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【イベントレポート】「都市部企業(人材)」×「鹿屋で働く」※オンライン同時開催※ 2023.10.12

「都市部企業」×「鹿屋で働く」をテーマとしたイベントを事務局として開催しましたのでイベントレポートにて報告いたします。(主催:鹿屋市)

近年コロナ禍を背景に個人・企業共に関係性を土地に縛られることなく、より流動的に多様な地域へ関係を持つような変化が生まれてきています。

これからの時代は地方にこそチャンスがある!
鹿屋(地方)にはまだまだ多くの魅力とビジネスチャンスがあります。

本セミナーでは、鹿屋市と都市部の両方で活動されているゲストをお招きし、全国の事例のご紹介も交えながら、参加者の皆様と一緒にこれからの都市と地方との関係性や可能性について探りました。「首都圏企業が地方進出する理由」「首都圏企業が思う鹿屋の魅力」を具体的に考え都市と地方の関係を考える時間を参加者の皆様と過ごせました。




当日のファシリテーターはWDLおおすみの岡本と伊藤でした。

ファシリテーター

イベント概要

▶日程:2023年10月12日(木)18:00~20:00
▶主催:鹿屋市
▶運営:株式会社ワークデザインラボおおすみ
▶場所:株式会社オキス、オンライン<同時開催>
▶プログラム:

第一部:オープニング

まずは鹿屋市の複合交流施設のTopics!
令和6年4月1日にリニューアルオープンの「リナシティかのや」についてです!鹿児島県大隅半島の中心部に位置する複合交流施設。今後、「人と人をつなぐ場所」をコンセプトに、まちのにぎわいづくりや、オープンイノベーション拠点(ビジネス交流拠点)の創出を行っていくということで、今年度は、都市と地方の関係と価値について、本セミナーを含め数回に渡って考えていきます。

第二部:鹿屋の魅力とは

第二部では、他の地域と比較した際の鹿屋の魅力について、ゲストである鈴木健太氏(農林水産省食品安全政策課課長補佐:前鹿屋市副市長)にお話しいただきました!

鈴木健太氏
(農林水産省食品安全政策課課長補佐:前鹿屋市副市長)
1981年生まれ。東京都大田区出身。筑波大学在学時にしていた農家のバイトから農業や食の世界に魅了され2004年に農林水産省に入省。2021年4月から2023年3月まで鹿児島県鹿屋市役所に副市長として出向。2023年4月より、農林水産省に帰任し、国家公務員としては初めて、リモートワークを組み合わせながら、鹿屋と東京の2拠点生活を実践し、新たな働き方を模索中。

ゲスト:鈴木氏プロフィール

鹿屋は、自然豊かで特産品も多くある魅力的な地域です。湾内ではかんぱちの養殖が盛んで、全国の出荷量の15%は鹿屋から出荷されたものになります。加えて豚肉や牛肉の生産も盛んで、令和3年度の農業産出額ランキングは全国9位でした。ふるさと納税ではうなぎも人気です。また、日本最大級の面積を誇る「かのやばら園」も魅力的で、全国から多くの方が訪れる人気スポットになっています。

また、鹿屋はゼロカーボンシティの宣言をしていて、市民に対して環境問題を考える機会も創出しています。鹿屋市環境フォーラムの開催や、芸人さんともったいないを考える会(青年会議所鹿児島ブロック協議会)を開いたり、海岸清掃やウミガメの放流、リユース品の試験回収なども行いました。「もったいないばあさん」の著者である、真珠まりこ氏ともったいないを考えるフェスタなども行っています。

そんな多様な魅力溢れる土地で、私の家族も鹿屋をすごく気に入り、子供たちは鹿屋の小学校に通っています。私自身は現在、国家公務員として地域と関わり続けられるよう、テレワークを活用し、東京と鹿屋の2拠点生活を送っています。具体的には金曜日の仕事終わりに霞が関を出て、飛行機に乗って鹿児島へ向かい、週末は鹿屋でPRイベントを開いたり、地域の集いの場づくりとして古民家の再生や、やってみたいを応援する拠点作りの支援も行っています。
今後もより多くの方に鹿屋の魅力を知っていただくため、活動を続けていきたいと思います。

第三部:首都圏企業が地方に進出する理由とは

第三部では、もう1名のゲストである石川貴志氏(一般社団法人Work Design Lab 代表理事)より、「働く場としての鹿屋の可能性」についてお伝えする時間となりました。

石川貴志氏(一般社団法人Work Design Lab 代表理事)
 1978年生まれ。広島出身。「働き方をデザインする」をテーマにした対話の場づくり、企業・行政・団体等と連携したプロジェクトを全国各地で推進。首都圏複業ワーカーと地方企業を繋ぐ様々な活動に注力している。総務省地域創造アドバイザー、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。


ゲスト:石川氏プロフィール

私が代表理事を務めている一般社団法人Work Design Labは、200名程のメンバー全員が、複業人材として活動している団体です。住んでいる地域は広く、北は稚内から南は那覇までと全国に渡り、年齢層は20代~60代後半が中心です。会社員のメンバーが多い中、会社経営者や個人事業主、士業の方も在籍しています。

こうした全国の複業人材の方々と関わる中で強く感じるのは、今まさに「個人と企業の変化」が始まっているということです。コロナ禍でテレワークが普及しましたが、働く場所の選択肢が増えることで、企業としても社員満足度を上げることができると考えます。個人の価値観が変化してきている今、組織は個人の変化を理解し、新しい関係性を主体的に作ることが求められています。

加えて、今後は75歳くらいまで働く時代になると言われています。60歳で定年退職をしてから、75歳になるまでの15年間をいかに過ごすか。「企業の寿命」と「個人の職業寿命」の逆転が起き、その会社に居続けることで自分のスキルが陳腐化するのではないかと危惧し、転職する方も増えているなど、人材の流動化も起きています。
こうした中で、「働く場としての鹿屋の可能性」があると考えます。働くことによって、金銭的価値だけでなく、「学びの機会を得られること」や「鹿屋に行くとおいしいものが食べられる」などといった、その土地だからこそ享受できる魅力などをかけ合わせることで、非金銭的価値を創出し、人を巻き込むきっかけを作れるのではないかと思います。後追いの企業誘致ではなく、企業が欲しがる「人材育成」「事業開発」のメソッドが鹿屋にあると言えるようになれば、一層企業を集められるようになっていきますし、そのひな形を鹿屋で作れたらと思っています。

第四部:パネルディスカッション

さていよいよ本日の目玉のパネルディスカッションです。
ゲストの石川氏と鈴木氏をお迎えして、鹿屋市内及び市外の企業が双方の課題を乗り越え、オープンイノベーション型で新規事業を創出するにはどうしたらいいかディスカッションしました。
都市部から鹿屋を見る石川氏と鹿屋市前副市長の鈴木氏のやりとりでは、鹿屋市の強みと弱みを見つめ、弱みをどう補完し合うかという関係性の今後の可能性を探る興味深い議論が繰り広げられました!

■首都圏企業(人材)目線での鹿屋の魅力とは?

(石川)鹿屋の魅力の一つは豊かな自然だと思います。180度海が見える場所で働くことは、首都圏ではできません。仕事が終わった後の時間に関してライフクオリティが上がると思いますし、首都圏の課題を地方の資産で解消する方法があるのではないかと思っています。

(鈴木)非金銭価値、QOLの部分でいうと、仕事終わりや昼休みの時間など、余暇の使い方がすごく充実しています。また、鹿屋自体はある程度の人口がありつつもコンパクトな市なので、様々な実証実験をしやすいと思います。

(石川)実証実験の観点でいえば、地方だからこそ人の顔が見えるデータを取得できたり、市長や市のプロジェクトであれば上席者の方にも話が通じやすくなるなど、メリットが多くあると思います。

(鈴木)実際に地方で活動する中では、6月に鹿児島テレビで2拠点生活の取材をされ、YouTubeにも映像が上がったことで役所内でも大きな反響がありました。農林水産業という食をベースにしている仕事なので、生産現場と結びついていることがすごく自分のライフワークの部分に活きていますし、霞が関に席を置きながら地域に行っている人はいないので、ルールテイカーというよりはルールメイカーとして新たな働き方ができるということを、自分の役所だけでなく色々な方々に知ってもらいたいと思っています。

■地域と人を繋ぐために

(石川)働きながら地方とうまく関わっていくには、場づくりも重要だと考えます。鈴木さんみたいな方がすでに鹿屋2拠点生活をされているということは、リナシティかのやに拠点を作る上でも絶対に活用した方がいいと思います。例えば出張で来ている方をいかに巻き込んでいくかということも含めて、将来「鹿屋に転勤になったら嬉しい」といった空気が大企業の中にも醸成できるようになれば、だんだんと面白い話題になり、人も集まってくるのではないかと思いました。

(石川)また、最近多い相談として、会社に所属したまま起業したいという声も多く上がってきています。そうした中で、会社員をやりながら創業をする支援メニューはまだないので、例えば鹿屋で創業する場合は鹿屋市もバックアップするような形になれば、「会社員をしながら創業するなら鹿屋がいいらしいよ」というような新しいモデルができて、そこの地域にすごく人が集まっていくと思うんです。いずれにしても、新しいものを作ろうとしている地域に人が集まっていく感じがしています。

(鈴木)ほかの地域と鹿屋を比べたときの魅力をどう作るのかという観点で言えば、自分たちの地域の強みと弱みの両面からアプローチできると考えます。例えば鹿屋は鉄道がなくなってきていますが、これは地域の高齢者にとっては大きな問題で、移動がしづらいし、県外から来られた人がこちらに来づらいということをよく言われます。移動のしにくさといったウィークポイントを、今後企業の人たちと一緒になって行政として解決していくというところも大事なところかなと思っています。
また鹿屋市は人口が10万人いる都市なので、ほかの地域に働きに出る人もいますし、鹿屋市に働きに出る近隣の市町村の方々もいらっしゃいます。なので、例えば子育て施策だとか移住施策だとか、お互いに補完し合う形で検討ができたりすると、必ずしも住んでいるところで完結するのではなくなり、地域で補完し合うことでより住みやすくなると考えています。

■自治体間連携による新たな可能性

(石川)連携する上では、地域とうまく歩調を合わせることが大切だと思います。今大阪で進めているプロジェクトでは、近隣の自治体ではなく和歌山県庁と広島県庁に入っていただいて、次回は石川県庁と福井県庁と香川県庁に入っていただくんですが、いずれも協力関係となっています。主催や共催は説明責任がありますし、行政の方に即座に連携をしてくださいというのは難しいと思うので、個別には連携させていただくものの、連携の動き自体は民間が先に動けるような関係性を築いています。
一方で、自治体側からも「仕様書を書く上で地域に飛び出して実際の現場に飛び込んでみたい」といった相談を受けることがあります。職員として副業して色々なプロジェクトに入りたいと言われるのですが、近隣の市や町だとあまりに角が立ちすぎるので、誰も関与しない少し離れた地域で試してもらったりします。地域の方々からすれば、他の地域と連携することが実は自分の地域にもメリットになるなど、お返しできることも結構あるように感じています。

(石川)もう一つの視点としては、産業軸やテーマ軸をベースとしている方もいます。まさに海が見えるところで働くのが好きな方もいれば、水産業に関心があるから水産業が盛んなエリアに行くという方もいますし、ライフ視点とワーク視点のそれぞれにおいて、うまく魅力を伝えていくのが今後地方が差別化し、新たな可能性を開拓する上で一つのカギとなるのではないかと思います。

第五部:質疑応答

最後には質疑応答も交えながら、会場一体となって鹿屋の魅力や今後の可能性について議論を重ねました。
今後リニューアルオープンを控える「リナシティかのや」を新たな拠点の一つとしながら、鹿屋から地域のロールモデルを創出し、結果として人が集まる状態を作っていくことで、都市と地方との新たな関係性を築いていきたいという想いを参加者の皆さんと共有する熱い時間となりました!

おわりに

今回は「鹿屋」という地域を取り上げたセミナーでしたが、鹿屋市にかかわらず、都市圏企業で働きながら地方に関わりを持ちたい方や、地方の弱さを首都圏の企業や人材とどう補完していくかに興味がある他地域の方にも多数ご参加頂きました。地方の魅力をさらに生かせるように都市部企業との連携をさらに探っていきたいところです。

今年度の都市×鹿屋シリーズでは、数回セミナーを実施予定です。また今月中にオンライン共創コミュニティをFacebook内に立ち上げ予定ですので、興味のある方、共感いただいた方は、ぜひご参加お願いします!

WDLおおすみでは、これからも
「地元、鹿児島県鹿屋市を盛り上げていきたい」とお考えの方や
「本業以外で地域に貢献したい」とお考えの方と
地元企業を繋げる取り組みを続けていきます。

複業を通じて、ワクワクすることに携わってみませんか?