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#74手取りが変わる・知っておきたい退職金の受け取り方

退職金は仕事を辞めたときに一括して受け取るもの。そう思い込んではいませんか? 
退職金の受け取り方には「一括」と「分割」があり、どちらの方法で受け取るかによって発生する税金に差が出るため手取り額が変わってきます。
退職後のお金の悩み少しでもなくしておきたいですね。
今回は退職金の受け取り方による税金の違いを解説します。

退職金の受け取り方は3種類あります。

(1)全額を一括して受け取る
(2)全額を分割して受け取る
(3)一部を一括して受け取り、残りを分割で受け取る

(1)退職一時金は、一括で退職金が支払われることが特徴です。会社の経営状態にかかわらず支給金額が確約されているので、従業員にとってはわかりやすい制度と言えます。

(2)退職金を毎年年金として受け取る方法です。

(3)退職一時金と年金の両方を併用で退職金の一部を一時金として受取り、残りを年金として受取る方法です。併用の場合は、「50%ずつ」等割合が決められているケースと自由に決められるケースがあり、こちらも会社によりルールが異なります。

しかし、会社によっては一括でしか受け取ることができない場合もありますので選択できない場合もあるでしょう。人事部に確認しましょう。
退職金の受け取り方が問題となるのは、主に分割して受け取れる確定給付企業年金制度や企業型確定拠出年金制度を利用している場合になります。今回はその点を前提に解説していきます。

(1)一時金での受け取りは、一括でまとまったお金を受け取れて税金も配慮

退職時に一括で受け取るので退職一時金といいます。
一般的に退職金は、一括で受け取る方が有利になります。その理由は退職所得の計算方法にあります。一括して受け取ると退職所得控除の適用を受けられるため、所得税や住民税が軽くなるよう配慮されています。

退職所得控除額

勤続年数退職所得控除額20年以下:40万円×勤続年数
20年超:800万円+70万円×(勤続年数ー20年)

No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁 (nta.go.jp)

退職金は、勤務先に所定の手続をしておけば、源泉徴収で課税関係が終了し税金の精算が完了します。原則として医療費控除や寄付金控除など確定申告を提出する場合以外は確定申告をする必要はありません。退職金は、通常、その支払を受けるときに所得税及び復興特別所得税や住民税が源泉徴収又は特別徴収されます。この退職金は、長年の勤労に対する報償的給与として一時に支払われるものであることなどから、退職所得控除を設けたり、他の所得と分離して課税される、所得が半分(1/2)になるなど、税負担が軽くなるよう配慮されています。なお、退職所得についても源泉徴収票が交付されます。


(2)年金での受け取りは、分割してお金を受け取れるメリット、税金は雑所得として総合課税になるので注意

公的年金と違い企業年金の場合、会社によって支給期間や支給間隔が異なります。支給期間は、5年、10年、15年、20年、終身支給といろいろあり、組み合わせになっている会社もあります。そして、支給間隔は、2ヵ月または3ヵ月に1度の支給になっていることが多いです。なお、支給期間の途中で亡くなった場合、ほとんどの企業年金が一定の額を遺族の人が受け取れるという保証期間付きの年金になっています。

退職金を分割で受け取る場合、その収入は年金と合算され、公的年金などに係る雑所得として税金が計算されます。つまり分離課税ではなく、総合課税として合算後、税率は所得税の累進課税の税率(5%~45%)で課税されます。そのため、一括で受け取ったときのような優遇処置を受けることはできません。

しかし、分割して受け取ることで退職後も一定の期間収入を得ることができるというのが分割の強みです。

(3)税金の扱いが異なる

一時金で受け取ると退職所得控除というものがあり、現税法では40年間勤務で一時金が2,200万円までは所得税がかかりません。一方、年金方式で受け取ると老齢厚生年金や老齢基礎年金と同じ公的年金等控除の対象になり、控除額を差し引いた残りが所得税の対象になります。その結果、公的年金以外の収入が増えますので、翌年の住民税や各種社会保険料に影響が出てきます。



読んでもなかなかわかりずらいですよね。
お話すると早いこともありますし、(1)について、年間の所得額が少なく、それに対して所得控除(人的控除や社会保険料控除、生命・地震保険料控除など)や税額控除などが多い場合は、退職金を含めて確定申告すると、退職金から源泉徴収された税金(除く住民税)が還付される可能性がきわめて高くなります。シミュレーションで知りたい方やご相談はお気軽にTakamoriサロンまで。

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