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書いて生きていく プロ文章論:②【ブックレビュー】

本記事②は、①の後編として、主に第四~七章から、書き留め置きたいトピックを挙げて紹介したい。

本書は、豊富な取材経験、取材からの執筆を手掛ける、
ブックライターであり自著も数多くある上阪徹氏による

書いて生きていく プロ文章論

出版社: ミシマ社
発売日:2010/11/26(第一刷)



感謝の気持ちを持って臨んでいますか?

同じ企業に取材に行ったとしても、例えばクライアントへ取材しに行ったのか、別の会社から依頼されていったのか、どのような立場で出向いたかによって相手の態度が異なるように感じたと上阪氏。

どんなときでも、「取材させていただく」という、相手への感謝の気持ちが必要だ。
その気持ちは相手に伝わるし、取材時の信頼関係の構築にもつながる。

取材だけに限らない。
お仕事をいただく際には、常に「感謝」の気持ちを持ち続けていたい。

何のための取材・インタビューなのか、明確ですか?

取材がうまくいかなかったときの敗因として、ライターの頭のなかに「こういう内容にする」というものがなかったからではないかと上阪氏。

インタビューは本当に難しい。
話がそれて、目的を逸脱してしまうこともあり得る。
そうならないよう、何のためのインタビューなのかをしっかりと頭のなかに入れて対応しなければいけない。

話がそれたら、関心を示さないようにするという上阪氏。なかなか勇気のいることだけれど、当初の目的を達するためには脱線していられない。

目的を明確にして、そこに戻ってこられるように整えておく。

目的、意図は明快に説明していますか?

本書を通してよく出てくる言葉が「目的」だ。
取材相手に取材させていただくにあたり、まずご本人に「この取材がどういう目的で行われるのか」をはっきりと伝えておくことが大事だという。

そうしないと、相手も何を話していいのかわからないし、スムーズに取材が進まない。
どんな話をしてほしいのか、読者ターゲットはどんな人なのか。
それによって、話す内容や話し方も変わってくる。
貴重なお時間をいただく、取材相手に対するマナーでもある。

知ったかぶりはしていませんか?

取材する前には、必ず相手やその企業の情報を収集し、ある程度理解しておくのは当然のことである。
けれど、だからと言って何でも「知っている風」で話してしまうのはいけない。

そもそもわからないからこそ、取材に来ているわけである。
教えていただく姿勢で、取材に臨む。

ただ、なにも理解せずに取材に行くのは相手に失礼なので、先に書いたように事前リサーチは必要である。
そのうえで、わからないことはわからないと聞くのが誠実だ。

ライターのキモはインタビューである

上阪氏は多くのインタビュー記事を執筆してきて、大事なのは文章力ではなく「取材力、インタビュー力」だと語る。

いくらきれいな文章を書けたとしても、面白い話をどんどん引き出せる力がなければ面白い原稿にはならない。

「どう書くか」以上に「何を書くか」こそが問われるのが、文章の書き手だということです。そして「何を書くか」のコアになるものが、インタビューという仕事に詰まっているということです。

書いて生きていく プロ文章論:上阪徹

誰のために仕事をしていますか?

1番をとりたい。
だれよりもいい文章を書きたい。
それはつまり「自分のため」に仕事をしているということ。

そうじゃなくて、読者のために仕事をする。
読者の役に立つ、面白い内容の原稿を作る。
そうすることで、自然と評価されるようになる。

文章の向こう側を見て、文章を書く。

仕事を選んでいませんか?

上阪氏は超多忙な人気ライターだ。
けれど、まずはすべての仕事をお引き受けする気持ちで対応しているという。

たとえ小さな仕事でも、自分に依頼があった理由があるはず。
発注者の立場になり、お引き受けする。

仕事を選ばないことで、難しい仕事の経験を得られたり、相手からの喜びの声をいただいたり。
結果としていろんな人から声がかかるようになる。

仕事を選ぶことは、それだけ仕事を狭めてしまうことになるかもしれない。
依頼してくださった期待に応えることで、世界も広がる。

「相場観」の準備をしていますか?

面白い原稿をつくるには、読者ターゲットがどのようなことを考え、どのようなことに興味を持ち、どのようなことを面白いと思うのかを知ることが大事だと上阪氏。ここでも「相場観」が重要だと説く。

そして相場観は刻々と変化するもの。
それを更新し続けてかねばならない。

上阪氏は相場観を更新していくため、頻繁に書店に足を運ぶこと、新聞と新聞内の広告を見ることを大切にしているという。

専門家などばかりに取材していると耳年増になってしまうと上阪氏。
一般的な人々の相場観もつかむため、こうした情報は欠かせない。

これは自分の力だ、と思っていませんか?

好きな仕事をする、やりたい仕事をする。
そういう道もあるけれど、上阪氏が取材した成功者の中には、「誰かにまるで導かれるかのように、目の前にやってきた物事に、仕事に立ち向かってきたら今があった」という人が決して少なくなかったという。

「自分は生きているのではなく、生かされている。自分の力ではなく誰かの力だ」という人もいたそうだ。

自分ができることを、ひたむきにやり続ける。
求められるままに走り続ける。
私自身も、いただいた仕事に感謝し、実直に取り組んでいきたい。

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