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For you:日本酒における酵母の役割を知りたい貴方に①

アルコール飲料である日本酒がアルコールを含んでいるのは、酵母菌が糖を分解した時のアルコールを蓄えているからです(分解時には炭酸ガスも出来て、その分解過程をキープすれば活性酒)。発酵ですね。


そのような、発酵という演劇舞台においては、酵母の存在は言わば主役であり、主役がいない演劇舞台は在り得ない訳です。そして、一部の例外を除いて、演劇舞台監督である造り手、昔からの酒造りの役職名でいえば杜氏が、造ろうとする日本酒の酒質設計をする、例えるなら演劇舞台の演目を決める際に、だれをを主役にするか、そのような感覚で酵母を選択します。悲しみがテーマの演目なら陰を持ったキャラクターの俳優を起用するように、派手ではなく穏やかな味わいの日本酒を狙うなら穏やかなキャラクターの酵母を選択する、という事です。そこには複雑性も時にはあったりして、穏やかさの中にも僅かな派手さを演出しようとする杜氏もいらっしゃいます。


酵母に求められるものは、①表現される味わい、以外にも意外とあります。取り上げるべきものをここで端的にいうと②酵母由来のアロマ、③醸造適正、これらがあります。①と②がイメージし易いかと思うのですけども③は普通に日本酒を飲んでいる分には、既に醸造(酵母の活動としては発酵)してしまっているので普段意識する事はありません。①と②を酵母の嗜好性と呼べば、酵母が発酵してくれなければ日本酒の嗜好性は生まれない訳です。そういう点で③が優れている酵母は杜氏から多くの人気を集めます。酵母の選択は雇われの職人杜氏か、蔵元杜氏かによって思考回路が異なるとも想像できます。杜氏は自らが造りたい日本酒を一層実現してくれる、より優れた酵母を求めるのは必然の流れで、よって今現在きょうかい酵母の頒布を行なっている日本醸造協会の設立動機にも繋がります。


さて、ここからは当店『和酒バル 二喬/NIKYO』にて、2021年1月記事公開時点で、お奨めの酵母のメリハリを体感できる日本酒達をピックアップしています。その中には蔵元さんからの一般非公開情報もありますので、有料パートにさせて貰いまして、その根拠・文責を当方にて担う事とします。


①萩の鶴 辛口 特別純米

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