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"圧"

ー奥さんの日記帳

奥さんが長い間、日記を付けている。5年間毎日書ける日記帳を買ってきて、書けるときは必ず書くようにしているという。聞くところによると、学生の頃から続けているらしい。長続きしない奥さんにしてはかなり意外だが、無理なく続けているうちに習慣となり、今やあまり煩わしさを感じていないようだ。継続は力なり。こういうところは見習いたい。一方で、この日記帳の存在に、人知れず"圧"を感じだしている。

魔女

この日記帳を基に、ときどきからかわれる。2017年のいついつは会社でこんなことがあったらしくどこか機嫌が悪かったとか、19年のいついつはお酒を遅くまで飲んで"午前様"だったとか、いちいち日記を読み上げられる。

それを聞かされるこちらは恥ずかしさのあまり、もんどり打って転がり回るのだが、それを見て、奥さんはとても"良い表情"になる。まるで魔女のようだ。こういうところは決して見習わないようにしたい。

観察記

ふと思う。奥さんの日記は、ある時期を境に夫の観察日記になっているのではないだろうか。そうであった場合、年を追うごとに、こちらが成長しているのか否かが日記を振り返るだけで丸わかりになる。

背筋がゾッとする。先行き次第では、奥さんの日記帳は夫の"黒歴史"どころか、破滅的な状況に向かう様子を克明に記した「黙示録(アポカリプス)」になりかねない。随分と恐ろしいものをまとめてくれたものだ。

想定外のプレッシャー。奥さんの日記が「英雄譚」になるよう心がけたい。

(写真:長く書き続けた日記帳を読み返す奥さん。日記帳には5年分毎日書き込めるようになっている=フリー素材などを基にりす作成)

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