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ひらがなエッセイ #29 【へ】

    うどんが好きか、蕎麦が好きか、という論争が起こった場合、周りにいる大抵の人間が所謂「うどん派」で私はいつも孤軍奮闘、蕎麦派に立ち、蕎麦の魅力を伝えようと必死で足掻いているのだけれども、結局、数の暴力、多勢に無勢、うどん最高、うどんうどんうどん。壇ノ浦の戦いで平氏が源氏にボコボコにされたのは、食事の違いにより負けたのではないかと言う説がある。選択を間違えれば大変な事になる。どないしたもんか。2000頭のイルカの群れが海底から湧き出たからという説もある。ファンタジーか。

    祇園精舎の鐘の声、、、で始まる【平家物語】の冒頭は、源氏を退け、栄華を誇った平家一門の滅びゆく姿を語る名文で、暗記しているひとも多い事だろうが、本編はあまり馴染みがないのでは無いだろうか。実は私もよく知らない。どんな話だったかな、なんて、パラパラ読んでみて思ったのだが中々のファンタジーであった。上に書いたイルカの大群もそうだが、猿の顔、狸の胴体、虎の手足、蛇の尻尾をもつ妖怪が登場したり、ドクロとにらめっこしたり、誰もいないはずの虚空から三千人の笑い声が聞こえたり、火事の前日、たいまつを持った猿の大群がそこら中に火を付けて回る予知夢見たんすよぉ、なんて逸話さえ出てくる。何でもありか。まぁ、読み物なんてそんなもんだろうね。悲しいのか嬉しいのか、人間は今も昔も変わらない。まぁ、私が読む場所を間違えているのかも知れないけどね。戦はあまり興味がないもんで。

    しかし、食事の違いによって負けたのではないかという説は始めて聞いた。どうやら、平氏の食事は、姫飯(ひめいい)と呼ばれる白米が柔らかく炊かれた物をはじめ、貴族が食べるような上品なものばかりで、源氏は、玄米を蒸した強飯(こわいい)や干し魚など、硬いが健康的な食事であったらしい。合戦においては、栄養バランスの違いにより、集中力や耐久力が違った、というのだ。その話を聞いて、じゃあ、うどんと蕎麦はどちらが栄養あるのかと気になり、調べる事にした。まずは食物繊維、蕎麦の方が多く含まれている。次は、カロリー、これは意外と蕎麦の方が高い。消化に良いのがうどんで、血糖値が気になる人は蕎麦が良い。よって、日常的には蕎麦を食べ、風邪の時のみ、うどんを食べることをおすすめします、と書かれてあった。何だ、うどんは病気の時のご飯なんだな、みんな病気なんだ。私は博愛の眼差しを捧げ続けるとしよう。

    沙羅双樹の花の色、白くてうどんと同じ色。

    蕎麦派にならないかい?


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