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うつでも絶対に計画を実行できる方法を見つけた

私は双極性障害です。双極性障害とは、以前までは「躁鬱(そううつ)病」と呼ばれていた病気で、その名の通り躁と鬱を行ったり来たりします。

しばらく絶好調な日が続いたかと思いきや、突然糸が切れたように動けなくなる。そんな状態を繰り返し、その度に改善策を練っては実践して、効果測定を行うという生活を5年ほど続けてきました。

この地道な作業を延々繰り返してきたおかげか、今まで苦労していた「躁のときに立てた計画を鬱のときにこなせない」問題が少しずつ改善してきたように思います。

そこで今回は、私が実践している「気分の浮き沈みに関わらず絶対に計画を実行する方法」をご紹介します。私と同じ双極性障害の方や計画倒れしがちな方、ドタキャン癖のある方へのヒントになれば、大変嬉しく思います。


今までにこんな失敗をしてきた

躁鬱の荒波に揉まれていた頃は、誰でもできるような簡単なタスクもこなせず、自己肯定感ダダ下がりの日々を過ごしていました。今まで私が繰り返してきた失敗をご紹介します。

・会う約束を直前でリスケorキャンセルする
・年始に買った手帳を年末に真っ白なまま捨てる
・ジムや病院など予約しても途中で行かなくなる
・ダイエットや試験勉強が続かない
・大掃除が終わらない
・休日にやりたいこと(本を◯冊読む、口座を解約する、バレンタインチョコを手作りする…等)を計画しても完遂できずに終わる

などなど。同じような経験をしたことがある方、大丈夫です。仲間はここにいます!!!!!
なぜこのような失敗をしてしまうのか?いつも計画倒れしてしまう理由を考えてみました。

いつも計画倒れしてしまう3つの理由

なぜいつも計画倒れしてしまうのか。今までは、自分で立てた計画なのにできないのは意志が弱いからだと思っていました。そのほかにも行動力がないからとか、鬱から抜け出す気力がないからとか、とにかく自分のせいだと思っていたんです。

ただ、寛解してから冷静に過去の自分を客観視してみると「この計画表、誰が実行できるん?」と、立てた計画の方に違和感を持ちました。そのときに見つけた、計画表の欠点が以下の3つ。

  1. 予定を詰め込みすぎている

  2. 一つひとつのタスクが大きすぎる

  3. タスクの目的がはっきりしない


①予定を詰め込みすぎている

まず、予定を詰め込みすぎているパターンです。私は白黒思考の完璧主義で、ピカピカの計画表を作っては毎回やり切れずに終わるという悪循環に陥っていました。今まで立てていた計画表の一部をご紹介します。

とある1日
全く隙がありません


全く隙のないギチギチ計画。昼寝や移動時間を作って自分なりにゆとりを持たせたつもりでも、いざ実行したら上手くいかない。このギチギチ病が、計画倒れする理由の1つでした。


②一つひとつのタスクが大きすぎる

今まで立てていた計画表には、「記事を1本完成させる」「ジムに行く」「本を1冊読む」など、実行するのにかなりの体力を要するタスクをいくつも詰め込んでいました。これでは、時間も体力も全然足りない!

タスクがバカでかいままだと、1つこなすだけでも一苦労です。この悪循環も、私が失敗し続けていた理由でした。


③タスクの目的がはっきりしない

ダイエットや資格試験の勉強中によく起きていた問題です。最初は「痩せてモテたるで!!!」とテンションMAXでジムに申し込むのですが、数回行ったらやめてしまう。自己研鑽のために始めた資格の勉強も、仕事ではないので飽きてしまう。

タスクの目的が不明瞭だと当然やる気も出ません。「なぜこれをやろうと思ったのか?」と目的を途中で見失ってしまうのも、失敗する理由の1つでした。


絶対に実行できる計画の立て方


いつも計画倒れしてしまう原因が分かったので、ここからは気分の浮き沈みに関わらず、現実的に実行できる計画を立てていこうと思います。「躁鬱の私でもやり切れる」を目指しているので、「んなこた知っとる」という内容もあるかもしれませんが、多めに見ていただけると幸いです。


①計画の中に予備の時間を入れる


ギチギチ計画だと、少しでも予定が長引けば一瞬で計画倒れしてしまいます。白黒思考の完璧主義である私は、この時点で「もうええわ」とシャッターを下ろし、その日はもう閉店状態。

これを防ぐために、私は必ず予備の時間を入れることにしました。夕方に1時間の予備を入れることで、やり切れなかったタスクをここで解消するという作戦です。私は体力がないので、必ず昼寝と移動時間と一緒に予備の時間を入れて、体調と計画の両方が上手くいくよう心がけています。

②所要時間の見積もりを1.5倍にする


予備の時間を入れてもタスクが終わらない場合を想定して、私はそれぞれのタスクにかかる時間を想定の1.5倍に設定し、計画に余裕を持たせるようにしています。

しかし私は面倒な女なので、予定通りタスクが終わってしまうと「時間が余ったらせっかく立てたギチギチ計画の美しさが台無し!」ともやもやしてしまいます。もし私と同じような方がいたら安心してください!!計画倒れしたくないけど暇な時間は作りたくない場合の対処法は後述します。


③タスクを細分化する


「記事を1本完成させる」「ジムに行く」「本を1冊読む」などの大きなタスクを入れてしまうと、早々に気力も体力も無くなってしまいます。そこで、私は以下のようにタスクを細分化してから計画に入れることにしました。

・記事を1本完成させる→構成、執筆、推敲
・本を1冊読む→本をとりあえず開く、◯ページまで読む、読みたいところだけ読む
・掃除する→トイレ掃除、書類整理、掃除機

このような感じで、一気に大仕事を片付けようとせず、スモールステップでコツコツこなせるようにしました。「ジムに行く」といった細分化できないタスクの場合は、体力の消耗を防ぐためジムの後に休憩時間を入れたり、片付けなどの簡単なタスクを入れるようにしています。

④タスクを連鎖させる


せっかく小さくしたタスクも、思いつくままに計画表に入れてしまうと無駄に時間を浪費したり、体力を消耗したりと効率を悪くする可能性があります。

これらの無駄を防ぐために、私はタスクをぷよぷよのように連鎖させる作戦を使っています。例えば、「図書館に行く」「本を◯ページ読む」「晩ご飯の買い物をする」というタスクを消化したい場合。

Bad✕:喫茶店で読書→帰り道で買い物してから一旦家に帰る→また外に出て図書館に行くGood!:図書館で本をピックアップ→そのまま図書館で本を読む→帰り道で買い物をして帰る

このように「外出先で一気に済ませる」「帰り道に立ち寄る」など、何かのついでにタスクをこなすように予定を組めば、タイムロスが少なく効率的です。計画を立てるときは、タスクの順番にも気をつけてみてくださいね。

⑤代替案を持っておく


コツ②で後述すると予告した「計画倒れさせたくないけど暇な時間は作りたくない」ときの対処法です。私は計画表に余計な隙間を作りたくないので、時間が余ったときのために「暇なときにやることリスト」を用意しています。内容はざっくりこんな感じ。

やることを思いついたら
その都度項目を足しています


このような感じで、時間がないとできないことを普段からメモして、余裕ができたらすぐ実行できるようにしています。こうすれば暇な時間が生まれたことにイライラせず、前からやりたかったことに手をつけられるので一石二鳥です。もし良ければ、オリジナルのやることリストを作ってみてくださいね。


⑥決断する前にしばらく時間を置く


これは躁鬱だからこそ気をつけていることです。躁状態になると気が大きくなって散財したり、借金をしてしまったりと大失敗する可能性があるので、私はいつも買い物をするときに必ず時間を置くようにしています。

これは私の苦い経験なのですが、激しい躁状態の間に遊びまくり、新卒から貯めていた180万がいつのまにか消えていたということがありました。ブランド品を買ったわけでも旅行しまくったわけでもなく、冷静になっても何に使ったか分からずじまいでめちゃくちゃ後悔しました。皆さまもお金の管理にはお気をつけくださいね…。

「ジムに行こう!」「資格のスクールに通おう!」と意気込む前に、「これは本当に通わないといけないのか?」「市販のテキストやYouTubeでは無理か?」など一旦熟考する時間を設けると、申し込んだけど負担が大きくてやっぱり無理だった、といった失敗を防げます。

個人的には、最低1週間は時間を置くことをおすすめします。1週間もあれば最初のときほどの熱量は薄れているので、本当に自分に必要なことだけに時間とお金をかけることができます。新しいことに手を出すときは、勢いで始める前にしばらく時間を置いてみてくださいね。

⑦計画を立てる前に習慣化する


これも躁鬱だから気をつけていることです。今までは勢いでジムに申し込んで途中でやめるを繰り返していたので、先に習慣化することにしました。

具体的には、ジムの体験に行ってどれ位の頻度で通うのが良いか相談し、先にその頻度で続くか試してみるというものです。当時体験に行ったジムは週1で1セット30分だったので、毎週日曜日に30分の筋トレ動画を見て、自力で習慣化することを目指しました。すると、この動画にハマって4ヶ月も筋トレが続き、ジムに通わずダイエットに成功するという奇跡が起きたんです!!ありがとう、ひなちゃんねる…。

先に習慣化すれば途中で投げ出すこともなく、場合によってはお金をかけずに済むので、またまた一石二鳥です。時間に余裕があればぜひ試してみてくださいね。

この動画のおかげで太ももに隙間ができました。めっちゃおすすめです。


実行するときに押さえたいポイント


ここまで、気分の浮き沈みに関わらず実行できる計画の立て方についてご紹介しました。以上7つのコツを取り入れた計画なら、気合いを入れなくても無理なく実行に移せるはず。

ただ、さらに効率良く実行するためのポイントを3つ、パターン別にご紹介します。自分に合いそうなものがあれば、ぜひ試してみてください!

①ドタキャンしそうなときは人に頼ろう


これは大学時代に悩んでいたドタキャン癖を直すために心がけていたことです。会う約束をしたのに直前で嫌になるのはなぜか考えたとき、私の場合は「電車に酔ってゲロ吐いたらどうしよう」という体調への不安が大きいのだと気づきました。

当時の私は不安障害を持っており、電車に乗るのがかなり苦痛。そこで約束をする際、正直に事情を話して何ができて何ができないのかを伝えるようにしました。そうすれば、相手の都合に応じて「じゃあ電車に乗らなくて良い所に行こう」「ご飯だけにする?」などの代替案を出してくれたり、「元気になってから遊ぼう」と配慮してもらえたりと、一人で不安に耐える時間が大幅に減りました。当時の友人たちには本当に感謝しています。みんなありがとうね…。

後々、休職してリワークに通っていたときに教わったことですが、障害者雇用で働く際は、自分の困りごとや配慮してほしいことをちゃんと自分で説明できるようにしておく必要があります。私はこれが上手くできず前職で苦労しました。配慮してほしいことを伝えるのはずっとワガママだと思っていたのですが、ちゃんと伝えないと相手もどうすれば良いか悩んでしまいます。これに気づいてからは、周囲に得意不得意や障害特性を必要に応じて伝えるようにしています。

現在は「来週遠方へ取材に行きます」「今日から生理が始まるので不安定です」など、重要なことは事前に夫に伝えて、どのような支援が必要か相談しています。こうすればお互いに心づもりができてハプニングが起きても大きな打撃を防げます。1人で計画をこなすのが不安なときは、勇気を出して人に頼ってみるのも1つの手だと思います。

②過集中はタイマーで対策


躁鬱の私が長い間苦しんできた「過集中」。私は躁状態になるとアイディアがどんどこ湧き、あれもやりたい!これもやりたい!と手が止められなくなる傾向があります。そのため、集中しすぎて周りの声が聞こえず、何時間もぶっ続けで記事を書いては計画倒れするという悪循環に陥っていました。

そこで産業医の先生から教えてもらったのが、タイマーを使った時間管理術です。タイマーが鳴ったら一旦手を止め、別の作業をすることで過集中を防ぐ作戦です。好きなことに取り組むときや、絶対今日中のタスクがあるときなどは、よくこの作戦を使います。私はこんな感じ。

その日の計画表をもとに
タイマーをかけます


小刻みすぎるかもしれませんが、だいたい夜までこんな感じです。薬を飲む時間も含めることで飲み忘れを防ぎ、またイスから立ち上がるので作業を中断できて一石二鳥。タイマーを使えば、誰かに頼らずとも1人で実行できるのでおすすめです。過集中癖のある方はぜひ試してみてください!

③飽きたら潔くやめるのもアリ


どうしても飽きてやる気がなくなることって誰にでもあると思います。私の場合、お風呂上りのストレッチを思い切ってやめました。寝る前にストレッチをすると寝つきが良くなると聞いて毎日続けていましたが、まあしんどい。体が硬すぎて全身痛いし、寝つきが良くなった感覚もない…と、毎日のストレッチがだんだん苦痛に。

そこで、代替案として夜は1日の振り返り日記を書くことにし、ストレッチは日中に行うことにしました。これなら仕事中座りっぱなしで不健康な状態を改善できます。ストレスフルなタスクが毎日続くと気分が下がるので、タイミングをずらしたり、思い切ってやめるのもアリだと思います。

計画は好きなだけ立てて良い

ここまで、『計画の立て方』にフォーカスしてコツをご紹介してきました。ただ、この記事を読んでくださった方のなかには、「そもそも完璧主義を直したら?」と思われた方もいるかもしれません。そうですよね…私も何回か言われたことがあります。完璧主義だと生きづらいよ、計画倒れしても良いし、そんな自分を受け入れればいいんじゃない?と。

しかし、思考パターンはそう簡単に変わらないのも事実。それに、私のような「実行できるできないに関わらず、ピカピカの計画を立てるのが好きなんや!!」という方は多いのではないかと私はにらんでいます。

そこで、私は「完璧主義の自分」も「計画倒れが許せない自分」も「それでもピカピカの計画を立てたい自分」も全部受け入れた上で、実生活をできるだけスムーズに送れる計画を試行錯誤し、今までなんとか生きてきました。躁鬱の荒波に揉まれていた頃の自分に会えるなら、「どんだけギチギチでも好きなだけ計画立てたらええ。実行できんでもええけど、できんかったからといって全部やめようと思わんでええんやで…」と伝えたいです。

この記事のどれかひとつでも何かしらのヒントになれば、大変嬉しく思います。

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