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企業組織の「未来予想図」

「​昨今の組織マネジメント領域での変化は?」
と問われれば、大きく二つあると思います。一つは新型コロナウィルス感染拡大を機に「テレワークが加速した」こと。そして、企業の競争力・IT化をこれまで以上に強化するため、専門人材を確保・活用する「ジョブ型雇用」を取り入れる企業が増えつつあることだと思います。

未来の組織の4タイプ

そういった流れは、「入門 組織開発」の 著者、中村和彦氏も最新の論文(※)でも指摘するところであり、それを踏まえて 中村氏は、日本企業の組織のありようが下記の4つのタイプに分かれると分析しています。

中村和彦. "テレワークの推進における未来の組織のありようと組織開発." 人間関係研究 21 (2022): 26

​この図の横軸は、個人主義(個人戦)―集団主義(団体戦)の軸となり、個人主義(個人戦)は、業務の個業化がより一層進んだ形で、集団主義(団体戦)は、社員間の協業を促進することを目指す形となります。
縦軸は、細分化(権限委譲)―統合化(上位権限)の軸です。細分化(権限委譲)は、それぞれの業務を人やチームに権限委譲する体制、統合化(上位権限)は、上位者に権限を付与する体制に なります。


さらに進むであろう「権限委譲」

ここからは私の見解ですが、今後ジョブ型雇用がさらに進むと、個人戦、団体戦に関わらず組織に多くの専門人材が即戦力として入るようになります。 そしてテレワーク化の流れと相まって、専門スキルを活かすためにより一層の権限委譲が必然になってくるでしょう。つまり象限の上半分にある【自律管理型チーム】と【複業ノマド型個人】のタイプの形態を取る組織がより多くなると思われます。

必要なマネジメントスキルが変わる

それに応じて、マネジメントスタイルもこれまで主流だった指導・牽引型から大幅な修正が求められ、個人やチームの力を自然と引き出せるアプローチがより大切になります。つまり、個に対しては効果的な1on1のためのコーチングスキル、チームに対しては、チームが主体となって問題解決を図れるようにファシリテーションスキルやシステムコーチングの知恵が役立ってくるはずです。

変化に備えて準備を!

勿論、業種や職種によって変化の波の大きさ・到達時期に差異はあるとは思いますが、確実にやってくるであろう「変化」を見越して、改めて、自社の求める管理職像、管理職の評価項目、そしてマネジメント研修の内容を点検しておく必要があると考えます。

※)参考論文
中村和彦. "テレワークの推進における未来の組織のありようと組織開発." 人間関係研究 21 (2022): 25-30.