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本田美奈子 - 命をあげよう / ミス・サイゴン - 1992

Miss Saigon 2022 PV

この歌は、戦争の悲劇というより、戦争があったことによって本来出会うはずのなかった男女が出逢い、戦時下の混乱の中、別れることになった物語って感じでしょうか。
物語というか内容的(二人の恋物語)には、「蝶々夫人」のベトナム戦争バージョンて感じなんですがね。

戦争によって引き裂かれた恋人たちも多いのだけれど、戦争が生じたことによって出会ってしまった、敵と味方、争っている異民族の恋人たちというのも生まれることになって… 結果、その恋の顛末として、二人の間に生まれた混血児の問題が発生するものです。

先に紹介した「人間の証明」のジョニー青年のように。日本ではGHQの兵士たちと日本人女性たちの間に、たくさんのハーフが生れて…現代とは違って戦後の偏見と差別の中、ほとんどの子供たちが生み捨てられたり、アメリカへと里子に出されたりしたわけです。

幸いなことに「人間の証明」のジョニー青年やこの「ミス・サイゴン」のキムとクリスの間に生まれた子は、愛のある関係にて生まれた子ではありましたが(クリスにとっては現地妻的なものかな。身も蓋もない言い方ですが)… 
悲しいかな、ほとんどの子が不幸な背景の中、望まれないまま出生することになったのが現実。

映画「赤い月」2004

この作中では、満州からの引き上げ時、ロ〇ア兵に差し出されることになってしまった女性たちの悲劇が描かれていましたね。

戦争の終結とともに故郷へと帰還する恋人を見送るのも当然ながら辛いけど…少なくとも戯れの恋であったとしても、無理やりの行為からの妊娠では無く、祝福された喜悦の時間を過ごして得て宿した命なら、例えようもなく愛おしい、すべてを与えたいと願えるほどの存在となる。

それが絵空事的な美談で、綺麗ごとと言われても…
そこに救いを求める人もいるのでしょう。
特に当事者である子供たちにとっては、自分たちの父母がそうであって欲しいと、願うばかりで。

※「ミス・サイゴン」は色々と批判されたミュージカルなのでした。して、韓国では上演不可となっています。理由はお察していうことでっっ

【差別と偏見のはざまで】戦争が生んだ子どもたち


本田美奈子ちゃんが亡くなってから、もう15年も経つんですね…早いなあ。

アイドルとしてデビューしたけど、最初からアイドルって枠には収まらない声と歌唱力持ってて、ミュージカルに行ったと思ったら、クラシカル・クロスオーバーに挑戦して…
(ロックは違ったよねっっ)

幼さが残るあどけない容姿と若々しい声が、彼女の個性であると言えばそうだったかな。
でも、意外なことに当初、演歌歌手を希望されていたとか…
それにはびっくり!!

アイドルから演歌歌手に転向した人は多いのですけどね。
石川さゆりさんとか長山洋子さんとか…おニャン子の城之内さんとかとか。

「1986年のマリリン」1986

デビュー曲でした。

「One Way Generation」1987

田村正和さん主演の「パパはニュースキャスター」の主題歌でした。ドラマも面白くて好きでしたが、この歌も好きでした。

「孤独なハリケーン」1987

私の友人が好きな歌で、カラオケでよく歌ってたなあ。

「The Cross -愛の十字架 」1986

これね、ゲイリー・ムーアが書き下ろした曲なのよね。
彼が日本人歌手のために書き下ろした曲って、たぶんこれだけじゃないかなあ… ムーアもお星さまになっちゃった。
して、上記のビデオでは何故かブライアン・メイが…いやさ親交がありましたからね。

Gary Moore「Crying In The Shadows」1986

ムーアのセルフカバーの方。タイトルが違ってますけど。

「つばさ」1994

CMソングとして作られた曲ですけど、彼女のためにあるような曲ですよね。

「アメージング・グレース」

この頃になると、歌謡曲やJ-popではないせいからか、歌い方や声がぜんぜん変わって、とってもよくなったなあ。
もちろん、大人になったというのもあるんだけど…

それまでのシャープな声質から、柔らかく暖かい響きの声に変わったし。クラシカルオーバーにしても、日本語で歌うことにこだわった人でしたね。

「命をあげよう」ミュージカル ミス・サイゴンより

「ミス・サイゴン」1992-3年(日本では確か初演)では、ヒロインのキム役でした。

とはいうものの、肝心の舞台(芝居)は一度も見れてないんですけどねっっアテクシ。

ブロードウェイにしても日本にしても、たくさんの女優さん歌い手さんがこの歌を歌っているんですが、この本田美奈子ちゃんの歌ほど胸にくるものはないんだよなあ…
どうしてだろう。

なので、
「命をあげよう」は美奈子ちゃんのが一番好きですねー 
他の人だと物足りないの。なんか違うなーって感じで

まさに命を削って歌っているって感じで、痛々しいですけどね。それがこの歌の本骨頂でもあるし…

歌に命を注いでいるって感じで、うん…すごく良かった。

次に生まれ変わっても、彼女は歌手を選ぶんじゃないかな。
いやさ、選んでいるに違いないデス。

というか~もっともっと、歌える身体に生まれ変わるために、彼女は本田美奈子としての人生を終えて、次の肉体、次の人生、新たなステージへと旅立ったんでしょう。

よりよいシンガーとして、
よりよい歌を歌う人生を実現するために…

そう思う。

「アヴェ・マリア」


F2blogに書いてあるものを、訂正・加筆・リンク修正の上、こちらに再度マガジンとしてまとめてUPしています。

「My Favorites〜音楽のある風景」
 2020/12/19 掲載記事より転載

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