見出し画像

【2020年、私たちに求められるスキル】

普段は広告、デジマケ、メディア界隈でのよもやま話を書いています。

第1回『広告代理店とコンサル被ってる件』『広告主、自分でやっちゃえる件』はこちら
第2回『デジマケ全然成熟してない件』はこちら
第3回『この界隈、本当に地味すぎる件』はこちら
第4回『中国がやっぱりすごいなー問題』はこちら

いつも前向きに笑いながら次の打ち手を打つ、キャリアについて想いを巡らせることを目的に書いていますし、皆んなで考えましょーというスタンスです。今日も下に書いてあることはほんの入口で、皆さんが色々思ったり話したりすること自体が宝物だなあと思う次第です。

世界経済フォーラム、求められるスキル

2020年仕事もスタートしたとこですので、今日は番外編でスキル全般の話です。

画像1

上の画像は2016年1月にダボス会議(世界経済フォーラム)から発表された"Future of Jobs"というレポート(こちらで読めます)のサマリーで、2015年に求められたスキルトップ10と2020年に求められるスキルトップ10です。

様々な企業や組織のHRのリーダーや担当者にヒアリングをしてまとめたレポートで、地域別に男女雇用機会の話・働きやすい環境づくりなど多岐にわたり言及しています。

当時の一番ハイライトされたのはAIやマシンラーニングによりヒトの仕事がなくなってしまうのでは、もしくは変革が必要ではという議論でした。

実際に2020年に必要だと言われたスキルは何なのでしょうか。
ランキングを日本語訳すると以下のです。

2015年に求められたスキルトップ10

1位 複雑な課題の解決
2位 他者との協調協業
3位 人材マネジメント
4位 論理的思考
5位 交渉力
6位 質の管理維持
7位 サービス指向
8位 意識決定能力
9位 聴く力
10位 クリエイティビティ・創造性

どれもしっかり重要なスキルのように感じますね。
すこし日本の文化にはなじみのない7位と9位を少し無理やりですが解説します。

7位のService Orientationをサービス指向と訳すとIT用語のようですが、思い切り意訳するとジェネラリストよりスペシャリストといった感じでしょうか。独立した個人の能力を持っている、発揮する感覚です。

9位のActive listeningは外資系企業ではよくトレーニングされる傾聴する力です。
日本の教育では机に座って先生の板書をノートに書いて、教科書にある質問に答えていく一方的なものがほとんどなので、Active(動)とListening(静)が結びつく感覚が希薄です。
ただ、海外の方が一緒のミーティングに出るとびっくりしますが、一方通行なことってほとんどありません。言葉を発しないと存在しないのと一緒なので、とにかく質問しまくります。
コミュニケーションは常にアクティブなんですよね。
そんな海外でもActive Listeningのスキルが高いと尊敬され、信頼を勝ち取ることができます。コミュニケーション能力はトレーニングで向上できるので、社内で研修の機会があれば是非参加・リクエストしてみてください。

2020年に求められるスキルトップ10

これが2020年にはどのように変化したでしょうか。 括弧内が2015年順位です。
1位 複雑な課題の解決(1)
2位 論理的思考(4)
3位 クリエイティビティ・創造性(10)
4位 人材マネジメント (3)
5位 他者との協調協業 (2)
6位 心の知性 (New)
7位 意識決定能力 (8)
8位 サービス指向 (7)
9位 交渉力 (5)
10位 認知的柔軟性 (New)

新しい2つのスキルが登場しています。
両方ともあまりなじみがないかと思うので解説します。(が、人事や社会・心理学の専門家ではないので私見をご了承ください。詳しい方はぜひコメント欄でご教授ください)

Emotional IntelligenceとCognitive Flexibility

6位のEmotional Intelligenceは最近日本企業でも少しづつ浸透してきているかもしれません。
いわゆる知能指数であるIQ(Intelligence Quotient)に対して、精神的な成熟を測るEQ(Emotional Quotient)という指標があります。IQの高さだけではビジネスを成功に導けないというのが米国の主流になっていて、採用試験にもIQテストだけでなくEQのテストが行われる企業も多いです。
日本で、採用のときにSPIなどの試験で性格診断みたいなものがあり、何となくEQを測ってるのかなという気もするのですが、僕が知っている外資系企業の採用でよく聞かれるのは以下のような設問です。

「誰かにあなたの一生懸命取り組んでいる仕事を批判されたことがありますか。どのように反応し、何を学びましたか?」
「職場で倫理的ジレンマ(グレーだとわかってるけど進める場面)に直面したときのことを教えてください。どのように対処し、結果はどうでしたか?」

正しい答えはありません。この人は精神的にタフなのか、ビジネスにとって正しい決断をできる人なのかを理解できる質問です。

10位のCognitive Flexibilityは馴染みがないとおもいます。心理学的には「認知的柔軟性」と訳すようです。
2つの異なる概念について考えること、そして複数の概念について同時に考え、それぞれの立場を切り替えながら行ったり来たりしながら考える能力のことです。これが発表された2016年はあまりLGBTQに関してあまり日本では議論が大きくありませんでした。まさにLGBTQの話はCognitive Flexibilityが必要なテーマです。
男性がいて女性がいて、性と体が一致しない人がいて、それぞれに対する知識と理解が必要です。
固定概念から脱して、単純ではない問題を様々な側面で理解をしていく能力が日に日に重要になっているのは皆さんも感じ取られているのではないでしょうか。
企業のデジタルトランスフォーメーションも、「マス」と「デジタル」みたいにぱきっと分けると思考停止ですし、「営業」と「マーケティング」をぱきっと分ける意味もありません。
これも才能とか、感覚とか言わずに鍛えることのできるスキルです。

最近見かけた「手で握ったおにぎりを食べれない生徒への指導の問題」について考えを巡らせることも勉強になります。

【問題】
あなたは高校の教師である。ある日、授業の一環として稲刈りの体験作業があり、僻地の農家に田植えの体験授業に生徒を連れて出かけた。稲刈りの体験作業の後、農家のおばあさんがクラスの生徒全員におにぎりを握ってくれた。しかし、多くの生徒は他人の握ったおにぎりは食べられないと、たくさん残してしまった。 
 [問1]
あなたは、おにぎりを食べられない生徒に対しどのように指導しますか。 
 [問2]
あなたはこの事実をおばあさんにどのように話しますか。 
(2019年 横浜市立大学 医学部医学科小論文試験 改題)

言わずもがなですが、世の中はシンプルではないですし、情報の増加がより物事を複雑にしています。
2016年に提示された新しい2つの能力は本当に「いま」僕たちに求められるスキルだと感じています。仕事でも私生活でもですね。

実は世界経済フォーラムは2019年12月に新たなスキルに関するレポートを出しています。
第4次産業革命における人材戦略の形成」という少し固めの論文ですが、HR4.0というキーワードをもとに人事担当者は組織をどう変革する必要があるのか、(デジタルへの対応、雇用の柔軟性等々)詳細に書かれています。ユニリーバの事例なども取り上げられています。興味がある方はこちら読んでみてください。

2020年、ワクワクしながら頭も口もフル回転で邁進していきましょう!

筆者は匿名なんですが、紅白歌合戦のビートたけしに感動して、MISIAのコーラスに星屑スキャットがでていたことに唸りました。20代後半です。

今日はここまで。スキを押してくださる方、フォローしてくださる方、本当にうれしいです。またTwitterやFBでシェア頂けると大変喜びます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?