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韓国のヴィジュアル系バンドについて。

『ヴィジュアル系』は、日本のロックバンド及びミュージシャンの様式の一つ。ヴィジュアル系という呼称はX JAPANのBLUE BLOODのキャッチコピー「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」が起源だとされることが多い。1980年代後半~1990年代にかけて「アイドル冬の時代」と呼ばれ、男性アイドル人気が下火となった代わりにX JAPAN、LUNA SEA、L'Arc〜en〜Ciel、GLAYといったヴィジュアル系バンドに人気が集中し、派手な外見と華やかなステージで若い女性ファンを中心に人気を博した。ロックミュージシャン+若い女性ファンという点でアーティストとアイドルの両方の側面を持っていると見ることもできるため、主に1990年代後半~2000年代前半は事実上、ヴィジュアル系が男性アイドルのポジションを埋めるような役割を果たした。一方で韓国ではX JAPANやMALICE MIZERの人気が高かった。

1995年にデビューした韓国のヴィジュアル系ロックバンド「GIRL」

1990年代後半、韓国でもヴィジュアル系バンドが一部存在し、活躍していた時期がある。例えば、男性5人組のロックバンド「GIRL」。1995年にデビューし、バンド名は女の子を意味する「ガール」ではなく『Get Into The Rock'n Roll Legend』の略から名付けられた。1990年代のロックバンドとして最初に地上波で1位を占めたバンドとして知られており、「Aspirin」という曲が人気を集めた。SUPER JUNIORのメンバーであるヒチョルがMALICE MIZERなどの日本のV系バンドが好きだったため、GIRLのファンになったと明かしたことがある。

2000年デビューの韓国のロックバンド「盗聴装置」

2000年にデビューした男性4人組のロックバンド「盗聴装置」。インディーズバンドで徐々に名前を知らせた後、地上波に進出して「Power」という曲で有名になった。いわゆる韓国のヴィジュアル系バンド的な立ち位置で活動したが、コンセプト上ではイギリスの音楽ジャンル、グラムロックに影響を受けたとし、音楽的にはオルタナティブロックに近い。

■韓国アイドルへの影響 - SMエンタテインメント

(左)SMエンタテインメント所属のBad Boy's Circle / DSPメディア所属のClick-B(右)

ヴィジュアル系バンドは韓国のロックバンドだけでなく、韓国のアイドルにも僅かに影響を与えた。代表的にSMエンタテインメントが挙げられる。1990年代、SMの創設者であるイ・スマンは元々、ロックが大好きだったこともあり、日本のヴィジュアル系バンドに注目していた。そのため、ヴィジュアル系バンドの扮装、パフォーマンス、メイク、楽曲、ステージなどをベンチマークしてSM所属の歌手やアイドルたちに適用させたという。1994年に3人組の男性フォークロックバンド「Major」、1998年に同じく3人組の男性パンクロックバンド「Bad Boy's Circle」をデビューさせた。その後、1999年にDSPメディアがこのBad Boy's Circleに対抗してバンドコンセプトのボーイズグループ「Click-B」をデビューさせている。

日本のロックバンド「MALICE MIZER」 / 韓国の男性アイドルグループ「SHINHWA」
(左)日本のロックバンド「GLAY」/ 韓国の男性アイドルグループ「H.O.T」

1996年にデビューしたH.O.Tや1998年にデビューのSHINWHA(神話)もヴィジュアル系の扮装で活動したこともあった。特にH.O.Tの「I yah!」など4集での活動当時は、衣装や髪型はGLAYを、クラシック音楽とロックを織り交ぜた楽曲はMALICE MIZERを参考にしていたと思われる。

SMエンタテインメントからデビューした3番目のロックバンド「The TRAX」

そして2004年にはMajor、Bad Boy's Circle以来の男性ロックバンド「TRAX」をデビューさせた。当初はThe TRAXというグループで活動し、イ・スマンが日本のビジュアル系をモデルにして作ったグループのため、メンバーたち全員が色とりどりの髪型に華やかな扮装をした。日本ではX JAPANのリーダー・YOSHIKIのプロデュースによりシングル「Scorpio」で日本デビューした(カップリングの「Tears (TRAX version)」は、プロデューサーYOSHIKIがリーダーを務めた日本のロックバンド、X JAPANの楽曲「Tears」のカバーとなっている)。

※まとめ
1990年代半ばから2000年代前半にかけて韓国でもヴィジュアル系バンドの影響を受けたアイドル、ロックバンドが活躍したが、現在は韓国内でのV系人気は下降しており、ファン層も少ない方であるとされている。

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