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【シニア向けモビリティ補助金、より柔軟な車種選びが移動をもっと楽しく快適に】独自モデル作った宮古島市役所と、使った「ウィル」ユーザーに聞いてみた

高齢化が加速する日本で、シニア世代の移動手段として熱視線を受けているのが免許不要で歩道を走れる近距離モビリティ。

いろんな種類のモビリティが雨後の筍のようにさまざまなプレーヤーから登場し、選択肢もぐんと広がりました。

高齢化とモビリティの多様化を背景に、こうした近距離モビリティを個人が保有しやすくなるよう、昨今自治体でシニア向けの電動モビリティ補助金制度が新設される動きが。

今回の舞台は、補助金制度の中でも独自モデルを確立した宮古島市。

独自の柔軟な制度づくりにひときわ強い想いが込もった宮古島市役所の職員さんと、実際にその制度を利用し、近距離モビリティWHILL(ウィル)で日々移動しているユーザーSさん、双方の立場からお話を伺いました。


シニア向け電動モビリティ補助金とは

世間一般的には「シニアカー購入費補助金」と呼ばれ、一部の自治体で2023年以降少しずつ制度として誕生しています。

さまざまな免許不要の近距離モビリティが多くのプレーヤーから登場し始めた2023年ごろを皮切りに増えているように感じます。

(2023年の旧「東京モーターショー」は「ジャパンモビリティショー」に名称が変わるなど、日本社会において受容されつつありますね)

この制度は、少子高齢化や地域の過疎化などを背景に、シニア世代に対して、免許返納後も安心快適に移動し続けられるよう、そして自立的かつ積極的に外出してもらえるよう、役立てていただくことが狙いです。補助額は購入金額の3分の1だったり、半額だったり、上限10万円だったりとさまざま。

補助金制度を設けているのは福岡県大川市、長崎県西海市、岐阜県輪之内町などの市町村。

申請条件は自治体によって異なりますが例えば以下のようなもの

  • 年齢が65歳以上だったり70歳以上だったり

  • 免許返納しているか、または保持していないか

  • その自治体に住居しているかどうか

  • 町税及びこれに準ずる納付金に滞納がないか

などなど。市民の皆さんの税金で運用されている大事な大事なお金なので、上記のような一定の条件は必要です。

一方で、申請にかかるモデルへの条件が厳しく、これまで車や自転車などのモビリティを自由に選び、乗ってきた方々にとっては選択肢が狭められている現状もあります。

多様な免許不要で歩道を走れるモビリティ(道路交通法上、電動車椅子規格)が登場する中、自分が乗りたい!と思える車種を選ぶことができるだけで、外に出かけたい気持ちももっと高まる気がします。

ひときわ目立つのが宮古島市独自モデル

宮古島市では、シニア向けモビリティに対する購入費補助事業が2023年度に新設されました。

「高齢者にもっと自由に外出してほしい」と、職員の強い思いで実現した制度で、他地域にはない、より柔軟で自由度の高い内容となっています。

大きな部分はメーカー、車種を問わないこと。

宮古島市役所HP「令和5年度シニアカー購入費補助事業について」抜粋

シニアカー購入費補助事業立案者の宮古島市役所 高齢者支援課 T氏に話を聞きました。

前職では社会福祉に関わる仕事に従事していました。当時から「高齢者にシニアカーのような移動手段があればもっと自由に動け、生き生きと日々を過ごせるのに…」と思っていました。

市役所に勤め始めると自分が抱いていた課題感を身を持って体感するようになりました。

例えば、本島にいる家族が宮古島の親を心配して市役所に電話がかかってきたりします。また、市役所が一つに統合されたがゆえに足腰の衰えた高齢の方々が移動に不便を感じているなどの声をもらったり。

現職の立場から高齢者を支援できないかと考えた結果、免許不要で走行できる「歩行者扱い」の近距離モビリティに注目し、さまざまな種類から選べるよう、全国的にも珍しい、先駆的な独自の補助金モデルを確立させました。

半年で全枠埋まり急ピッチで増枠

2023年4月から本事業を開始し、実際に運用してみたところ当初予定していた枠が半年で埋まる結果に。

正直驚きました。こんなにニーズが高いんだと。求めている方々が多いことが分かり、増枠しました。

ニーズの高さと市民が自分で使える「足」確保の必要性が受け入れられた感じですね。

窓口で相談が多いのはご家族からです。
「離れて宮古島に暮らす親を心配して何か方法はないか」「車の運転をそろそろ控えてほしいと思いつつ、安心に使える移動手段はありそうか」などのご相談から始まって補助金への話になったり、地元紙を見て問い合わせが入ったり。
こうした困っている方が自分の生活圏内での暮らしを維持し続けられるようなものの1つに近距離モビリティを活用してもらえたら嬉しいです。

枠を増やしてからも好調で、次年度以降も補助事業を実施していく予定です。

ユーザーS様について

ウィルは全国の自動車ディーラーで試乗や購入ができ、沖縄県では沖縄トヨタと琉球日産(取り扱い開始順)で販売されています。

ユーザーのSさんは、琉球日産の協業先であるロータス東和(本社:宮古島市)で、この補助事業を利用してウィルを購入しました。

素敵なご自宅。左がお玄関でウィルがあります。

今回はSさん宅にお邪魔しました。実際にSさんがどのようにウィルを使ってくださっているのかにお話を伺わせていただきました!(大所帯にも関わらず、歓迎してくださいました)

Sさんについて

  • 80代前半、女性(2024年3月現在)

  • 沖縄県 宮古島の一軒家にご夫婦でお住まい。

  • 杖を使わず歩ける、1km程度は歩行可能。

  • 原付に乗るのが不安になることも増え、ウィルを選択。

  • シルキーブロンズのModel Sを2023年9月ごろ、ウィル取り扱い自動車ディーラーの琉球日産 協業先の東和オートで購入。

  • お子様3人のうち息子さん2人が那覇、1人が福岡にお住まい。

  • 畑仕事でバナナやパパイヤ、モリンガなどを育てている。

  • 週に2回、ホテルへ仕事に行く。

ウィルは玄関に増築された屋根付きのスペース?に、防水カバーをかけて保管してくださっていました。

雨風をしのげる、かつカバーで保護しているので、沖縄県特有の車のサビなども大きな心配はなさそうとのことでした。

大事に大事に乗ってくださっていることが分かります。

CMで気になりお店で「かっこいい」と一目惚れ。息子さんたちが「買ってくれた」

SさんはWHILL社が2023年9月に放映した全国各地でのTVCMを見てウィルを知りました。
当時この頃、原付や車の運転が心配になっていたとのことです。

そこで、古くから旦那さんが車のお付き合いのあるディーラーにウィルを見に行きました。販売店さんも近距離モビリティの扱いには慣れており、カタログを見ながら一緒に検討したそうです。

店舗で実際にウィルを見て「かっこいいね」てなりました。

離れて暮らす息子たちが買ってくれたんです。

Sさん談

実際の補助金申請は息子さんたちが行いました。宮古島市で申請するには以下のようなフローになります。

  • 試乗してある程度買いたいモデルを絞る(その際、販売店から見積もりを出してもらう)

  • 購入前に市役所で補助金申請

  • 補助金助成の証明書を持って店舗で購入

  • 購入した領収書を持って市役所で手続き

  • 補助金を受け取る

「ウィルは毎日乗る。週2回の出勤や畑の様子を見に」

ウィルに毎日乗るというSさん。日々の暮らしについて聞きました。

週に2回、ホテルのお手伝いをしにアルバイトをしています。
もちろんウィルで。片道40分かけてウィルで行きます。安全運転でゆっくりした速度で。

Sさん談
お天気もよく、眩しさもありますが、通勤ルートだそうです。

畑の様子も見に行きます。

バナナやパパイヤなどいろんなものを育てていて、もともと畑に行きたいなと思ってウィルを買ったんですが、ほぼ毎日見に行くんです。

練習もまだまだしています。
横断歩道や曲がり道もあるので、ちゃんと歩かせられる*ように。

*「歩かせられる」は操作や運転できる、といった意味でおっしゃっています。

家事もテキパキこなすSさん。
我々が大所帯で来ても、次から次へたくさんのおもてなしをしてくださいました。

Sさんが育てた島バナナ。とても甘かったです。

この後も、お茶を入れてくださったり、デザートを出してくださったりと座る暇なく動いていらっしゃるアクティブおばあちゃまです!

お手製のモリンガ茶も出してくださいます。

乗り心地は最高。毎日出かけられますよ。

毎日の生活圏内における「近場の移動」がし続けられること。当たり前のことを当たり前に維持できることが大事なんだなとSさんと話して実感。

市役所のTさんも「書面上では補助金が大いに活用されていることはわかりますが、実際どんなふうにウィルを使って生活しているかを知る機会はあまりなかったんです。

こうして補助事業を役立てていただけて、実際にユーザーさんが日々移動できている様子を直接見ることができて、今回の補助事業を新設できてとても良かったし、希望がより持てた」とおっしゃってくださいました。

ユーザーさんのリアルな声、リアルな所作が一番説得力があります。

特別なことはないけれど、毎日充実して楽しい日々を送っていることが伝わってきました。

自分がかっこいい、乗りたいと思える移動手段を手に入れられたからこそ、より一層毎日の移動が楽しいのかもしれませんね。

補助事業を実際に運用してみえたニーズの高さとこれから

話は戻ります。

上述にもありますが、購入費補助事業は当初想定を上回る反響がありました。
ニーズの高さがあることにも手応えを感じ、2024年度も運用を継続します。

一方で、2023年度の補助事業実施を経てさまざまな声をいただきました。
例えば、窓口では「そもそも免許を持ったことがないから、私は対象にならないのね」という声。こうした声をもとに、今後の運用方法や条件などを検討していきたいとしています。

移動はみんながするもの

市としても対象を狭めたい訳ではないですし、むしろ柔軟に広げたいなとは思っています。

ただ、そのニーズが数値的にどれくらいあるのかはまだ掴みきれていないんですよね。だから、どれくらい緩和したらいいのか、またどれくらいの補助枠を設けたらいいのか手探りで。

次年度以降の利用実績や市民の皆さんからの反応を見つつ、市民の皆さんがより便利に快適に移動し続けられるものにしていきたいと考えています。

「大きな移動」と「小さな移動」がつながったら

Tさんが移動の未来図を語ってくれました。
※あくまで個人のお考えも含まれている部分もある旨ご承知おきください。

病院に行く、大型ショッピングセンターへ行く、銀行や市役所へ行くという定期的に必要な「大きい移動」と、畑へ行く、公民館の寄合に行く、近所にお裾分けに行く、ちょっとした買い物に行くという生活圏内で日々起こる「小さな移動」をしっかりつなげられたらいいなと思います。

例えば、宮古島のバス停には日除けができる屋根がありません。

またしょっちゅう便があるわけでもないほか、一人で待つことにもなります。今まで車や原付で自分の好きなタイミングで移動し、待つ習慣がない方にとって、バスの時間に合わせて逆算して準備することには戸惑いもあるでしょう。

まず、ドアツードアで自分で操作する「小さい移動」を維持できるようシニアカー導入事業を始めました。市町村が合併し、公共交通網も縮小していく中、いかに生活圏内の当たり前の日々の「小さな移動」を長く続けられる状態を伸ばすことが大事だと考えたんです。

いつか、自分の集落から公民館までは近距離モビリティを運転して来る。
そこに止めて公民館からバスに乗り合って、病院や市役所などに移動する。そしてまた公民館へ戻って、停め置いていた自分の近距離モビリティで家に帰る。

こんな世界、素敵ですね。

宮古島市役所も素敵です

ウィルは免許不要で「歩行者」扱いの近距離モビリティ

ウィルは免許不要で歩行領域(歩道・屋内外)を走れる近距離モビリティです。電動車椅子規格で開発されており、最高時速は6kmで道路交通法上は「歩行者」の扱いとなります。

左からプレミアムモデル「WHILL Model C2」、折りたためるモデル「WHILL Model F」、スクーターモデルの「WHILL Model S」

3モデルをラインアップとして展開しており、お客様の身体状況や移動ニーズ、住環境、ライフスタイルに応じて適したウィルを選んでいただいています。

ウィルを試乗・購入できる店舗へ

ウィルは、自動車ディーラーなど全国の正規販売店で試乗や購入、相談が可能です。沖縄県で試乗・相談・購入したい場合は、沖縄トヨタや琉球日産に試乗機体があります!

沖縄県以外でも、ご自宅から行きやすい店舗をWHILL公式HPより探すこともできます。

試乗をご希望の場合、店舗の混雑状況や試乗機体の手配準備などから、事前ご予約をお願いいたします。

ご家族で試乗や乗り比べることで、より安心してウィルのある生活を始めていただけます


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