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現代短歌のススメ

こんにちは。かすとりです。

本日は、最近SNS等で静かに流行している「現代短歌」の魅力をご紹介していきます。

1 現代短歌とは

そもそも短歌とは、以下のようなものです。

・57577のリズムで詠まれる詩
・季語は不要

では次に、現代短歌の「現代」とはいつからなのか、「現代」短歌ならではの特徴とは何か、という点についてですが、これは、いろいろな解釈があるところです。

細かいところはその道の専門家にお任せするということで、まぁ超絶ざっくり言うと、

・比較的最近(1990年代頃以降)の、主に口語体(話し言葉)による、自己表現に軸足を置いた短歌

ということになろうかと思います。

「自己表現に軸足を置いた」とは、単なる景色や風景を描写するというよりも、作品を通じて自己の内面を表出するような色合いが強い、ということです。

ざっくりし過ぎてその道の人から怒られそうですが、逆に言うと、あまり縛りがなく、これが現代短歌だ!と言い切れば現代短歌だという、間口の広い世界だとご理解ください。

2 私と現代短歌の距離感

私、こんな投稿をしていますが、現代短歌とはびっくりするほどライトなお付き合いです。

具体的には、SNSでフォロワーさんの短歌を詠んだり、たまーに歌集を買って読んだり(年1冊程度)、たまーに自分でも短歌を詠んでSNS等に投稿する、というくらいです。

普通の神経を持った人であれば、この状態でこんな「短歌を語る」ような投稿はできないかもしれません。

でもまあ、良いんです。私が短歌を好んでいるのは、こういった、ライトに触れられて、ライトにみんなに紹介できる、そういった短歌ならではの「身近さ」「手軽さ」ゆえなんですから。

3 現代短歌との出会い

もともと詩などには全く興味がなかった私ですが、現代短歌にはまったのは、友人からの勧めがきっかけでした。

「あなた、多分短歌とか好きそう」と教えてもらい、友人自身の短歌も読ませてもらったところ、すぐに「おお!面白い!」となりました。

そこからネットなどで現代短歌をチェックし始めたのですが、ある一首と出会って衝撃を受け、それから歌集を買ったり、現代短歌の世界に出入りするようになっていきました。

その短歌はこちらです。

あの虹を無視したら撃てあの虹に立ち止まったら撃つなゴジラを
(木下龍也 氏)

なんて自由なんだろう。
初めて読んだときに、そう思いました。

5・7・5・7・7、合計31文字(みそひともじ、と言います)しかないにも関わらず、目の前に壮大なスケールの情景が広がって来ます。

この、短歌が持つ「描ける世界の縛りのなさ」「自由さ」、これが、私が感じる短歌の魅力の一つです。

4 現代短歌の魅力

さてここからは、現代短歌の魅力を語っていきます。
なお、短歌を「読む」ことも「詠む(つくる)」ことも同時に説明していきますが、これは、短歌は「読む人なら誰でも詠める」、「読み手」と「詠み手」を区別する必要がほぼない領域だ、という認識によるものです。

4-1 自由!

既にご説明した通り、短歌は「57577」のリズムを守りさえすれば良く、それ以外になんの縛りもありません。

なんなら、そのリズムすら逸脱する作品もあります。

なので、いろーんな作品があって「読む」のも楽しいし、制約がないため「詠む」のも簡単、ということです。

4-2 手軽!

短歌は読むのも詠むのもお手軽です。

インターネットを検索するだけでもたくさんの作品と出会えますし、はまってきたら本屋さんに行って歌集を買うのも楽しい。

特にSNSでは現代短歌が静かなブームで、ハッシュタグ検索で色々な方の短歌に気軽に触れることができます。

そしてこれ即ち、短歌を詠んでお披露目するのも簡単だ、ということです。

適当に一首詠んで、Twitterでつぶやいてみてください。
その瞬間から、あなたも「歌人」です。なんの気負いも必要もありません。

さて、ここで一つ、短歌に関する有名なサイトをご紹介しましょう。

短歌人で知らない人はいないと言っても過言ではない「うたの日」というサイトです。

みんなで集まって短歌を披露する集まりを「歌会」といいますが、こちら、それをインターネット上で開催しちゃおう、というサイトです。

毎日たくさんの「お題」が提示され、その題をもとに歌を詠んで投稿、みんなの投票により優秀作品が決まる、という楽しいサイトです。
興味を惹かれた方はぜひ参加してみてください。


4-3 奥深い!

上述のとおりお手軽な短歌ですが、しっかりはまろうとすると、なかなか「沼」な世界でもあります。

「結社」と呼ばれる短歌の団体に所属し、技術を研鑽しあったり。
気になる歌集を買い集め、コレクターとなったり。

短歌に関する色々な「賞」もありますので、応募して、評価されたら受賞したり、なんならそこで目をつけられて短歌の書籍を刊行、なんてこともあり得ます。

そういう意味では、短歌は「間口は広いが奥が深い」という最高な趣味と言えるかもしれません。


5 短歌に関するおススメ書籍

さてここで、短歌入門用としておススメの2冊をご紹介します。

①桜前線開架宣言

石川美南、小島なお、雪舟えま、笹公人、黒瀬珂瀾、笹井宏之、中澤系、加藤千恵、木下龍也、光森裕樹――。若い才能が次々にデビューし、いま盛り上がっている現代短歌の世界。その穂村弘以降の全貌を描き出す待望のアンソロジー! 歌人・山田航が40名を撰び、作品世界とプロフィールの紹介に、アンソロジーも付して徹底解説!

私が友人に勧められて最初に購入した書籍がこれ。
現代短歌の様々な歌人の解説と、その歌人の歌が少しずつ紹介されています。

入門用として「広く浅く」短歌に親しむのに最適な一冊。


②天才による凡人のための短歌教室

歌人、木下龍也がこれまでの短歌制作の経験から、いくつもの技法・発想法など創作の秘密を伝える短歌教室。開催すれば毎回満席となるこの講義が一冊になりました。短歌をつくるうえでのコツ、ネタの集め方、アイデアの発想法、推敲の過程、多くの読者に届けるための工夫などなど。そもそも短歌って何ですか、という方でも大歓迎です。

上で紹介した「ゴジラ」の歌を詠んだ木下龍也氏。

間違いなく、現代短歌界のトップランナーと言える方です。

氏による、「超初心者向けの作歌マニュアル」本です。
これを読めば誰でも歌人に。「読む」だけでなく「詠む」ステップに移る際に、おススメの一冊です。

6 好きな短歌

ここでは、私の好きな短歌をいくつか紹介したいと思います。

当然たくさんあるので、今パッと思い出したもの、くらいの位置づけでご覧ください。


立てるかい 君が背負っているものを君ごと背負うこともできるよ
木下 龍也 氏

こちらも木下氏。


体などくれてやるから君の持つ愛と名の付く全てをよこせ  

したあとの朝日はだるい 自転車に撤去予告の赤紙は揺れ
岡崎 裕美子 氏

性愛短歌を多く詠まれる歌人。すごく好き。


「はなびら」と点字をなぞる   ああ、これは桜の可能性が大きい
笹井 宏之 氏

26歳の若さで夭逝した歌人。独特の感性と繊細な表現。


ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし
岡本 真帆 氏

「まほぴ」のハンドルネームで発表され、一時期Twitterでバズりにバズっていた。素敵な作品。

以上です。

膨大な数の短歌が日々生まれています。
皆さんも、自身のお気に入りの短歌をぜひ探してみてください。


7 私の短歌

一応、私もたま~に歌を詠む歌人です。
そして一時期、写真に短歌を乗せ、SNSで投稿する活動をしていました。

今日はその投稿作品から数点、ご披露させていただきます。



8 終わりに

「現代短歌のススメ」は以上です。

この投稿が、皆さんと現代短歌を繋ぐ架け橋となれば、こんなに嬉しいことはありません。

ぜひぜひ、現代短歌の世界に飛び込んでみてください。

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