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記事一覧
【ノー・チャドー・ノー・ライクス】
岡山県、ドラゴン・ドージョー、早朝。
夜半の雨が夜明け前には嵐となった。モーニング・ルーティンを終えたユカノは温かなチャを注ぎ、デスクに向かった。UNIXを立ち上げ、IRC-SNSにアクセスする。晴れの日も雨の日も鍛錬とブログ更新は欠かせない。
「岡山県の天候は荒れています。このような時こそ、慌てず急がず、平常心が大切です。当たり前の日常を当たり前にこなしていく。さればこそ、身も心も穏やかに
二次創作【アイアン・アトラス・サヴァイヴァル!】
『ドギャアア〜ン!』『ARGHHHHH!』刺激的効果音に続いて、アンタイ集団避難行動カップルの叫び顔がズームアップされる。『GRRRRRR…!』キャンプ場で吸血ウイルスに感染したジョックが蒼白い顔でゆらゆらと立ち上がる。その歯茎からは……滴る血糊!
「ウグッ! ゲッホ、ゲホゲホーッ!」コミタは毛布を被ったベッド上で激しく咳き込んだ。息を呑んだ勢いでオキアミ・バーが喉に詰まったのだ!「ゼエーッ、ハ
【ザ・クロック・スタプト・ネヴァー・トゥ・ゴー・アゲイン】
1 パシャパシャ。肩を濡らす重金属酸性雨。パーカー紐の金具が暴れる、照り返しは七色遷移。「ハァ、ハァッ、ハァッ!」泣き声混じりの息が乱れる。ヒマワリ。いいだろう。じいちゃんが生まれたときから身に着けていた、自慢の時計だぞ。左手甲が雨粒を弾く。パシャパシャ。パシャパシャパシャパシャ。
『安い、安い、実際安い』『ヒートリ、コマキタネー……ミスージノ、イトニー……』幻惑広告音声もどこか遠い。聞こえる
【ピザ・ロード・トゥ・ホーム】
1
ボボボ、ボボボボボ、ボボンボボボボボ。
電子柵に囲まれた緑豊かな川のほとり、「タマリバーほとり公園」の爽やかな空気を、気の抜けた雑音がかき乱す。重金属酸性雨は昨夜早くに止んだきりで、道路は乾いていた。ボボ、ボボボボボ、ボボボボン、ボボボボ。散歩バイオドーベルマンに追い抜かされながら走っていたスクーターは、【駐車場こっちな】の標識ギリギリでウィンカーを点滅させてから危なっかしく左折し、駐車
【イン・ザ・ルーム・ウィズ・ア・ナーサリー・ライム】
1
「サッムッライ! サッムッライ! サムサムララライサムライサイッゴー♪ オーイエーアアアーアーーー!」
ニウシはつま先で22回転し、華麗なるポージングを決めた。アニメどおりの22回転をキメられるのはクラスでもニウシ一人だ。母に内緒で教わった、イチネ兄さん直伝の22回転は、彼を一躍クラスの英雄にした。
中庭広場のネオン蛍光灯が明滅する。薄暗い、巨大なナゴエ団地階段の踊り場に斜めの光が
二次創作【アイアン・アトラス・イミテーション!】
『エー、つまり、当時最強のウォーロードであった武田信玄がセキバハラで戦うことになりまして……』
ネンブツめいた歴史教諭の声が教室に響く。視界を覆うスモトリの背に隠れ、コミタは落ち着かなげに視線を彷徨わせた。俯いているのはコミタだけだ。教室の仲間は誰も彼もが背筋を伸ばし目を輝かせ、前のめりで教卓に注目している。
……正確には、教卓を映したロールスクリーンに注目している。教室もリサイクル学用品
【ドゥ・ユア・ベスト・リトル・バイ・リトル】
『ヌンヌン』
UNIXライトの照り返しに、七色の光が交錯した。タキは無言でタイピングを速めた。無視を決め込んでいるのだ。カウンターを拭くメイドエプロン姿のコトブキにも七色の光が跳ねた。彼女が顔を上げれば、モーターツクモがタキの頭上でクルクルと回転している。
「タキ=サン。通話リクエストですよ」タキはぞんざいに手を振った。「真夜中だろうが。無視だ無視。店じまいだ」「でも……」コトブキはモーター
◆二次創作◆デッドリー・ヴィジョンズ【カカオ・デストロイヤル】
ウシミツ・アワー。零細食品卸業者のビル明かりがとうに消えた時刻だが、エレベーターパネルの数字が動いている。
ゴーン。搬入用エレベーターは地下十一階で静止し、作業服に防寒テックウェアを羽織っただけのサラリマンがまろびでた。吐く息が白い。小刻みに震えながら、天井まで乱雑なコンテナの積み上げられた隙間を縫い、辺りを見回す。さしたる広さも性能もない冷凍倉庫だが、緊張とアルコールの震えから零した涙は頬
【ハイスクール・ニンジャウォーズ】♯4
◆◇『ニンジャスレイヤーAoM』の学パロ二次創作です◇◆
〜WEBオンリー「ニンジャオン2」無料頒布コピー誌再録〜
〈有料部分はM-Filesのみです〉
前回のエピソードはこちら
(♯2と♯3は存在しません)
第4忍「ニンジャがいっぱいで眠れない!」
(Aパートあらすじ)
行方不明の幼なじみを捜すため、AoM学園に入学したマスラダ・カイ。学園七不思議「黒いトリイのサツガイさん」を追う中で、マ
【ドゥー・イット・サムウェア・エルス】
〜WEBオンリー「ニンジャオン2」アンソロ寄稿の掌編〜
◇『ニンジャスレイヤーAoM』の二次創作小説です◇
「これで広くなりましたね!」
コトブキは三つ重ねた椅子を右腕に、反対の腕に丸卓を抱えて壁際まで運ぶと、汚れた手をぱんぱんと叩き合わせてマスラダを振り返った。
早朝のネオサイタマ。常に分厚い雲に覆われた混沌蠢くネオン都市では、朝の光や爽やかな風の香りを味わうことはできない。カラテビース
メイキング・オブ・222【忍殺二次創作のライナーノーツ】
こんばんは、望月もなかです。
ライナーノーツというか、メイキング記事といいますか。ええと、単に、こちらの記事を拝見したらすごく面白くて、私もやってみたくなったのです……。影響されやすい水面の落ち葉なので……。
途中のメモ書きを公開してくれるのすごく楽しかったです!
二次創作への考え方なども、非常に面白かったです!
あと、イラストのメイキングはよくお見掛けするのですが、小説(二次創作含む)の
【ネイバー・ネクストドア222】
◆◇『ニンジャスレイヤーAoM』の二次創作小説です◇◆
ゴーン……ガギーン……ゴガーン……。建設現場の重機作業音が曇天に響く。モヒコはネオン傘を開き、路地に繋がる裏階段を下りた。今朝の重金属酸性雨はひときわ冷たい。モヒコは手を震わせ、傘の柄を握りしめた。
水たまりの油膜がテック靴に踏まれて歪む。裾を濡らす水滴は粘ついている。マンションの裏階段を出てすぐ右へ、二つ目の角を曲がればソバ屋台。合
【ハイスクール・ニンジャウォーズ】♯1◆後編
◆◇『ニンジャスレイヤーAoM』の二次創作小説です◇◆
◆学園パロディものです◆
◇◆◇
(Aパートあらすじ)
ネオサイタマ県立AoM学園で、ひとりの女子生徒が行方不明になった。名はアユミ。学園七不思議のひとつ、「黒いトリイのサツガイさん」。彼女は黒トリイに飲み込まれたのだと、噂されていた……。
幼なじみのアユミを捜すため、彼女を追って入学した一年生のマスラダ・カイは、不可思議な魂の同居人・ナ
【ハイスクール・ニンジャウォーズ】♯1◆前編
◆◇『ニンジャスレイヤーAoM』の二次創作小説です◇◆
(学園パロディです)
◆◇◆
(カイ、オリガミが好きなんでしょ? 今度、学園祭においでよ。うちのオリガミ部、すごいんだから)
(エ? そりゃ私はオリガミできないけど! カイが興味あるかなって思ったから……強豪校だよ、うちは)
階段の踊り場に、夕陽が射していた。アユミが笑っている。ブラウスに、赤いネクタイを締めた、アユミ。各教室に立てら