き場には豪華なクルーザーが停泊していた。
気温は暑くもなく、寒くもなく丁度いい
ここはまるで絵画のような素晴らしい景色だった。
勇作は、もう一度二人を探した。しかし、女神アクアと二人きりだった。
アクア「この風景はあなたの天国のイメージなのよ」
勇作「なんだか懐かしくて落ち着く、何でも出来そうな気がする」
アクアが翼を広げた。バサッと翼を動かすと、スーっと空に飛びたった。
鳥のように空を飛んでいた。
勇作もジャンプする姿勢で空に飛び上がってみた。
勇作「ウワぁー!」
まるでロケットのようなスピードで飛び上がった。
あっという間に 3,000km 上空だった。
心臓がドキドキしてる、お、落ち着け俺!!
勇作は深呼吸して体制を立て直した。
前方の山頂を目指して、飛べ、と念じた。
体は思い通りに空中を飛んだ。山頂を旋回して元の位置にもどる。勇作はうまく地上に着陸出来るか心配した。ゆっくり着陸しろと念じたら、ふわっと着陸できた。
アクア「この世界は、あなたが望むことは何でも出来るわ」
勇作「喉がカラカラだ」
アクア「器に入った飲み物をイメージして」
勇作の手に缶コーラが現れた。
キャップを開けて一口飲んだ。
勇作「冷えててうまい」
アクア「今日は暗くなってきたわ、また明日来ます、ではゆっくり休んでください」
アクアは消えた。
勇作は丸太小屋に入った。ただ広い空間があった。暖炉を見て、火が付いた薪をイメージした。次に四角いテーブルとイス、ベットに布団、トイレにバスルーム、台所、冷蔵庫、テレビすべて現実化した。
勇作「お腹がすいた、カレーライス」
テーブルにカレーライスが現れた。
勇作は食事をとり、風呂に入り、布団に入るとスッと眠ってしまった。

朝、太陽の光で目が覚めた。
誰もいない。
急に寂しさが込み上げてきた。
千夏とゆうかはどうしてるのかな・・・・
アクア「勇作さん、おはようございます」
勇作「アクアさん、おはようございます」
   「あのー、千夏とゆうかはどこですか」
アクアの顔が曇った。
アクア「ゆうかちゃんは無事です。貴方のご両親が引き取られています」
勇作「千夏は?」
アクア「実は奥様は、ゆうかちゃんを守るため、未来人とともに 3階から飛び降りて自殺されました」
 「未来人は、瞬間移動しましたが、奥様は亡くなりました」
勇作「じゃあ、千夏はこの世界のどこかに・・・」
アクア「いえ、残念だけどいないわ」
 「自殺した人は地獄なの」
勇作「えーっ! それじゃ、千夏は地獄に・・・・」
アクア「掟なの」
勇作「ここからどうすれば地獄に行けるの?」
アクア「ここから地獄に行った人はいません」
勇作「俺はいかなきゃ、お願いです地獄の行き方を教えて下さい」
アクア「実は私もよく知らないの、でもあの方なら」
勇作「あの方って?」
アクア「ゼウス様です」
勇作「えっ、あの神々の神ゼウス・・・さま」
 アクア「そう」
 「地獄って、聞いた話だけど、とても恐ろしい場所なの・・・暗黒の世界」
 「地獄には、人を殺した人の魂、死刑になった人の魂、そして自殺した人の魂が、後悔、恨み、怒りなどの思念が声を上げて飛び回っているらしいの、更に肉が腐敗した匂い、じめじめした地面でとても長い時間は居られないそうよ、貴方だってまともには居られないわ」
 「もう一つ、そこには魔人がいるの魔王の手下よ、定期的に魂を食べに来るの、魔人は獣の姿で鋭い牙と爪で何十匹が群れで襲ってくるの」 「とても敵わないわ、それでも行くの?お願いやめて!」
勇作「千夏がいない世界なんて俺には価値がないんだ、絶対に千夏を助け出す」
アクア「わかったわ、私も行くわ」
ゼウス「話は聞いた」
 「どうしても行くのだな」
 「地獄の門は、湖の中心の底だ」
 「アクアは残れ、これは勇作の試練なのだ」
勇作「ありがとうございます、行きます」
 「もし戻れなくても俺は後悔しません」
ゼウス「うむ、行くがよい」
アクアは地獄の門の前まで勇作を見送った。
アクア「勇作くん頑張って、必ず奥様と戻ってきてね」
勇作「うん、ありがとう、絶対戻ってくるよ」
勇作は、背中と腰に刀を装備した。

つづく


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