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ジャーナリング=書く瞑想で自分を知ってウェルビーイングを高めよう

Journaling(ジャーナリング)あるいはExpressive Writing(エクスプレッシブ・ライティング)は「書く」ことで自分を知り、ストレスを軽減しメンタルヘルスを高める方法で、「書く瞑想」とも言われます。今回はジャーナリングについて見ていきましょう。

ジャーナリングとは

ジャーナリングとは何か、どんな効果があるのかについては有名な論文がああります。

テキサス大学オースティン校の社会心理学者であるジェームズ・ペネベイカー教授の実験で、大学生を2つのグループに分け、一方には感情的に大きな影響を受けた出来事を書かせ、もう一方には日常的なこと(自分の靴や、通りを行き交う車などについて)を書かせました。感情的に大きな影響を受けた出来事を書いた学生は、家族との痛ましい別れや深い絆を結んでいた人との破局などを綴っていました。

これを15分ずつ4日間続けた結果、感情的に大きな影響を受けたことを書いたグループは、日常的なことを書いたグループに比べて心身の健康が大幅に向上したという結果があり、1986年の論文で発表されました。

その後ジャーナリングの研究は進み、さまざまな研究者により論文が発表されてきました。それらによると、ジャーナリングでポジティブな内容を書いてもネガティブな内容を書いても身体的健康度が高くなり、抑うつや不安の度合いが低下することがわかっています。

近年では、2007年からGoogleが社員研修で取り入れている「Search Inside Yourself (サーチ・インサイド・ユアセルフ)」というマインドフルネスプログラムの中でワークとして取り入れられるなど、マインドフルネスの実践としてのジャーナリングが広がっています。

ジャーナリングの効用

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Photo by Christopher Campbell on Unsplash

研究者により少しずつ報告が違いますが、ジャーナリングには主に以下のような効用があると考えられています。

1.自己認識力が高まる
2.頭の整理ができる
3.問題解決能力が向上する
4.ウェルビーイングが促進される

1.自己認識力が高まる

ひたすら書くことで思いがけない言葉が現れ「自分はこんなことを考えていたんだ」と客観視できるようになります。続けていくうちに、何を心地よく思うのか、何がいやなのかなどの思考の癖に気づくことができて、自分を受け入れることができるようになります。

2.頭の整理ができる

書いていったん自分の外に思考を出してしまうことで頭の中がスッキリとクリアになり、他のことを考えるための空白ができます。また、ネガティブなことをグルグルと考え続けている状態から脱することができるのでストレスが軽減されます。

3.問題解決能力が向上する

課題や問題点がはっきりすることで「やっぱり自分はこうしたいんだ」「こうすればいいんじゃないか」など、これからどのように行動すればよいかがわかる、また感謝の気持ちが湧いてくるなど、自己や他者、社会への適応力が高まります。

4.ウェルビーイングが促進される

上記のような経過をたどることで「身体的、精神的、社会的に、良好な状態」であるウェルビーイングな状態が促進されます。心だけでなく身体の健康にもつながるのは驚きですね。

ジャーナリングのやり方

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Gabrielle Henderson on Unsplash

それではどのようにジャーナリングを行えばいいかについて見ていきましょう。紙で行う場合はA4のコピー用紙でもお気に入りのノートでもOK。ノートは小さすぎない方がいいでしょう。書きやすいペンの準備も忘れずに。

PCのキーボードをタイプしたりスマートフォンにフリック入力するより手書きの方がいいという人もいますが、デジタルデバイスへの入力でも効果は変わらないという論文もあります。どちらでもお好みでいいでしょう。

ジャーナリングの具体的なやり方については研究者や機関によって細かにパターンが分かれていますが、実践のポイントは以下です。

1.集中できる環境で行う
2.書くテーマを決める
3.時間を決める
4.制限時間内は手を止めず書き続ける
5.書き終わったら振り返りの時間を持つ
6.ジャーナリングの内容は誰にも見せない

1.集中できる環境で行う

気をそらさず書き続けることが大切なので、邪魔の入らない落ち着ける場所やスペースで行いましょう。音楽などもかけないほうが集中できるのでおすすめです。

2.書くテーマを決める

自分でテーマを決めて、最初に日付とともに書き出しておきましょう。テーマは自分が書きたいことなら何でもOK。最初はライトで楽しいテーマから始めるといいですね。思いつかない場合のテーマ例を以下にいくつか挙げておきます。慣れてきたら悩みや不安などについても書いてみましょう。

・私の好きなこと
・私の得意なこと
・今やりたいこと
・今日感謝したこと
・1年以内に実現したいこと

3.時間を決める

研究者によって5分、10分、15分、20分などさまざまな実験が報告されていますが、自分の好きな時間でOK。最初は5分くらいから始めればいいと思います。意外とあっという間ですよ。書いている間は完全に集中できるように、タイマーを使いましょう。

4.制限時間内は手を止めず書き続ける

考え込まずに思いついたままひたすら書き続けるのが重要なので、手を止めずに書き続けるようにしましょう。もう書くことがないと思ったらもう書くことがないと書いてもOKですし、同じことを繰り返し書いても大丈夫です。文法も誤字脱字も気にせずに心のおもむくままに! 

5.書き終わったら振り返りの時間を持つ

制限時間が終わったら、書いたものを眺めて振り返りをしましょう。気づいたことがあれば欄外か他の色のペンなどで区別して書きとめておきましょう。

6.ジャーナリングの内容は誰にも見せない

決して誰にも見せないようにしましょう。ジャーナリングの場所はあなただけの安全な場所であると自分に約束しましょう。

まとめ

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Photo  by Thought Catalog on Unsplash

筆者にはお気に入りのジャーナリングアプリがあり、1日のうち思いついたときにちょこちょこと書き込んでいるのですが、今回改めてジャーナリングについて調べるため過去の論文から海外の機関の記事までを読み込んでみて初めて「テーマを決める」「時間を決める」「手を止めず書き続ける」などのセオリーについて知りました。

そこでさっそく、A4のコピー用紙に「私が本当にやりたいこと」というテーマで5分間の手書きのジャーナリングをしてみたのですが、最後の方では少し自分でも驚くような言葉が出てきました。「これが本音…なのか…!?」というような(内容はナイショ)。

みなさまもぜひ、実際に試してみてください。

Text:池田美樹
Top photo by Content Pixie on Unsplash

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