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⭐️WIMednesday Interview⭐️    #20 : Mutsuko Kawamoto

水曜日にお届けするWIMednesday (ウィメンズデイ)。
この連載も20回目を迎えました!
沢山の方にご協力頂き、考え方、働き方、生き方についてシェアして頂けて本当に嬉しく思います。今回は広島を拠点に、色々な場所で、メディアで活躍されているヴォーカリスト、川本睦子さんです。

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川本睦子(かわもと・むつこ)

広島市出身のジャズ・ヴォーカリスト、ボイス・クリエイター。小学校時代3年間をニューヨークで過ごす。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)でヴォーカルをはじめ、ジャズに傾倒。 学生時代から関西で活動を始める。2008年、自身のリーダーバンドである『ムツカルテット』でCDデビュー。スタンダードや日本語楽曲を織り交ぜた懐かしくも新しいジャズは話題を呼び、完売した今もなお高い評価を得ている。2009年に長女を出産、音楽活動を休止。2010年に広島に拠点を移し、少しずつ活動再開。 2012年、日本を代表するジャズギタリスト竹田一彦トリオをバックに歌ったソロデビュー作『ライブ・アット・ミスターケリーズ』を発売。 2014年にはアメリカ・ニューオリンズのフレンチクオーターフェスティバルに出演。2015年には自身のレーベルからオリジナルメインのバンド「Noctiluca」のCD「Something Lost」を発売。関西のジャズ誌「Way Out West」2015年10月号において「日本の未来を担う、日本のジャズヴォーカリストの一人」として紹介される。また、ジャズの他にブラジリアンやミュージカル、長唄にも挑戦し、ジャンルの枠にとらわれない歌手として活動の幅を広げている。2016年9月6日、25年ぶりのリーグ優勝直前のマツダスタジアムにてカープ対ドラゴンズ戦で国歌独唱。

ヴォーカリストしての活動の他にも、エデュケーターとしても活発に動いており、2013年には「Muzic Jazz Singing」を開校。豊富な語学知識を活かしYouTubeにて発音動画を配信するなど、発音主体のレッスンやワークショップを展開。2015年、日本人初New York Vocal Coaching認定ヴォイス・トレーナーとなり、様々なジャンルに対応したレッスンも展開している。 2017年、英語発音指導士®に認定される。同年6月ノーステキサス大学にてジャズヴォーカルアンサンブル指導者セミナー参加。2017年秋よりNHKラジオ第1「ひろしまコイらじ」にて「英語で歌おう」コーナーを担当している。2019年4月から同番組の木曜パーソナリティー。

また、2013年からは東北・関東から広島に避難してきた家族を支援するためのコンサートも続けている。2018年より広島文化学園大学非常勤講師。

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1. あなたにとっての成功とはどういう意味ですか?

 こんにちは。このインタビューに答えることができてとても光栄です!
「成功」というのは、なかなか抽象的で、アメリカ的でマッチョな質問ですね。自分のバイオグラフィーを書かないといけないときなどに、ふと振り返ってみて、「自分の歩んできた道は間違っていないな」と思えるのならば、自分にとって「成功」していると言えるのかもしれません。それは何かを受賞したとか、社会的な立場とか、世間の人からの評価とはまた別の話です。

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2. あなたと同じように音楽業界で働きたいと考えている女性に対してどんなアドバイスがありますか?3つ教えてください。

女性には、身体的オプションとして妊娠・出産・育児と、強制的に社会から断絶しないといけない期間があります。もちろん、それを選択するかしないかは自由なのですが、女性の体にはタイムリミットがあり、20代のうちはそんなことが頭になくても30代になると考えが変わることもあります。身体的に出産に適している20代というのは、音楽的な上達においても、キャリアにおいても音楽家にとって本当に大事な時期です。日本の音楽業界はまだまだ男性社会。女性音楽家のライフプランなんて何も議論されていないので、自分でしっかりと考えていかないといけません。

また、日本独特のアイドル文化、ホステス文化が音楽業界にも根強く影響を及ぼしていて、欧米の音楽業界との大きな違いを生んでいると考えます。熱心なファンが多くありがたいのですが、付き合い方にルールを設けないとお互いに悲しい思いをすることがあります。

また、現在はSNSやYouTubeなどで個人的な発信が可能となっており、自分のやり方次第ではどこにいても、ライブハウスで演奏ができなくても、いろんな可能性を選択できる時代です。

というわけで、

《わたしから若い女性音楽家に向けてのアドバイス》

⑴結婚、出産を含むライフワークバランスをきちんと考える

⑵SNSの発信の方法の研究と、ファンとの付き合い方のルールを設ける

⑶洞察力と直観力を磨く

結局、自分に向けても同じように課題と感じていることです。

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3. 仕事やプライベートでのどのような経験が今の成功に結びついていると思いますか?

わたしは関西でキャリアを初めて、出産後離婚をきっかけに故郷の広島に拠点を移しました。音楽の知り合いがまったくゼロ、子供もまだ赤ちゃん、夜に出歩くことも難しく、広島の音楽シーンを知ることも最初は本当に難しかったのですが、子供の成長とともに、家族の協力のもと、少しずついろんな人々と知り合い、場所を教えてもらったりして、少しずつ活動の幅を広げてきました。ジャズ文化が活発な関西から広島に帰ってきて、大きなジャズイベントのない広島でジャズのイベントを興したり様々な取り組みをしてきましたが、故郷といえども何も広島のことがわかっていない面が多く、たくさんの失敗もしてきました。世界に出て行く選択をせずに、日本の中のローカルの中のローカルな場所を掘っていくことが、自分にとってのもっとも大きな挑戦であり、修行だった気がします。都会で音楽だけに集中できる時期を過ごすより、人間的により多くのことを吸収できたように思います。つらく悔しい思いもたくさんしましたが、かけがえのない経験だったのではと思います。

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4. あなたが経験した中でも大変だった事を教えてください。

3の質問で答えた、関西から広島に帰ってきたことです。

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5. その経験で得た一番の学びは何ですか?

今ここでできることを全部やってみることと、どこにいても自分の美意識と技を磨いていくことです。

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6. あなたが今住んでいる地域で音楽に携わる女性達が直面している一番の課題は何だと思いますか?

日本社会においては、先の質問でも答えたように、アイドル文化とホステス文化の影響がかなり深いところまで浸透しています。音楽家、アイドル、ホステス、はそれぞれ別々の職業であり、それぞれがプロフェッショナルな存在です。アイドルのような女性音楽家や、ホスピタリティーのある女性音楽家という方は存在すると思いますが、全員がそうではありません。それぞれの職業をリスペクトしつつ、そのアーティストの立ち位置のあり方を定義していくことなど、オーディエンスやお店側も含めて考えていかないといけない時期ではないでしょうか。

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7. 誰からインスピレーションを受けますか?その理由は何ですか?

自然物を含む様々な存在です。

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8. 来年の目標は?

8年ぶりの自分名義のアルバムをリリースします。そのツアーで日本各地を巡りますのでたくさんの人々にお会いできることを楽しみにしています!

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9. どうしてWomen In Music Japanに参加する事になったのですか?

佐藤ひなこさんとの出会いで、とても興味を持ちました。数年前にとある男性ミュージシャンの事件が大々的に世間を騒がした際にわたしが書いたブログが、本当にびっくりするくらいの反響があり、そのときに男性のフェミニストの方々から多くの支持を得ました。そのときはまだフェミニズムについて何も知らなかったので、男性のフェミニストとは?というところから勉強を始め、音楽業界がいかに男性性優位であり、そのミュージシャンの起こした事件のまわりの人々の意見も、男性性からくる意見だと考えると、すべて合点がいきました。理想の音楽のあり方というのは、中性的でバランスが取れていることだと考えているので、こんなアンバランスな業界のままではいけないという思いがずっとありました。そういうわけで、ひなこさんとの出会いのタイミングは自分にとって最高のタイミングなのでした。

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10. あなたの最終目標とその為の次のステップを教えてください。

広島に生まれ、アメリカを経験し、ジャズを歌うことを選んだ人生。平和のメッセージを世界に発信していく使命をいただいていると思っています。2018年から、原爆にまつわる曲だけを集めたコンサートを毎年8月に行っています。いずれそれを音源化し、いつかは国連本部で歌うことが夢です。

ありがとうございました!

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