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沖縄アクターズスクールのマキノ正幸が送り出した男性アイドル『DA PUMP』

安室奈美恵やSPEEDなどを輩出した沖縄アクターズスクール創設者のマキノ正幸が2024年6月28日に沖縄県内の病院で死去した。祖父は「日本映画の父」と呼ばれた映画監督の牧野省三。父は映画監督のマキノ雅弘、母は俳優の轟夕起子。同スクールでは安室奈美恵の他、女性4人組グループのSPEEDやMAX、男性グループのDA PUMP、三浦大知ら沖縄から数多くの人気アーティストを送り出した。

DA PUMPの初期メンバー / 沖縄アクターズスクール練習生時代

マキノ正幸は、本土復帰前の沖縄へ県外から移り住み、1983年に「沖縄アクターズスクール」を開校。当初はアクターズスクールという名前の通り、演技や芝居など俳優を育成する養成所だったが、1990年代からはそれまでの遣り方を一変させ、歌やダンスなどアイドル歌手を育成する学校となり、安室奈美恵・MAX・DA PUMPなど歌唱力とダンスの実力があるアーティストを次々と誕生させて全国に大ブームを巻き起こし、国内外の音楽シーンで沖縄のアーティストの存在感を大きく高めました。

DA PUMPの邊土名一茶 マキノ正幸への追悼コメント

マキノ正幸の訃報を受け、沖縄アクターズスクールスクール出身生が“育ての親”を追悼した。DA PUMPの邊土名一茶(ISSA)は、「恩師と言う言葉では伝えられないほど偉大な校長でした。僕みたいなクズを拾ってくれた事は感謝してもしきれません。ありがとうございました」と悼んだ。今回のコメントの中でISSAが発言した¨僕みたいなクズを拾ってくれた¨というのはDA PUMPのデビュー前の名前がクズ = KOOZだったからという意味合いも含まれている。このグループ名は、沖縄アクターズスクール在籍時代にマキノ校長から「お前たちはクズだからクーズだっ!(レベルが低いという意味)」と言われたことに由来する。

近田春夫『考えるヒットe-1 J-POPもガラパゴス』

マキノ正幸は、沖縄アクターズスクール設立当初から娘の牧野アンナ、早坂好恵、里中茶美(邊土名一茶の姉)、安室奈美恵、SPEED、MAX、D&D、知念里奈など主に女性アイドルの育成を専門としており、協力関係だったライジングプロダクションの平 哲夫も「男はやらない(男性アーティストは育成しない)」という方針だった。しかし、邊土名一茶が沖縄アクターズスクールへ入学してきたときに平 哲夫が彼のルックス・歌唱力・ダンスを見て「この子なら大丈夫だ!」と決断し、沖縄アクターズスクール初の男性アイドルとしてDA PUMPを送り出したという。また同校の女子生徒の間でも人気が高く、邊土名一茶がいると女子生徒たちがレッスンに集中できなくなるため、早く養成所から出て行って欲しいという理由で東京に進出させたというエピソードもある。そのため、邊土名一茶は、奥本 健・玉城幸也・宮良 忍の3人よりも養成所での練習生期間が短い。

NHKの音楽番組「ポップジャム」に初登場した際のDA PUMP

デビュー前には、THE Rockets(ザ・ロケッツ)やTHE JUMP(ザ・ジャンプ)といったグループ名の候補があったが、最終的にTHE JUMPが採用され、THE = DA、JUMP = PUMP = 音楽にのって飛び跳ねる仲間たちという意味でDA PUMPと名付けられた。また当初、音楽プロデュースは真田さんという作曲家に依頼しており、オリジナルの楽曲もいくつか提供され、レコーディングまで終えていたが、グループのコンセプトと合わず、メンバーたちも拒否したため没となった。その後、沖縄アクターズスクールと協力関係にあったライジングプロダクションの平 哲夫社長から沖縄のテレビ番組『BOOM BOOM』で彼らが披露していたm.c.A・Tの「Feelin' Good 〜恋はパラダイス〜」をデビュー曲にしたら良いのではないか?という話になり、平 社長がm.c.A・T(富樫明生)に直接、DA PUMPのプロデューサーを担当して欲しいと交渉したところ、m.c.A・Tの全面プロデュースでデビューすることになったという。

マキノ正幸とデビュー2ヶ月前のDA PUMPのメンバー

デビュー当時、大人気を得ていたジャニーズ事務所所属の『SMAPの対抗馬』として活躍。SMAPは1991年にデビューしたが、下積み期間があり、ブレイクしたのは1990年代後半だった。そのため、DA PUMPのデビュー時期とSMAPの全盛期が重なっている。ライジングプロダクションはSMAPの遣り方をDA PUMPにも応用し、歌手活動だけでなく、バラエティ・ラジオ・映画・ドラマ・CMなどマルチな活躍をして非ジャニーズ系の男性アイドルで初めて成功したグループという評価を受けた。

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