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タヌキかもしれない

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タヌキかもしれない私の日常
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キツネではない

キツネではない

以前、タヌキかもしれないという文章を書いた。

起伏に富んだ道を歩いているとき、しばしば自分はタヌキだと感じる。
しかし、キツネではない。私は私がタヌキかもしれないと疑うが、決してキツネではないと自信を持って言える。

なぜだろう。自己中心的でいて自己肯定感の低い私は、自信を持って言えることがほとんどない。
飽くなきマウント戦争から身を引き、半分巣籠もりして半分社会に参加している、一匹のタヌキだ。

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タヌキ、自転車に乗る

タヌキ、自転車に乗る

山を下りる頻度が増えたので、父が自転車の手入れをしてくれた。6年生の時に買ってもらった自転車は多少傷んでいるものの、化けタヌキという私にはりっぱなぴかぴかの自転車だ。きょうだいの旅立ちまで学生生活を支えたのち物置で休んでいたが、15年物とは思えないはたらきをしてくれている。

人里に職を得た。一日3、4時間の気楽なパートとしてはたらくのは、化けタヌキの体力には都合の良い、たいへんありがたい職だ。昼

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タヌキかもしれない

タヌキかもしれない

片道徒歩30分かけて最寄りのスーパーへ買い出しに行ったかえりみち、ふと自分はタヌキかもしれないと思った。

住宅地のはしっこにある家からスーパーまでの道は起伏に富んでいて、ちいさく二山、三山越えるかたちになる。

天気の悪くない平日の真っ昼間、私というタヌキが人に化け、片道徒歩30分かけて山を降り人里で食料やら雑貨を買い込みまた戻る。

思考が遠くに及ぶにつれ、黙々とひとり歩く自分が人間である自信

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