今さら誰も文学なんて読まないよ
文学がこの世でもっとも高邁な趣味だと信じてゐる人へ 私はいままで何人か、小説をもっとも崇高な趣味だと思ってゐる人を見たことがある。
ひとりはあるブログでひそかに小説愛を熱辯してゐた。かれは自身の内奥からほとばしる絶え間ない衝動に突き動かされて、多くの小説家とその小説を礼讃してゐた。あふれでる熱意は周囲に共感者を生み出し、あるいはその気のなかった者を読書に踏み出すきっかけをなし、まことに結構なものであったが、ただひとつの巨大な欠点は、かれが小説に関心を持たない者を罵倒し、自分