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不可避な超独身社会に「商機」を見出す人もいれば「正気」を失う人もいる

中野信子さんとの共著新刊「一人で生きるが当たり前になる社会」の第一章導入部分の一部が、昨日と今日のプレジデントオンラインで全文公開されています。書籍掲載の図表もすべて網羅されていますので、ぜひお読みください。

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両方とも、とても読まれています。ありがとうございます。おかげで12月公開の別の僕の記事もランキング入りしました。一瞬、ベスト10の中の3つ(6位、7位、8位)を占めました。

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その上でご興味あれば、書籍の方のご購入もお願いします。


ヤフーでも前半の記事には540件、後半の記事にも現時点で210件のコメントが寄せられています。僕はどんなに数が多くても、すべてのコメントを読むようにしています。

ヤフコメなので、毎度のものも散見されますが、少なくともソロ社会化について2015年あたりに出た記事と、コメントの内容が大きく変わってきたことを実感します。

以前ならば、こういう話題に対しては、既婚者から「結婚しないで、子を産み育てないなんて、なんのために生まれてきたんだ?」系のお叱りが圧倒的に多かったんです。結婚するのが当たり前という考え方がほんの5-6年前まで強かったのは事実です。

それが、徐々に薄らいできたものの、最近では「お前らが生涯独身でいるのは構わないが、お前らの老後の面倒をうちらの子どもたちが負担させられるのが許せない」という論調に変わりました。未婚者・無子者は社会のフリーライダーだというわけです。

ところが、今回のコメントを見てみると、既婚者の論調が「3人の子がいて、みんな30代だが、誰一人結婚しそうにない」という愚痴のようなものも見られ、非婚化というものがより自分事化された問題として意識されてきたようです。

まあ、論調が変わろうが変わるまいが、この非婚化傾向は変わりません。また、相変わらず政府を批判している人も多いですが、誰が政権取っても変わりません。厚労省(当時は厚生省)の官僚はすでに1980年代から今を予測していたし、当時の推計値通りに出生数は推移していて、むしろその予測の正確さを称賛すべきでしょう。

政治家だってバカじゃないんで、少子化なんて改善されないことくらいわかってる。でもそんな不都合な真実を言ってしまうとシルバー民主主義の選挙に勝てないから、いかにも「やってます」感を出しているだけです。

すべてプロレスなんですよ。


中には、今回の記事に対して批判してくるしたり顔の素人もいます。

「人口の半分が独身者といっても、死別や離別した高齢者も含めたら当然だろう。恣意的に数字をいじってるだけだ」とかね。

むしろ、死別離別した人たちを透明化して、本質的な問題から目をそらす方が頭悪いと僕は思います。

記事の中のグラフをここでも再掲しますが、日本は超高齢社会と位置づけられていますが、その高齢者人口3900万人より、独身者人口の方が4600万人で多くなるわけです。だったら本当は日本はもう「超独身社会」なんですよ。

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独身の問題は、未婚だけではなく、離婚による片親問題とそれに付随する子どもの貧困問題もあるし、高齢の離別死別に伴う一人暮らしの増加は、孤独死や高齢自殺(男が多い)の問題にも直結します。子が家族をもたない問題は、やがて親の介護を子が担わなければならない8050問題に連動します。高齢だけが問題ではないわけです。

社会とは単純ではない。複雑性の中にある。ひとつの視点しか持ちえない人間が、やたら自分が知りえたデータだけを取り出して、近視眼的な視点で問題を単純化して語るんじゃねえ!と思います。簡単に白黒つけられる話じゃないんだよ。

そして、そういう視点のない輩に限って、経済というものを全く理解していない。

世帯類型では、家族が2割にまで縮小し、単身世帯が4割になります。この世帯構造の変化は経済構造を抜本的に変える力があります。そして、既にコンビニや一部の外食産業はその未来への適応戦略を考えて実行しています。

いつまでも「家族」相手の商売をしていて、商いが成り立つわけがないんです。賢い人はこれらの記事を読んで「商機」を見出すでしょう。愚かな人間はこの記事を読んでも、たた怒りの感情だけ沸き起こり「正気」を失うのです。


おかげさまで、このふたつの記事により、「一人で生きるが当たり前になる社会」のamazonでの売れ行きが、「社会と文化」部門で2位になりました。ありがとうございます!錚々たるメンツの書籍と並んでランキングされていることは正直にうれしいものです。

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批判してくれる人、アンチの者どもよ、ありがとう!きみらがそうやってSNSで騒いでくれることが結果的に宣伝になって、記事は読まれるし、本は売れるようになるのです。「接続するコミュニティ」のおもしろいところはこんなところにも出ます。

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。